今回襲ってきたアミメニシキヘビ

 3月25日、岡山市でワニガメの保護活動をしている「ワニガメ生態研究所」所長の荻野要さんが、こんなツイートを投稿した。

《昼に5mのアミメニシキヘビに襲われて、救急車で国立病院に運ばれて、治療して、点滴打って、警察の現場検証して、血の海になってお巡りさんも「こりゃ酷い…」って事件現場のようになっている大蛇部屋をこれから掃除。》

 アミメニシキヘビといえば、オオアナコンダと並んで世界最大とされるヘビだ。いったい、どのような状況だったのか、荻野さんに話を聞いた。

「今回襲ってきた子は、普段は本当におとなしいんです。ヘビの中には基本的に人に向かってくる個体もあり、そのようなヘビが咬みつこうとしてくるのは日常茶飯事なんですが、あの子は違いました。ですから、私の油断もあったと思います。

 ヘビたちは最近休食中で、今週末に半年ぶりの食事の予定でした。おそらくお腹が空いて、私のことを食べ物だと思って襲ってきたんでしょう。

 右腕に食らいついて巻きつかれましたが、そのまま水の中に入れることで対処しました。水中だとヘビも息が苦しくなって、数分で離してくれるんです」

 アミメニシキヘビに毒はないが、念のため病院で抗生物質をもらい、止血してもらったという。縫合と数日間の入院をすすめられたが、荻野さんは「動物たちの世話があるから」と強引に帰宅。

 なお、咬まれた現場は実際に「血の海」で、人間の体内にこれほど血液があるのか、と驚かされる出血量だった。気力・体力が尋常ではない。

飼育しているワニガメ

 無類の生き物好きで、危険な外来生物であるワニガメの飼育を20年以上続けている荻野さんは、その活動の特殊さから『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)でも特集されたことがある。500体以上のワニガメ達が暮らす研究所の一角で、アミメニシキヘビも何頭か飼育してきた。

 実は、荻野さんがヘビに咬まれ救急車で搬送されたのは2回目だという。

「7年前に右手を咬まれたときは100針以上縫いましたけど、今回はそこまでひどくありませんね(笑)」

 アミメニシキヘビは、2020年6月から一般家庭でペットとして飼育することが禁じられている。しかし、禁止される直前に駆け込みで購入されたケースが多いことに、荻野さんは警鐘を鳴らす。

「今後も必ずこういう事件は起きるでしょう。ヘビはそもそも人に向かってくる性質を持っているんですから、咬むのは当たり前なんですよ。私はそれを承知で飼っているんです。

 どんな生き物にも言えることですが、緊急事態でも冷静に対処できる人でないと、飼うべきではないと思います」