覚えてる? はしごデザインの横断歩道 なぜ単純なしましまに変わったのか
横断歩道は現在、道路に白い横線でしましまに描かれています。しかしかつては横線の両端にも白い縦線が引かれ、はしごのようなデザインでした。なぜ単純なしま模様に変わったのでしょうか。
「はしごデザイン」のデメリットを解消
横断歩道は、道路に白い塗装でしましまに描かれたものが一般的です。しかし平成の初期頃までは、現在のしま模様の両端にも白線が引かれており、はしごのようなデザインでした。
横断歩道のイメージ(画像:写真AC)。
横断歩道をはじめ道路標示や標識は、内閣府・国土交通省令で仕様が定められています。1992(平成4)年11月、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令」が施行され、横断歩道は「はしご」から現行の「しましま」に改められることになりました。ではなぜ、仕様が変更されたのでしょうか。
道路に線を引くと、その箇所はわずかに盛り上がります。「はしご」だと、白線に囲まれたアスファルトの部分に雨水がたまり、スリップや泥はねが発生しやすくなります。また、車道を横断する両端の線は、タイヤの通過により消える箇所が目立ちやすくなります。
「しましま」はこの横断する2本の線を省略したことで“水はけ”が改善され、さらに、消えやすい線を引き直すメンテナンスコストも削減できます。また、そもそも線を減らしたため、横断歩道を新設する際も省力化できます。
省令の改正から30年近くが経過しており、ほとんどの横断歩道はすでに「しましま」に変わっています。ただ、まれに更新の手が及んでおらず、はしごデザインが残っている場所もあるようです。