お天気お姉さんブームが沸騰した2000年代。情報番組のお天気コーナーを担当する吉田恵、皆藤愛子など、多くの美女が人気となった。なかでも、『めざましテレビ』(フジテレビ系)3代目お天気お姉さんとして活躍した高樹千佳子さんの人気は、ずば抜けていた。

「楽しかったですね。生放送の緊張感もありましたし、たくさん失敗もしましたが、フリーアナウンサーのお仕事は大好きでしたよ」

 結婚しても変わらぬ美貌で、ハキハキと話す彼女。現在は、不動産会社の(株)オープンハウスで広報ディレクターを務める多田千佳子さん(41)だ。

「いまの肩書は『広報宣伝部係長』で、リリース関連やメディア対応がおもな仕事です」

 都内の同社ショールームにパンツスーツ姿で現われた彼女は、1児の母になっていた。

「4歳になる娘がいるので、朝は保育園に預けてから電車で出社しています。最初、通勤電車は新鮮でしたね(笑)。夕方は18時に退社して、お迎えに行ってます。子育て中のママ社員も多く、家族や子供を優先できる、女性に理解のある会社なんです」

 多田さんは、入社して約1年。なぜ、人気キャスターの座を捨ててまで転職したのか。

「時間に不規則な勤務形態で、結婚して子供もいる状況では、続けるのが難しくて。なによりも、アナウンサーは若い人たちがどんどん出てきて、世代交代が進む世界。『この先、先細りになるのなら、40歳をいい区切りとして、自分が必要とされる環境で仕事をしたい』と思ったんです」

  思い立ってからは、早かった。

「もともと大学で建築を学んでいた(横浜国立大学工学部建設学科卒)ということもありますし、“家” が好きなんです。

 不動産業界では『従業員5人に対して1人以上の割合』の宅地建物取引士を置くことが、法律で義務づけられているので、宅建士の資格ぐらい持っていないと雇ってもらえないだろうと思い、就職活動をするにあたり、子育てしながら必死に勉強して、なんとか合格できました」

 オープンハウスへの入社を決めた理由は、同社の “勢い” だった。

「2013年に上場して以来、業績が年平均30%以上も伸びているんです。それだけ勢いのある会社だったら、自分自身も成長できるだろうと思って。もう40代ですしね(笑)」

 キャスター時代は、人知れぬ苦労も多かったという。

「2年めに、『お天気キャラバン』で全国を移動しながら、5週間ほど生中継を続けたことがありました。雨が降ったら傘を差しての中継で、原稿が滲んで読めなかったり、スタジオとの回線が切れてやり取りができなくなったり、モニターの映像が見えなくなったり。不意に虫も飛んできて(笑)。

 そういうハプニングが多かったので、瞬時の判断力が鍛えられました。今は、社内イベントの司会をすることもありますが、あの生中継に比べれば緊張しません(笑)」

 現在は、仕事も子育ても充実し、日々の生活も変わったという。

「テレビを観る時間は減りました。広報として、あるまじきことですが(苦笑)。聴く音楽も、『おかあさんといっしょ』とかディズニーとか(笑)。子供がいると変わっていきます。

 高島彩さん、中野美奈子さん、戸部洋子さん……同世代で仲よくさせていただいた皆さんも、ママになりましたね」

 あのころ、毎朝どれだけチカちゃんの笑顔に癒やされたことか。幸せでいてくれてよかった!

(週刊FLASH 2020年8月11日号)