2008年に事業停止して破産した宇都宮市の民間産業廃棄物処理業者「エコシティ宇都宮」に交付された国のバイオマス事業の補助金を巡って栃木県が国に払い戻したおよそ1億9600万円を返すように求めた上告審判決で、最高裁第3小法廷は2日、県の訴えを認めた一審と二審の判決を破棄し、県の逆転敗訴が確定しました。

判決によりますと「エコシティ宇都宮」は、県、宇都宮市を通じて国の補助金およそ2億6千万円を受けて堆肥化の施設を稼働させましたが、2008年に事業を停止しました。

県は事業中止に伴う土地・建物の処分を国に申請し、国は返金を条件に承認して施設は売却されました。

県は市に対して相当額の支払いを求めましたが敗訴し、2016年に今回の訴訟を起こしたもので、県は「国の承認は補助金適正化法の適用条文を誤っており、払い戻しに法的根拠がない」と主張していました。

最高裁第3小法廷は、根拠の法令を取り違えた行政処分でも目的や効果が同じならば有効と扱うべきだと指摘し「国の承認は適法」と判断しました。

県の訴えが退けられたことに福田 富一知事は「これまでの県の主張が上告審では認められず想定外の判断がなされたことは大変残念。事業者から国庫補助金の返納がない中で県が肩代わりを強いられる結果となったことは遺憾」とコメントしています。