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国産チャイシーは黒/茶/グレーがほとんど

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

チャイルドシートの安全性や使いやすさを検証したり、新製品を紹介したり……仕事でチャイルドシートに関わるようになって20年が経った。

これまで検証や紹介をしてきたチャイルドシートは少なくとも500台は超えるだろう。

コンビやアップリカ、エールベベなどの国産品は花柄などの柄モノは皆無、色も、茶色やグレー、黒が主流でわずかにベージュ……という構成。

筆者が最近、新しいチャイルドシートを見るたびに感じていたことは「なぜ、日本製チャイルドシートは黒や茶色、グレーなど地味な色が多いのか」ということだ。

マキシコシ(オランダ)やブリタックス・レーマー(ドイツ)、サイベックス(ドイツ)、ジョイー(イギリス)、グレコ(アメリカ)など海外ブランドのチャイルドシートは赤や水色、グリーン、ピンクと茶色の花柄など、鮮やかな色が主流だ。

スクーデリア・フェラーリ公式の『CYBEX FOR SCUDERIA FERRARI』をラインナップする、サイベックス社は乳児専用のCloud Z i-Sizeだけで、20種類以上のデザインバリエーションがある。

一方、コンビやアップリカ、エールベベなどの国産品は花柄などの柄モノは皆無、色も、茶色やグレー、黒が主流でわずかにベージュ……という構成だ。

華やかで明るいデザインが主流の海外製チャイルドシートと、寒色系主体の日本製チャイルドシート……この違いはいったい何なのだろうか?

一昔前は、日本製にも明るい色があったような気がするのだが?

最初に地味色を出したメーカーは?

法制化(2000年)の15年も前からチャイルドシートを販売してきたカーメイトに最近の傾向を聞いてみた。

同社は日本にチャイルドシートのJIS規格すら存在しなかった1986年に自社製品第1号の「マイティマミー2」を販売している。

欧州ナンバー1ブランド「マキシコシ」は暖色カラーのチャイルドシートがたくさん    マキシコシ公式サイト

茨城県にある結城テクニカルオフィスには国連基準(UN基準)の減速式衝突試験機を所有し、国土交通省の指導の下、認可試験の実施を認められた設備を持つ。

「弊社は2000年にチャイルドシート本体や関連用品などを『エールベベ』ブランドに統一し、2005年にはカラーやデザインを『パパ・ママ向け』に一新しました」

「それまで、ベビー用品の色味といえば、薄いピンクやブルーなど優しいカラーが定番でしたが、クルマの内装に合う落ち着いたダーク系のカラーに一新し、チャイルドシートのファッション性を高める方向に転換しています」

「とくに大ヒットしたのが『ダークブラウン』(こげ茶色)のチャイルドシートですね。クルマの内装にもマッチしてシックな雰囲気が良かったのだと思います」(カーメイト広報担当者)

エールベベが「パパ・ママ向けのシックな路線」に変更したことで、その後、他の国産メーカーも黒やグレーを中心とするダーク系のチャイルドシートをラインナップするようになったという。

かつてはパステル系カラーのチャイルドシートを製造販売していたというコンビも、近年は黒やグレーが中心。

どのような理由なのだろうか。

チャイシーはパパ、ベビーカーはママの好み

「コンビでも、2007年ころ、マカロンカラーのチャイルドシートを出したことがあります」

「ミントブルーとか、ピスタチオグリーンとか……。ママにはカワイイ!と言って頂けるんですが、パパさんは抵抗があるみたいですね。『俺のクルマにこの色載せるの?』って感じで……。

ドイツブランドの「サイベックス」。1つの機種に驚くほど多いデザイン、カラーバリエーションがある。

「そうすると、パパとママのバトルが始まるんです。で、結局、チャイルドシートはパパの意見が通り、ベビーカーはママの意見が通る……そんな感じです(笑)」

なるほど。コンビのコメントに、「日本は地味色のチャイルドシートが主流」の理由がありそうだ。

また、前述のカーメイトでも以下のように述べている。

「コロナ禍以降、パパが1人でチャイルドシートを買いに来るケースが増えました。なるべく家族を外出させないように、密な環境に妊婦さんを近づけないように、という配慮だと思います」

「それで一層、パパの好みで選ばれる傾向が強まっていますね」

では明るい色使いのデザインが多い、海外ブランドのチャイルドシートはどうだろうか? 決定権は日本と同じパパにあるのだろうか?

欧州ナンバー1シェアを誇るマキシコシや、英国王室や多くの自動車メーカーが純正採用するブリタックス・レーマーの日本正規総合代理店である(株)BMPインターナショナルに聞いてみた。

国産品と異なる? チャイシー決定権とは

「マキシコシはこれまで明るいポップな色のチャイルドシートを採用してきましたが、車両のインテリアに色調を合わせているのか、色数も減り落ち着いた色が増えてきています」

「ただし、ベビーカーとドッキングするベビーシート(乳児用)については、まだカラーバリエーションは多く車内だけではなく外でも使うものとして、とらえられているようです」

Cloud Z i-Size(サイベックス)はなんと1機種で20種類のデザイン・カラーバリエーションがある。

「ブリタックス・レーマーは、元々保守的なカラーリングが多いものの『DUALFIX i-SIZE』のカラーのように、質感を重視したものをラインナップしています」

「国産と異なるのはパパ・ママの決定権とベビーカーについてです」と続ける。

「新生児から使用するチャイルドシートの決定権はママにあり、次のお子様でも使えるように性別を問わない保守的なカラーが人気です」

「ベビーカーについては、売場のほとんどを『黒/紺/灰色』系が占めておりチャイルドシート同様、保守的なカラーが人気ですね」

国産チャイルドシートでは全般的に色の決定権はパパにあるが、ベビーカーとドッキングできるタイプが人気のマキシコシやレーマーではママに決定権があるとのこと。

とても興味深い結論がえられた。

色と安全性 関係はあるのか?

ところでチャイルドシートの色による、安全性の違いはあるのだろうか?

「暑い時期には黒っぽいチャイルドシートの方が熱くなるか?」という疑問に対して複数のメーカーに聞いたてみた。

「炎天下の駐車場に15分以上駐車した場合、車内に封じ込められた空気の温度が、チャイルドシートの表面温度よりも熱くなるため、色によるチャイルドシートの表面温度の違いはありません」との回答を得た。

なお、以下は筆者の個人的な考えだが、車内に赤ちゃんがいることがわかりやすいのは白っぽいチャイルドシートだろう。

車内放置など絶対にやってはいけないが、ミニバンのスモークガラス+黒いチャイルドシートは夜間など特に有事の際には外から見つけられにくくなる。

視認性を考えると明るい色が良いような気がするが、どうだろうか?

ちなみにジュニアシート(学童用)になると事情は異なってくる。

4〜12歳頃まで長期間使うことが主流なのでおさがりを考えずに選ぶ人が多いのだろう。

また、子どもの好みがはっきりしてくることもあって、ハローキティやマイメロディ、カーズや穴と雪の女王など賑やかなキャラクターものが人気となる傾向があるようだ。