マスクなしで迎えの車に乗り込む富川アナ。

写真拡大

首都圏の1都3県を対象とする緊急事態宣言が発効した1月8日、菅義偉首相(72)が『報道ステーション』(テレビ朝日系)に出演。各メディアによると生出演ではなく、同日夕方に行われたインタビューのVTRが放送されたという。

そんななか、富川悠太アナウンサー(44)に《媚びてる》《報道人としての自覚ゼロ》といった批判が相次いでいるのだ。

富川アナは菅首相に「おせちなど食べる時間はあったんでしょうか?」「本当にお忙しいなかお越しいただいて」などと気遣いながらインタビューを開始。その後も菅首相の発言や考えを確認しながら、丁重にインタビューを進めた。

例えば東京都の感染者数が2日連続2000人を超えたことについて、富川アナは「率直にこの数字をどう見ていますか?」と質問。すると菅首相は「去年の暮れに1300人という数字を見て、かなり先行き大変だなぁと思いました」と発言。

「2日間で2000人超え」に触れなかった菅首相に対して、富川アナは「総理が『静かな年末年始を』と呼びかけた時でしたが、この時に今これだけ増えているというのを想像していましたか?」と追及。すると菅首相は「いやぁ、もう想像していませんでした」と、ようやく答えたのだった。

このような危機感の薄い菅首相にも《曖昧》《他人事》と批判は上がっている。だが、なぜ富川アナが視聴者から反感をかってしまったのだろうか。

「NHKの有馬嘉男キャスター(55)が昨年10月、菅首相に学術会議問題について追及したことがありました。そのことが首相サイドを怒らせたとして、降板の危機が報じられたばかり。菅内閣は新型コロナウィルス対策を巡って、支持率が低下。各所から批判が噴出しています。そんな今だからこそ、有馬キャスターのように顔色をうかがうことなく“国民の代弁”を期待した視聴者も多かったようです」(スポーツ紙記者)

■1代目キャスター古舘伊知郎が託した“報ステ魂”

同番組の2代目キャスターとなり、今年で5年目をむかえる富川アナ。番組開始以来、12年間も現場取材をこなしてきたベテランだ。いっぽうで前任者の古舘伊知郎(66)が築いた“報ステ魂”は、衰退しつつあるようだ。

「古舘さんが『愚痴を聞いたことがない』と言うほど、富川アナは真面目で人当たり抜群。被災地の住民などに寄り添った、優しいリポートが印象的でした。ただ報道には自信がなかったのか、緊張感が走る現場ではオロオロすることも。菅首相との『おせち』の会話も、緊張をときほぐす“アイスブレイク”だったのでしょう。ですが古舘さんなら、単刀直入に斬り込んでいったでしょうね」(制作関係者)

奇しくも『報ステ』と同じ時間帯には、『古舘伊知郎のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)が放送された。冒頭から「結果論と言われることを承知」としたうえで、「なんで去年の段階で緊急事態宣言出さないのか」と政府を批判した古舘。さらに「(感染者が増加する)既成事実作るまで待っていたんですか、と嫌味言いたくなりますね」とも述べた。

そんな古舘が『報ステ』を去ったのは、16年3月31日。「無難な言葉で固めた番組は面白くない」「言うべきことは言う」などと“報ステ魂”を受け継いでもらうことを願っていた。そして後任の富川アナには「“乱世の雄”になっていただきたい」と期待を口にしていた。

まさに“乱世”とも呼べるコロナ禍――。富川アナは、先輩の訓示を守り抜くことができるのだろうか。