越冬のため群れをなしてローマに飛来するムクドリ(画像は『Euronews 2021年1月1日付「Hundreds of birds found dead in Rome’s streets after New Year fireworks displays」(Copyright  Alessandra Tarantino/Associated Press)』のスクリーンショット)

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各国で新年を祝うイベントが自粛され、例年よりも静かに迎えた2021年。しかしイタリアのローマでは、個人的に打ち上げ花火を行ったことが原因で大量のムクドリが死んでしまったと動物保護団体が訴えた。打ち上げ花火の禁止令が出ていたのにもかかわらず起こってしまった悲劇に、「花火なんて全部禁止されればいい」という怒りや「本当に花火が原因なの?」と疑問の声があがっている。『Euronews』などが伝えた。

イタリアの首都ローマでは、2020年12月31日から2021年1月6月午前0時まで爆竹、音が出る花火、ロケット花火、そのほかの爆発物の使用を禁止した。さらにローマ市長のヴィルジニア・ラッジさん(Virginia Raggi)は、違反者には最大で500ユーロ(約62,000円)の罰金が科され、花火は没収されることを公表していた。

こうした禁止令が出されたにもかかわらず、個人的に打ち上げ花火を行った者がいたという。花火が打ち上げられた後、街中の道路には鳥の死骸が多数見られ、そのほとんどがムクドリだった。

ローマ・テルミニ駅近くでこの様子を撮影した国際動物保護団体「International Organisation for the Protection of Animals(OIPA)」は、Twitterで惨状をシェアした。

現在ムクドリたちの死因については明らかにされていないものの、同団体は「爆竹や花火は、鳥たちの止まり木の近くで使用されたと考えられます」と推測している。

同団体の代表者ロレダーナ・ディーリョさん(Loredana Diglio)は、「ムクドリは恐怖によって一斉に飛び立つと、お互いにぶつかってしまったり、窓や電線に衝突する可能性もあります。それにムクドリは心臓発作で死んでしまうこともあるのです」と語る。

また毎年、花火によって野生動物だけでなくペットや家畜も苦しんでいるそうで、OIPAのイタリア支部は個人への花火の販売禁止を要請する方向で動いているという。

今回の件について、英国王立鳥類保護協会「RSPB」は「花火が野鳥に害を与えているというエビデンスはほとんどない」としているが、花火の影響は雷雨によるものと酷似しているそうだ。同協会は「野鳥への被害を最小限にするために、私たちは花火を打ち上げる団体に対して自然保護区や野鳥の営巣地、ねぐらなど傷つきやすい野生動物がいる近くで打ち上げないように通達しています」と述べている。

なお今回のニュースには人々から「自然のことを顧みない、身勝手な奴らだ」「花火を全部禁止にするべき」など非難の声があがっており、一方で「本当に花火が原因なのか?」「花火が原因なら毎年起こっているんじゃないの?」と疑問の声も寄せられた。

ちなみにローマでは、冬の時期になるとムクドリがヨーロッパ北部より群れをなして飛来する。ローマのような都心部では熱が発生しやすいため、越冬のためにやってくるそうだ。

画像は『Euronews 2021年1月1日付「Hundreds of birds found dead in Rome’s streets after New Year fireworks displays」(Copyright Alessandra Tarantino/Associated Press)』『OIPA International 2020年1月2日付Twitter「#Rome #Italy: #NewYearsEve2021 the terrible consequence of #fireworks」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)