《大阪・大東市》階上の部屋に侵入し女子大生を殺害、容疑者が現場に残した“強い殺意”
「“お母さん! お母さん!”と泣き叫ぶ女性の声が聞こえました。しばらくして外を見ると、マンションの一室が燃え出して……」
怯えた様子で近隣住民は語る――。
玄関ドアは開かないように細工
4月28日の午前7時ころ、大阪府・大東市の5階建てマンションで、女子大生の遺体が発見された。
亡くなったのは、私立大学4年の吉岡桃七(ももな)さん(享年21)。「女性の叫び声がする」と通報を受けて警察が駆けつけると、3階にある自室で、全身血まみれの状態で倒れていた。
同時刻に、真下の部屋で火災が発生。室内では嘉本悟(かもと・さとる)容疑者(享年48)が一酸化炭素中毒で死亡していた。容疑者の部屋と真上の吉岡さんの部屋のベランダにははしごがかけられていた。
「容疑者は吉岡さんの部屋に縄はしごを使って侵入。玄関ドアには外側からドアストッパーがかけられ、開かないよう細工されていた。バール状の凶器で吉岡さんの後頭部を殴打した後、動けなくなったところを槍のようなもので背後から繰り返し刺したようです」(全国紙社会部記者)
吉岡さんには殴られたり切られた跡が数十か所見つかっており、強い殺意がうかがえる。
そして殺害後に容疑者ははしごを使って自室に戻り、用意していた灯油を部屋にまいて火をつけ、自害した。
犯行前、近所のホームセンターでは凶器となったバールや灯油を購入した履歴が残っており、計画的な犯行だった。
いったい2人の間に、何があったのか……。
隣人が感じていた“恐怖”
島根県出身の嘉本容疑者は、派遣などで職を転々としつつ、最近は吹田市にあるビルメンテナンスの会社に勤めていた。
一方、京都府で生まれ育った吉岡さんは大学進学を機に、大阪府内のマンションに入居。大学ではサッカー部のマネージャーを務めていた。
「桃七さんは明るい性格で、学級委員長を務めるなどクラスを引っ張ってくれる人でした。人に嫌われるような子ではなかった」(中学の同級生)
そんな彼女をなぜ、これほど残忍な方法で殺めたのか。
「事件直前、容疑者は他の部屋の生活音に悩んでいると周囲に話していたようです」(前出・記者)
つまり、真上にある吉岡さんの部屋の音に悩んでいたということだろうか。しかし……。
「たまに友人を呼んで、話し声が聞こえてきたことはありましたが、騒音というほどではありませんでしたよ。全然気になりませんでした」(マンションの近隣住民)
マンションは築26年の鉄骨造、家賃は月4万円ほど。
吉岡さんのインスタグラムを見ると、自宅らしき場所で友人とパーティーを楽しんでいる様子も投稿されており、多少、周囲に音が漏れていた可能性は考えられる。
仮に騒音が酷かったとしても管理会社や警察に相談すれば済むわけで、殺して良い理由には当然ならない。特に事件前まで、マンション内で騒音などのトラブルが起きたこともなかったという。
一部報道では、事件直前、容疑者の隣に住んでいた男性住民が就寝中にもかかわらず夜中から朝にかけて玄関のドアをドンドンと執拗に叩かれたと証言している。騒音トラブルだけが問題ではないということか……。
謎の多い今回の事件。新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)によると、
「近所の騒音がトラブルになることは珍しくありません。心のバランスを崩してしまった人の場合、些細な音でも過敏に感じてしまい、あたかも自分を嫌がらせるためにうるさくしていると被害妄想を抱くこともあります」
そのうえで、
「騒音があったら、普通は管理会社に相談するなどの対策をします。それが何らかの理由で精神的に深く追い詰められていると、目の前の嫌なことから逃れられれば後はどうなっても良いという心情に至り、中には極端な行動に出てしまう人もいます」
近所の住民を選ぶことはできないため、未然に防ぐことは難しいが、
「他人同士だと、赤ちゃんの泣き声ですら騒音になってしまいます。事前に挨拶をしておいたり、危ない人がいたら不必要に相手をイラつかせないよう努めるしかありません」(碓井さん)
それでも何の前兆もなく起きた今回のような事件は防ぎようがない。いつ、誰が同様の犯罪に巻き込まれてもおかしくないと考えると恐ろしい。