ひき肉はしっかり練らず、玉ねぎは炒めなくてOK! ジューシーな「ハンバーグ」のコツとレシピ
雑誌『オレンジページ』で好評連載中の「樋口直哉さんの口うるさいレシピ」。
毎回、料理研究家の樋口直哉さんが、科学的な理論からおなじみのメニューの作り方を深掘りし、おいしく作る「コツ」を細やかに紹介してくださっています。
中でも「作り方を知りたい!」とオレンジページ編集部Twitterで要望が多かったレシピを3品公開しちゃいます。
第2回は、定番メニューのなかでも人気が高く、大人も子どももみんな大好きな「ハンバーグ」です。
樋口さんが教えてくださったのは、表面はカリッと香ばしく、中はしっとりとした極上ハンバーグのレシピ。ふんわりとした口当たりのなかにも、しっかりと肉感のある仕上がりで、お伝えしたいコツが満載!
これまで「ハンバーグが上手に作れない」と思っていたかたに、ぜひ試していただきたい作り方です。
では今回も、樋口さん流のコツを押さえつつ、実際に作っていきたいと思います。
●ハンバーグ
材料(2人分)
合いびき肉 200g
【下味】
牛乳 大さじ2
塩、砂糖 各小さじ1/4強
玉ねぎのすりおろし 1/4個分
【ソース】
トマトケチャップ、みりん 各大さじ3
中濃ソース 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
【つけ合わせ】
じゃがいも 2個
クレソン 適宜
生パン粉 粗びき黒こしょう サラダ油 酒
●つけ合わせ
じゃがいもは洗って水けを拭き、皮つきのままラップをせずに電子レンジで2分30秒加熱する。上下を返してさらに2分30秒加熱し、ふきんで包んで5分ほど蒸らす。十字に切り目を入れ、クレソンとともに器に盛る。
作り方
【1】
ボールにひき肉と下味の材料を入れ、冷凍庫に10分ほど置く。ボールの底を氷水に当て、玉ねぎ、パン粉10g、粗びき黒こしょう適宜を加える。ボールの中でざっくりと2等分にし、1/2量だけを20回練り、残りとかるく混ぜる。
【解説】
☆肉1/2量だけを練って肉感を残す。
これまでいくつものハンバーグのレシピを見てきましたが、そのほとんどに、「ジューシーに仕上げるために、ひき肉はよく練りましょう」と書かれていました。でも、今回のレシピでは練るのは1/2量のみ、しかも20回程度でOKとのこと。その理由を樋口さんに伺ってみました。
よく練る理由とされるのが、「塩を加えて練ると肉のたんぱく質が溶け出し、粘りが出て肉汁を多く抱え込むから」というもの。確かにそうなのですが、じつは練ると堅くなるというデメリットもあるのだそう。そこで、練るのは1/2量を20回だけにし、残りは練らずにざっくりまとめるだけにしたとか。これが、食べたときの肉感にもつながるそうですよ。
【解説】
☆生のまますりおろして加える玉ねぎと、牛乳にもポイントが!
このレシピのもう一つの特徴が、玉ねぎを炒めず、生のまますりおろして加えるところ。
玉ねぎのみじん切りが粗いと、ひき肉の結着をさまたげ、焼いたときに割れる原因になるので、それを避けるためにすりおろすとのこと。
さらに、玉ねぎの水分や酵素の働きで、肉がより柔らかくなるというメリットも!
炒めてさます手間がなく、おいしいハンバーグが作れるなんて、いいことづくめですね〜。
さらに、牛乳の水分を肉が吸うことでも柔らかくジューシーになるそう。それだけでなく、ごくふつうの合いびき肉に牛乳の「ラクトン」という香り成分が加わると、和牛を使ったようなリッチな風味になるというから驚きです。
では、続けて成形に進みます。
【2】
2等分にし、全体にむらがなくなるまで両手でキャッチボールをするようにかるく投げ、だ円形に成形(厚さ3cmが目安)して、表面をなめらかにする。
【解説】
☆キャッチボールは「空気を抜くため」にあらず。
成形したあと、両手の間でたねを何度か投げてキャッチボールをするというのも、よく見かけるレシピ。その理由として「中の空気を抜き、焼いたときに割れにくくするため」と書かれています。
樋口さんによると、割れにくくするためではあるけど、空気を抜くのが目的ではなく、「表面をなめらかにすることが大事」なんだとか!
なるほど。確かに割れめがあると、焼いたときにそこから割れてしまいそうですよね。
表面をなめらかにすることを意識しながらキャッチボールをして、形を整えます。
では、いよいよ焼きに入ります!
