ワイン片手に別府の独演会に現われた村本。なぜか「OK」を連発

 2020年12月6日放送の『THE MANZAI』(フジテレビ系)でも、政権を風刺した漫才が反響を呼んだ “社会派” お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔(40)。

「俺がやるトークライブは、だいたい店のオーナーさんがチケットを手売りして、後輩芸人が手伝ってくれる。何もしてないのにギャラをとる会社を何と言うか、知ってますか? “反社会勢力” です!」

 2020年末に福岡で開催された独演会では、所属する吉本興業に、こう噛みついていた。当然これは、2019年に起きた同社の「闇営業問題」をイジったものだ。

 その1年前、村本自身が2018年にタイで “闇営業” をしていたという疑惑を、本誌は掴んだ。イベントに関わった現地の関係者・M氏はこう話す。

「2018年5月31日、村本さんはタイ・バンコクの日系レストラン『G』で独演会を開きました。プライベートでのタイ訪問でしたが、現地在住で旧知の仲の吉本芸人・あっぱれコイズミさんに斡旋されてのものでした。彼は、吉本の『住みますアジア芸人』というプロジェクトで、タイに派遣されている芸人です」

 村本が語るとおりの、芸人仲間に手伝わせてのイベントだったが、店側と吉本の社員とのあいだでは一度もギャラなどのやり取りはなく、すべてコイズミとのあいだで決めたという。

「入場料は1人800バーツ(約2700円)と、別途ドリンク代。客は50名ほど来ていたので、その入場料とドリンク代を村本さんと店で山分けする約束でした。

 ギャラは、吉本の銀行口座への振り込みではなく、村本さんにその場で現金で支払われました。『税務申告するのかな』と気になったことを覚えています」(M氏)

 独演会中、村本はワインをラッパ飲みしながら、上機嫌でトークしていたという。

「タイのご当地ネタを披露したあと、オウム真理教や北朝鮮、在日問題など、タブーのない話で場を沸かせました。予定の45分が過ぎても話しつづけて、予定時間を倍近くオーバーしてましたね」(同前)

 会場となった店「G」の元従業員・B氏にも話を聞いた。

「独演会のポスターを作る際、コイズミさんから送られてきた村本さんの写真は、解像度が低く使いものになりませんでした。代わりの画像は『ない』と言われ、仕方なく吉本興業のHPにあったプロフィル写真を、こちらで使ったんです」

 前出のM氏が続ける。

「村本さんは、タイの就労ビザを取っていないようでした。誰も気にしてはいませんでしたが……」

 これまで、闇営業問題に一石を投じる発言を繰り返してきた村本。M氏やB氏の証言が事実なら、明らかな “言行不一致” だろう。2020年12月24日、大分・別府での独演会に、酩酊して現われた本人を直撃した。

――2018年にタイで開かれた独演会を覚えていますか?

「OK、OK……正直、覚えてない。吉本に聞いてください」

――これは “闇営業” だったという証言があります。

「(店などに)行ったときに『しゃべらせてよ』となることはある。でも、チケット代もドリンク代も、俺じゃなくて店に入るようにしてる。(タイの件も)それだと思う」

――ビザなしの不法就労では。

「不法就労はしてないね。俺の芸人生命に関わるし、ちゃんと調べてください!」

タイでの独演会のポスター。「チケット代800バーツは、村本さん500バーツ、店300バーツで配分されました」(Bさん)

 本誌は、コイズミにも電話取材を試みたが、「お答えすることはありません」の一点張りで電話を切られた。吉本興業に確認すると、以下のような回答があった。

「ご指摘のショーは、当社にも事前に報告されており、現地法令に照らしても不法就労にはあたらないものと認識しております。また納税義務に関しては、ショー主催側で必要な源泉税を控除のうえで支払われるべきものとして、問題ないと認識しております」

 だが前出のB氏は、こう話す。

「ギャラは現金手渡しで、領収書ももらってません。源泉徴収も処理していませんよ」

 タイの法律事情に詳しい青木健悟弁護士が解説する。

「就労ビザと労働許可証の2種類を申請・取得していない外国人が事業所得を得た今回のケースは、タイの『外国人就労法』に照らして、不法就労に該当する可能性が高いです。

 また、一回限りのライブでも、タイで得た事業所得については、タイまたは日本に対する納税義務が生じます。現地で売り上げを申告していなければ、脱税とされる可能性もあります」

 ある吉本興業関係者が言う。

「村本さんもコイズミさんも、このタイでの独演会について後日、報告せずにおこなったことを、吉本から強く怒られたと聞いています。『もう終わった話』と、本人は思っていたかもしれません」

 かつてツイッターで、《おれなら振込詐欺で稼いだ金であろうが自分の芸を売ったなら金は絶対とる。堂々と芸を売ればいい》と豪語した村本。その言葉に、偽りはなかったが――。

(週刊FLASH 2021年1月19日・26日合併号)