日本ハンドボール協会と日本ハンドボールリーグが、共同でティックトックの公式アカウントを開設した。ハンドボール協会がティックトックとオフィシャルサプライヤー契約を結び、アカウント運営のサポートを受けるという。

 ハンドボールとティックトックと言えば、日本代表キャプテンの土井レミイ杏利がティックトッカーとして有名だ。「レミたん」のニックネームで、動画配信をしている。

 日本代表のキャプテンが、積極的に活用しているのだ。協会とリーグからすれば、これはもう“乗っかる”べきだろう。

 ティックトックは中国初のSNSで、15秒という短い動画が特徴だ。短いから見やすい。手軽に投稿できる。

 同じ動画でも、ユーチューブとは根本的に違う。あちらは完全な人気商売で、そもそもの知名度や人気に加えて継続的な努力(つまりは更新頻度の高さ)がなしに視聴者を集められない。

 それに対してティックトックは、人気のある動画の合間に視聴回数の低い動画が混ぜ込まれている。どんどんスクロールして、気になったものを見る建て付けなので、ユーチューブより多くの視聴者に届く。言い方を変えれば、どんな動画でもバスる可能性を秘めている。ハンドボールのようにメジャーなスポーツではなくても、多くの人の手に届くSNSと言うことができる。

 ツイッターやフェイスブックは画面が横長だが、ティックトックはインスタと同じで縦長で見ることを前提にしている。物心がついたころからスマホやSNSに触れてきたスマホネイティブ世代は、この点でも使いやすい。

 Jリーグは公式ティックトックを持っている。Jクラブはまちまちだ。日本サッカー協会はまだ開設していない。日本ラグビーフットボール協会もラグビートップリーグの主要各チームも、ティックトックにはまだ手を付けていない。

 協会やリーグ、各クラブの広報担当者からすれば、公式サイトに日々何本ものニュースをアップし、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムにも投稿している。情報発信に、かなりの労力を割いている。そのうえティックトックに動画を投稿するとなると、マンパワーがなかなか追いつかない気がする。

 SNSは主なユーザーの年齢層が違う。ティックトックは学生に馴染みが深く、ハンドボールは部活で馴染みのある競技だけに、ティックトックを活用するのは合理性が高い。公式アカウントでは臨場感のあるプレー動画、ルール解説、選手のオフショット、トレーニングや練習風景を紹介しながら、人気ティックトッカーとコラボもしていくという。

 ハンドボールとの接点がなかった人を、どれぐらい取り込んでいけるのか。スポーツとSNSとの関係という意味でも、この取り組みは興味深い。ちなみに6月10日時点のフォロワー数は18900人で、6万9500の「いいね」がついている。出だしは上々のようだ。