万引きがやめられない男性、逮捕を恐れて「これから全てが壊れていく」震え止まらず
万引きがやめられない50代男性から「警察に通報されたがどうすれば良いか」という相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
男性は2年前にCDを万引きして現行犯逮捕され、その後不起訴となりました。しかし、その後すぐにまた万引きを始めてしまい、盗んではフリマサイトで転売する行為を何度も繰り返しました。
ある日、いつもと同じようにコンビニで万引きし店を出たあと、警察官2人が店の方に向かって来ているのに気づきました。呼び止められずに帰宅した男性でしたが、「私に気づいた店員が警察に通報し駆け付けた」ものと考えています。
どこで何を盗んだか全く分からないものの、フリマサイトを見れば履歴は明らか。「これから全てが壊れていくことを改めて実感し、震えが止まらない」と途方に暮れています。
男性は「裁きを受ける覚悟はあります」としつつ、子どもや会社、近所の人には知られないよう解決したいと考えています。はたして可能なのでしょうか。吉田要介弁護士に聞きまし た。
●逮捕を避けることが一番
--何か犯罪を犯した場合、子どもや会社、近所の人に知られないよう解決することは可能ですか?
社会的な関心事のある重大犯罪でなければ、犯罪を犯した段階で、いまだ逮捕されていない事件を警察がマスコミに発表するケースはあまりないと思いますので、まず、逮捕を避けることが一番だと考えます。
特に、逮捕されその後勾留された場合は、最大23日間外に出られないため、その理由を説明できないことで、会社や子どもに知らせざるを得ないこともあります。
--どのようにして逮捕を避けるのでしょうか。
逮捕を避けるためには、罪証隠滅をしたり、逃亡したりする危険性がないことを捜査機関に理解してもらうことが必要です。
被害者と示談したり、被害弁償した場合は、そのような危険性がないと判断されると思います。
もっとも、示談や被害弁償の申し出の態様によっては、被害者への働きかけが罪証隠滅と誤解されるおそれもありますので、事案によっては、弁護士に依頼することも検討する必要があります。
--示談や被害弁償が難しい場合は?
示談や被害弁償がすぐには難しい場合は、弁護士に依頼するなどして、罪証隠滅や逃亡をせず、捜査に協力することを約束する本人の誓約書や、本人を監督すること等を約束する配偶者や両親等の身元引受書を作成し、警察に提出することも考えられます。
逮捕されない場合は、在宅で捜査が進み、示談や被害弁償ができていれば、不起訴になる こともあり、その場合は、子どもや会社、近所の人に知られないよう解決できるかもしれま せん。
また、起訴されても、マスコミに取り上げられることがなければ、公開の法廷で公判は開かれますが、傍聴人に子どもや会社、近所の人やその知り合いがいなければ、それらの人に知られることはなく、審理が進み、判決が出ることになろうかと思います。
●警察からの呼び出しには応じよう
--今回のケースはどう考えられますか。
転売する行為を何度も繰り返したというものであり、件数によってはそれなりに話題性のある事件だと思います。
示談や被害弁償によって、窃盗の被害届が取り下げられない限り、逮捕されたり起訴される可能性が高く、マスコミに取り上げられ、それを子どもや会社、近所の人が見た場合には、それらの人に知られてしまうことになります。
なお、逮捕される前に店に被害弁償した場合、被害店舗が被害届を取り下げ、刑事処罰を求 めない意向であれば、警察としてもあえて事件化する必要はないと考え、警察の呼び出しを 回避することができることもありますが、事件や余罪との兼ね合いで呼出しを回避できないこともあります。
とはいえ、呼び出しの段階で、子どもや会社、近所の人に知られることはありませんし、呼び出しに応じないことで、罪証隠滅や逃亡を疑われ逮捕されることもありますので、呼び出しには素直に応じた方がよく、心配であれば弁護士に相談すべきと思います。
【取材協力弁護士】
吉田 要介(よしだ・ようすけ)弁護士
千葉県弁護士会所属。日弁連子どもの権利委員会事務局次長、千葉県弁護士会刑事弁護センター委員。法律を「知らないこと」で不利益を被る人を少しでも減らすべく、刑事事件、少年事件、家事事件、一般民事事件等幅広く手がけ、活動している。
事務所名:ときわ綜合法律事務所
事務所URL:http://www.tokiwa-lawoffice.com