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東京五輪・パラリンピックの開催で、住居を失う人が出てくるとして、生活困窮者支援の10団体が7月7日、「東京五輪・パラ五輪期間にかかる住居喪失者支援の緊急要望書」を都に提出した。

東京都では2020年から、住居を失った人が生活保護を申請した場合、協定を結んだホテルに1カ月間程度、滞在できる対応をとってきた。しかし、五輪による宿泊需要の高まりから、最近ではホテルを利用できずに、無料低額宿泊所などを紹介されるケースが目立つという。

五輪開催まで時間はわずか。支援の現場で活動する団体は、早急な対策を都に求めている。

●開会式直前までに「ホテルを出て行って」と言われてしまう

支援団体が東京都に求めた主な要望は3点。

(1)住居喪失者や生活保護申請者の居所確保 (2)五輪開催に伴う路上生活者の退去・撤去をしないこと (3)ホームレス状態の人などへのワクチン接種の実施

これについて、都からは状況把握に努めるとの回答を得たが、具体的な対応は示されていないという。

要望後、「反貧困ネットワーク」など主に東京を拠点とする支援団体が現況を報告した。

新型コロナウイルス感染拡大によって生活が苦しくなり、支援制度を利用してビジネスホテルで一時的に暮らしている人たちに、退去の要請が先週から出ているという。

その多くが、五輪開幕前日の7月22日朝までに出ていってほしいというものだ。

また、住居を失った相談者の生活保護申請のため、福祉事務所に同行すると、「五輪があるので、ホテルが受け入れない。アパート探しを早めて」と伝えられるという。とはいえ、アパートを探すこともなかなか難しい。

「先週からの生活保護申請同行で、ほぼ全員が宿泊制限を言われている。この10日間で、ビジネスホテルを1カ月おさえられた人はゼロです」(反貧困ネットワーク事務局長・瀬戸大作さん)

●無料低額宿泊所の空きもなくなりつつある

感染防止のためには、個室のあるホテル利用が望ましく、都や厚労省も「原則個室」を指示している。だが実際のところ、ホテルが確保できないと、相部屋の無料低額宿泊所を利用することもあるが、そこでも空きが減りつつあるそうだ。

このままでは、ホテルから追い出されたり、新たにホームレス状態になる人が続出するとして、支援団体は、五輪期間中も、個室のあるホテル確保することを東京都に求めた。

あわせて、路上生活者の同意なしに退去などさせないことも求めている。

「過去の開催都市では、片道切符を渡して、期間中は別の場所に行ってと、路上生活者を追いやることがあった。ただ追い出すのは誰にとってもよくないし、解決につながらない」(呼びかけ人の北畠拓也さん)

●個室確保を急いで

もしも無観客開催が決まれば、ホテルに空きが出るかもしれないが、すでに出て行ってしまった生活困窮者がホテルに戻れるかどうかわからない。

福祉事務所が閉まる22日(祝日)にホテルを追い出されると、事務所に対応は求められず、行き場がなくなってしまうことが懸念されている。

「22日の夜から泊まるところがなくなり、野宿せざるをえなくなる。21日までに対策を打たないといけない。東京都には我々の持つ危機感が足りない」(瀬戸さん)