【3】
フライパンにサラダ油小さじ1を中火で熱し、2を並べ入れる。焼き色がつくまで2分ほど焼いて裏返す。弱火にし、余分な脂を拭き取ってふたをし、3分ほど蒸し焼きにする。酒小さじ1をふって中火にし、さらに20秒ほど蒸し焼きにする。
【解説】
☆火加減は中火でスタート→裏返したら弱火で蒸し焼き
ふっくらジューシーなハンバーグに仕上げるのに、やっぱり「焼き」は需要ですよね。ちょっと緊張します……汗
ポイントは「強火にしないこと」だと樋口さんはおっしゃいます。
強火だと肉が縮んで堅くなってしまうそうです。逆に弱火だと、焼き時間が余分にかかって水分が蒸発し、これまた堅くなるとのこと。
ということで、ベストな火加減は「中火」。焼き色がつくまで焼いたら、裏返します。
ここからは弱火にしてふたをし、蒸し焼きでじんわり中まで火を入れていきます。
さて、ここでも大事なポイントが。ハンバーグから出た余分な脂は拭き取ります。
脂があるとフライパンの温度が上がり、肉が堅くなる原因になるのだとか。
このひと手間も、おいしいハンバーグ作りには欠かせないんですね〜。
では、仕上げです。
【4】
火を止めて3分ほど蒸らしたら、つけ合わせの器に盛る。同じフライパンにソースの材料を入れて混ぜる。中火にかけてひと煮立ちしたら、ハンバーグにかける。
完成しました!
でき上がったハンバーグ、ふっくらしていつつ、見た目にも肉感が残っているのがわかりますね。そして、ソースもつやつやでおいしそうです!
さっそく、いただいてみましょう。
ん〜〜〜!! おいしい!!!
表面は香ばしく、中はしっとりとした絶妙の焼き加減です。
これまでの自分の焼き方が、火が強すぎたんだな〜と改めて実感できます。
最後、火を止めてからすぐに器に盛らず、余熱で中まで火を入れるのも、このしっとりさにつながってるんですね。
この作り方をマスターすれば、今日からみなさんもハンバーグ名人ですよ!
教えてくれた人 樋口直哉さん
料理家・作家。科学的な考え方から、料理の「当たり前」を深掘りし、おいしさを最大限に引き出すレシピを紹介している。著書に『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)などがある。
(『樋口さん! 定番メニューをおいしく作るコツ 教えてください!』より)
毎回、料理研究家の樋口直哉さんが、科学的な理論からおなじみのメニューの作り方を深掘りし、おいしく作る「コツ」を細やかに紹介してくださっています。
中でも「作り方を知りたい!」とオレンジページ編集部Twitterで要望が多かったレシピを3品公開しちゃいます。
第2回は、定番メニューのなかでも人気が高く、大人も子どももみんな大好きな「ハンバーグ」です。
これまで「ハンバーグが上手に作れない」と思っていたかたに、ぜひ試していただきたい作り方です。
では今回も、樋口さん流のコツを押さえつつ、実際に作っていきたいと思います。
●ハンバーグ
材料(2人分)
合いびき肉 200g
【下味】
牛乳 大さじ2
塩、砂糖 各小さじ1/4強
玉ねぎのすりおろし 1/4個分
【ソース】
トマトケチャップ、みりん 各大さじ3
中濃ソース 大さじ1
しょうゆ 小さじ1
【つけ合わせ】
じゃがいも 2個
クレソン 適宜
生パン粉 粗びき黒こしょう サラダ油 酒
●つけ合わせ
じゃがいもは洗って水けを拭き、皮つきのままラップをせずに電子レンジで2分30秒加熱する。上下を返してさらに2分30秒加熱し、ふきんで包んで5分ほど蒸らす。十字に切り目を入れ、クレソンとともに器に盛る。
作り方
【1】
ボールにひき肉と下味の材料を入れ、冷凍庫に10分ほど置く。ボールの底を氷水に当て、玉ねぎ、パン粉10g、粗びき黒こしょう適宜を加える。ボールの中でざっくりと2等分にし、1/2量だけを20回練り、残りとかるく混ぜる。
【解説】
☆肉1/2量だけを練って肉感を残す。
これまでいくつものハンバーグのレシピを見てきましたが、そのほとんどに、「ジューシーに仕上げるために、ひき肉はよく練りましょう」と書かれていました。でも、今回のレシピでは練るのは1/2量のみ、しかも20回程度でOKとのこと。その理由を樋口さんに伺ってみました。
よく練る理由とされるのが、「塩を加えて練ると肉のたんぱく質が溶け出し、粘りが出て肉汁を多く抱え込むから」というもの。確かにそうなのですが、じつは練ると堅くなるというデメリットもあるのだそう。そこで、練るのは1/2量を20回だけにし、残りは練らずにざっくりまとめるだけにしたとか。これが、食べたときの肉感にもつながるそうですよ。
【解説】
☆生のまますりおろして加える玉ねぎと、牛乳にもポイントが!
