香川真司はどこへ行く? 新天地を決めるための2つのポイント
無所属の状態が続いている香川真司が、新天地を見つけるべく、重要な冬の移籍期間を迎えようとしている。
1週間ほど前には古巣セレッソ大阪復帰の可能性が報じられたが、本人が自身のSNS上でそれを否定。セレッソ側は獲得オファーを認めたものの、香川は改めてヨーロッパで移籍先を探す意思を表明している。
また、その直前には前所属クラブのサラゴサ(スペイン2部)のイバン・マルティネス現監督が香川復帰の可能性を模索したが、「一度ライセンスを取り消された選手(契約を解除した選手)は、同一シーズン中、それまで契約していたクラブでライセンスを取得することはできない(再び契約することはできない)」というスペインサッカー連盟の規約により、今シーズン中のサラゴサ復帰が不可能であることが地元紙で報じられた。
10月2日にサラゴサとの契約が解除された香川は、現在自宅やサラゴサのトレーニング施設などで自主トレーニングを行ない、コンディションの維持に努めているが、果たしてこの冬に本人が納得できるかたちで新天地を決められるのか。これまで日本サッカー界をけん引してきた選手だけに、サッカーファンにとっては大いに気になるところだ。
サラゴサで1部昇格プレーオフを戦って以来、実戦から遠ざかっている香川真司
そもそも、2019年夏に2年契約でサラゴサ入りを決めた香川が無所属状態に陥った背景には、昨シーズンの香川のパフォーマンスと支払っているサラリーが見合わなかったこと、そして新シーズンに向けてEU外の外国人枠に別の選手を獲得したいというサラゴサ側(特にルベン・バラハ前監督)の意向があった。もちろん、1部昇格が叶わなかったことと新型コロナウイルスの影響により、クラブ予算が大幅に減少したことも無関係ではないだろう。
香川本人は引き続きサラゴサでプレーすることを望んでいただけに、想定外の事態となったわけだが、その一方で、契約解除によってフリートランスファー(移籍金なし)になったことで香川の選択肢が広がり、早い段階で新天地が決まるとも見られていた。
ところが、熱心にオファーしたサバデル(スペイン2部)を筆頭に、PAOK(ギリシャ1部)、デュッセルドルフ、ハンブルガーSV(ともにドイツ2部)、ブレッシャ(イタリア2部)など、興味を示したクラブはあったが、高額なサラリーなどがネックとなり、いずれも香川本人が望むかたちの契約には至らなかった。
これだけ具体的なクラブ名が挙がったあたりは香川のヨーロッパにおける実績とネームバリューの証といえるが、さすがに本人も移籍がこれほど難航するとは考えていなかったのではないだろうか。
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こうなると、ファンが懸念してしまうのは、今年8月16日に行なわれた昇格プレーオフ準決勝第2戦以来、4カ月以上にわたって香川が実戦から遠ざかっているという点だろう。しかし、これについては本人はそれほど焦りを感じていないと思われる。なぜなら日本代表のチームメイトがいいサンプルになってくれているからだ。
たとえば今夏、マルセイユ(フランス)に加入した長友佑都だ。
前所属のガラタサライ(トルコ)で、外国人枠の関係もあって実質的に構想外となった長友は、2019年12月28日のアンタルヤスポル戦を最後に実戦から遠ざかることとなった。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの最中も自主トレーニングに励み、今夏の移籍を勝ち取ることに成功。新シーズン開幕後の9月20日にはリーグアン戦デビューを果たし、約9カ月もの空白期間を乗り越えている。
また、現在ストラスブールでゴールマウスを守る川島永嗣も、2015年5月にスタンダール・リエージュ(ベルギー)を退団した後、半年以上の浪人期間を経てダンディー・ユナイテッド(スコットランド)と契約合意。さらに翌2016年夏にはメス(フランス)に移籍し、第3GKの立場から最終的に正GKの座を勝ち取った。2018年夏に加入したストラスブールでも、第3GKから這い上がることに成功している。
身近なところに同じような経験をした仲間がいることは、無所属状態が続く香川の不安を取り除くには十分な要素といえる。焦って誤った選択をしてしまうよりは、じっくりと冬の移籍期間を待ってから新天地を選ぶことを選択したのも頷ける。
繰り返しになるが、香川のヨーロッパにおける実績とネームバリューは、現役の日本人選手のなかでも屈指のものがある。実際、これまでセレッソ以外にもニューカッスル(イングランド)やトリノ(イタリア)などが移籍先の噂にあがっており、フリートランスファー選手として冬の移籍マーケット上の注目株であることは間違いない。
問題は、移籍先の舞台とサラリーを本人が納得できるかどうか、という2点に絞られるだろう。これまで香川はスペインでのプレーを希望しているだけに、たとえ2部のクラブであったとしても最優先するのはスペインになりそうだ。しかし、それを上回る魅力的な移籍話があれば、スペイン以外のクラブに移籍する可能性も十分にある。
各リーグにより多少のバラつきはあるものの、今シーズンの冬の移籍期間は2021年1月4日にオープンし、2月1日に期限を迎える予定だ。その約1カ月の間に、香川は新天地のクラブと無事契約をかわすことができるのか。果たしてその移籍先はどのクラブになるのか。注目の移籍マーケットが始まろうとしている。