加齢や環境の変化とともに増える、心や体のお悩み。ここでは読者から寄せられた耳鳴りに関する相談に、医師が答えてくれました。


耳鳴りの対処法

「キーーーン」という耳鳴りが気になります…病気の可能性は?



【読者のお悩み】
最近、「キーン」という耳鳴りが頻繁にするようになり、気になっています。このまま放っておいても大丈夫ですか? 予防する方法はありますか?(Mさん・42歳)

●音が小さくて自覚がないだけで、皆いつも「なにかしらの音」は聞こえている



【医師からの回答】
「キーン」という耳鳴り、たまになら問題ありません。でも、頻繁だと心配になりますよね。
じつはこの耳鳴り、「まったくない」という人はいません。音が小さくて自覚がないだけで、皆いつも「なにかしらの音」は聞こえているのです。

音は空気の振動によって伝わります。そしてその音が内耳(耳の奥)へ入ると、内耳にある蝸牛(かぎゅう)という場所で電気信号に変わり、それが脳に伝わることで音として認識されます。このとき内耳でなんらかの障害が起きると、耳鳴りが起こるのです。

また、脳に伝わった電気信号は、ストレスや不安などを感じる「扁桃体(へんとうたい)」の影響も強く受けます。そのせいでストレスや不安感が強いと、耳鳴りもより感じやすくなるのです。


さらにカフェインの過剰摂取、喫煙、騒音の多い住環境、睡眠障害や頭痛なども耳鳴りを悪化させる要因に。ですから「最近耳鳴りがひどくなった」という人は、まず自分の習慣や環境を見直してみて(上のマンガも参考に)。

●ストレスがかかると耳鳴りも悪化する傾向にあるので、気になるときは耳鼻科へ


それでも3日以上耳鳴りが続くようなら、一度、耳鼻科を受診することをおすすめします。というのも、耳鳴りを放置して慢性化してしまうと、将来、難聴を併発する可能性が高くなるからです。
以前は耳鳴りの治療法はないといわれていましたが、最近では鼓膜にステロイド剤の注射をする「鼓室内注入療法」や、補聴器のような器械を耳につけて耳鳴りを軽減する「音響療法」などの治療法もあるので、気になる人は相談を。

<イラスト/野田節美 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【坂田英明先生】



川越耳科学クリニック院長。耳鼻科医。埼玉医科大学医学部卒業後、目白大学保健医療学部教授等を経て、耳鳴り・めまい・難聴の治療を主にした川越耳科学クリニックを2015年開設。YouTube「めまいにさよなら
」でも情報を発信。