このレシピのもう一つの特徴が、玉ねぎを炒めず、生のまますりおろして加えるところ。
玉ねぎのみじん切りが粗いと、ひき肉の結着をさまたげ、焼いたときに割れる原因になるので、それを避けるためにすりおろすとのこと。
さらに、玉ねぎの水分や酵素の働きで、肉がより柔らかくなるというメリットも!
炒めてさます手間がなく、おいしいハンバーグが作れるなんて、いいことづくめですね〜。
さらに、牛乳の水分を肉が吸うことでも柔らかくジューシーになるそう。それだけでなく、ごくふつうの合いびき肉に牛乳の「ラクトン」という香り成分が加わると、和牛を使ったようなリッチな風味になるというから驚きです。
では、続けて成形に進みます。
【2】
2等分にし、全体にむらがなくなるまで両手でキャッチボールをするようにかるく投げ、だ円形に成形(厚さ3cmが目安)して、表面をなめらかにする。
【解説】
☆キャッチボールは「空気を抜くため」にあらず。
成形したあと、両手の間でたねを何度か投げてキャッチボールをするというのも、よく見かけるレシピ。その理由として「中の空気を抜き、焼いたときに割れにくくするため」と書かれています。
樋口さんによると、割れにくくするためではあるけど、空気を抜くのが目的ではなく、「表面をなめらかにすることが大事」なんだとか!
なるほど。確かに割れめがあると、焼いたときにそこから割れてしまいそうですよね。
表面をなめらかにすることを意識しながらキャッチボールをして、形を整えます。
では、いよいよ焼きに入ります!
【3】
フライパンにサラダ油小さじ1を中火で熱し、2を並べ入れる。焼き色がつくまで2分ほど焼いて裏返す。弱火にし、余分な脂を拭き取ってふたをし、3分ほど蒸し焼きにする。酒小さじ1をふって中火にし、さらに20秒ほど蒸し焼きにする。
【解説】
☆火加減は中火でスタート→裏返したら弱火で蒸し焼き
ふっくらジューシーなハンバーグに仕上げるのに、やっぱり「焼き」は需要ですよね。ちょっと緊張します……汗
ポイントは「強火にしないこと」だと樋口さんはおっしゃいます。
強火だと肉が縮んで堅くなってしまうそうです。逆に弱火だと、焼き時間が余分にかかって水分が蒸発し、これまた堅くなるとのこと。
ということで、ベストな火加減は「中火」。焼き色がつくまで焼いたら、裏返します。
ここからは弱火にしてふたをし、蒸し焼きでじんわり中まで火を入れていきます。
さて、ここでも大事なポイントが。ハンバーグから出た余分な脂は拭き取ります。
脂があるとフライパンの温度が上がり、肉が堅くなる原因になるのだとか。
このひと手間も、おいしいハンバーグ作りには欠かせないんですね〜。
では、仕上げです。
【4】
火を止めて3分ほど蒸らしたら、つけ合わせの器に盛る。同じフライパンにソースの材料を入れて混ぜる。中火にかけてひと煮立ちしたら、ハンバーグにかける。
完成しました!
でき上がったハンバーグ、ふっくらしていつつ、見た目にも肉感が残っているのがわかりますね。そして、ソースもつやつやでおいしそうです!
さっそく、いただいてみましょう。
ん〜〜〜!! おいしい!!!
表面は香ばしく、中はしっとりとした絶妙の焼き加減です。
これまでの自分の焼き方が、火が強すぎたんだな〜と改めて実感できます。
最後、火を止めてからすぐに器に盛らず、余熱で中まで火を入れるのも、このしっとりさにつながってるんですね。
この作り方をマスターすれば、今日からみなさんもハンバーグ名人ですよ!
教えてくれた人 樋口直哉さん
料理家・作家。科学的な考え方から、料理の「当たり前」を深掘りし、おいしさを最大限に引き出すレシピを紹介している。著書に『新しい料理の教科書』(マガジンハウス)、『最高のおにぎりの作り方』(KADOKAWA)などがある。
(『樋口さん! 定番メニューをおいしく作るコツ 教えてください!』より)