新しいタイヤは、その表面からから細かな「ヒゲ」がいくつも伸びていることがあります。性能に影響はないのでしょうか。そもそもこのヒゲには、れっきとした名がついています。

タイヤのヒゲの正体とは?

 新しいタイヤはその表面、地面と接するトレッドや、側面にあたるサイドウォールから、細かなゴムの「ヒゲ」がいくつも伸びていることがあります。このヒゲ、「スピュー」というれっきとした名前があります。

 スピューは、材料を金型に入れてタイヤを作るとき、金型内部の空気を抜く穴へゴムが流れ込んでできるものです。トーヨータイヤによると、原則は出荷前に切るものの、トレッドパターンによっては、切り過ぎて表面を傷つける恐れがあるため完全に切らないケースがあるといいます。


無数のヒゲが伸びた新品タイヤの表面(画像:algre/123RF)。

 とはいえ、タイヤの性能に影響を与えることはほとんどなく、トレッド面のスピューは、走行していれば擦り切れてなくなります。サイドウォールのスピューを自分で切る際は、本体を傷つけないよう注意が必要です。

 ちなみに新品のタイヤは、いきなり過酷な条件で使用すると異常発熱などによる損傷を起こしやすくなることから、メーカーは慣らし走行を勧めています。夏タイヤならば、交換後は80km/h以下で100km以上走行、といった具合で、これによりタイヤの表皮が取れて本来のグリップも発揮されるとのこと。

 このため、慣らし走行はタイヤの「皮むき」とも呼ばれ、この過程でトレッドのスピューも削れていきます。