当時の水準から考えると高出力と感じる人が多数!

 登場から30年以上が経過した現在でも高い人気と実力を兼ね備えた名車、R32型スカイラインGT-R。

 日本国内でしか正規販売されていなかったものの、プレイステーション用レースゲームの「グランツーリスモ」に収録されたことから、マニア以外のクルマ好きにも認知され、いわゆる25年ルールが適用できるようになってからは北米市場への輸出も活発化して一気に中古車相場が跳ね上がったことも記憶に新しい。

 果たしてそんな稀代の名車であるR32型スカイラインGT-R、どんなところに衝撃を受けたユーザーが多かったのだろうか? といってもデビュー当時は免許がなかった筆者に代わり、当時を知る諸先輩方にお話を伺った。

1)凄まじいパワー感

 長らく日本車のパワーにおける自主規制値だった280馬力。もちろんR32型スカイラインGT-Rも280馬力を発生していたが、先んじて280馬力デビューしたフェアレディZ(ターボモデル)と比較してもパワー感は上に感じる人が多かったようだ。

 実際、フルノーマルの状態でパワーチェックをしたら280馬力を超えていたとか、抜けの悪いマフラーをエアクリーナーでワザとパワーを落としていたというような都市伝説的なウワサがささやかれるほど、当時の水準からすると高出力だったことが伺える。

高いスペックに対してデビュー時は低価格なことも魅力的だった

2)圧倒的な旋回能力

 R32型スカイラインGT-Rの駆動方式は4WDというのは知られるところだが、当時の4WDはトラクション性能は高いがアンダーステアが強く出るシステムというイメージが強かった。しかし、日産の誇るアテーサE-TSは、走行条件に応じて前輪にトルクを0:100から50:50の範囲で配分することを可能とし、FR的な回答性の良さと4WDならではのトラクション性能の高さを実現。

 それに純正で装着されたハイグリップタイヤの実力も相まって、圧倒的なコーナリングスピードと旋回能力を誇る。すべてはレースで勝つための技術とはいえ、その実力はストリートでも大いに実感することができたのだった。

3)スペックに対して圧倒的低価格

 今でこそGT-R(R35型)は1000万円クラスで、日産車のなかで最高級車種となっているが(それでも実力的に考えれば安いが)、R32型スカイラインGT-Rのデビュー時の価格は445万円だった。これはフェアレディZの2by2ツインターボの440万円と同等の価格であり、当時のフラッグシップモデルであるシーマの上級グレード510万円よりも安価な価格設定だったのである。

 もちろんベースグレードでもエアコンやパワステなどの快適装備は備わっており、レースベースの必要最低限の装備だけのグレードというわけでもなかった。時代が違うので直接比較はできないものの、今では当時の新車価格を上まわる個体もザラということを考えると、いかにお買い得だったのかがおわかりいただけるのではないだろうか。