令和2年は申告納税デジタル化の重要性が高まるターニングポイント!ミロク情報サービスが令和2年度税制改正大綱についてのセミナーを開催
ミロク情報サービスは2020年2月14日、令和2年4月に予定されている税制改正について、「個人も法人もデジタル化で申告納税環境が大きく変化 令和2年度税制改正大綱から見えてくるもの」と題したプレスセミナーを開催した。
セミナーにはMJS税制システム研究所税務システム研究会の客員研究員であり、立命館大学客員教授である税理士の植田卓氏が登壇し、税制に関するレクチャーを行った。
ミロク情報サービスは、企業向けのシステムインテグレーターだが、財務管理にも通じており、同社が開発する会計ソフトなどによる企業へのバックアップも行っている。同社のセミナーということもあり、プレス関係者も多く来場。税制改正に対する関心の高さをうかがわせた。
■2020年は電子データ申告納税環境元年
今回行われたセミナーのテーマである「令和2年度税制改正大綱」についてご紹介しておこう。昨今、「SDGs」という「17のグローバル目標と169のターゲットから成る国連の持続可能な開発目標」について耳にすることが多い。これからの社会はこの目標に基づき、持続的な経済成長を計る必要がある。そこで政府もオープンイノベーションの促進とそれに対する投資、また賃上げをしていくための税制上の措置を講じるために、連結納税制度の抜本的な見直しを行った。
これに加えて経済社会の構造変化を図るため、1人親家庭の子供に対する公平な税税を実現するほか、NISA(少額投資非課税制度)についても制度の見直しを行った。ほかにも国際化税制度の見直し、所有者不明の土地に関する固定資産税の対応、納税環境の整備が行われる、というのが概要だ。
植田氏はまず、大規模法人では電子申告が必須となっている環境について、これが軌道に乗れば中小企業に降りてくるのは時間の問題だと指摘。また個人についても、電子申告しない場合は、給与所得控除が65万円から55万円に下がるため、電子申告せざるを得ない環境になっていくと語る。「来年は法人も個人も確定申告は電子申告となる」(植田氏)。
電子申告の環境は整いつつあり、財務省の資料によると、平成29年度は法人の8割、個人でも5割以上が利用している状態だ。この流れが加速されていくことは間違いない。
また生命保険控除についてもペーパーレス化が予定されており、控除証明書が電子化される予定。住民税についても、住民税賦課決定通知はデジタルデータで会社に送られるようになるという。このため2020年は電子データによる申告納税環境元年とも言える。
■運用による資産価値向上へ
大規模な資産がなくても小口での運用が図れるNISA。欧米に比べて日本では貯蓄による資産形成をする場合が多く、証券などによる運用が図られてこなかった。これもあってNISAによる資産運用が開始されたわけだが、今回の税制改正大綱でも、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度である「つみたてNISA」について、2023年まで、20年の積立期間を確保するため、5年間延長された。これにより平成30年から令和19年までの20年間において新規積立が可能に。20年の非課税期間となった。
一般NISAについても、いま行っている積立投資とは別枠の非課税投資を可能となり、平成26年から令和5年までの10年間で新規積立が可能となった。今後は貯蓄から投資にシフトする方向での法改正が行われるため、「今後は積み立て分散投資による安定的な資産運用が求められるようになる」と植田氏は指摘する。
■未利用地の活用を促進。1人親の税制も見直し
現在、取引額が低い土地は税金などを考えると総体的にコストが高くなっており、取引がなかなか進んでいない状況がある。これについても利用を促進するため、保有期間が5年を超え、なおかつ建物などを含めて譲渡価格が500万円を下回る未利用地を譲渡する際、100万円の特別控除が創設される。ただしこれを悪用し、800万円での取引となる土地を半分に分けての取引については規制されるとのこと。
また未婚の1人親(寡婦・寡夫)について「寡婦(夫)控除」が適用されるようになる。これは寡婦に寡夫と同等の所得制限(年収678万円)を設けることになる。子ありの寡夫の控除額も、子ありの寡婦と同じく、所得税が27万円から35万円に、住民税も26万円から30万円と拡大される。
■医療費控除とふるさと納税についても改訂
確定申告における手続きの簡略化の一環として、e-Taxでの確定申告で医療費控除を受ける場合、社会保険診療報酬支払機関や国民健康保険団体連合会から医療費のデータをダウンロードして送信できるようになる。また「ふるさと納税」についても、特定寄付仲介事業者が発行する証明書を利用して申告が可能になる。電子化による業務簡略化が進む方向での改正となるわけだ。
税制については、このほかにも多岐にわたる点での改正が行われる。これについては財務省のサイトにも掲載されているので参考にしてほしい。少子高齢化による構造変化を乗り越え、持続可能な成長を進めていくための税制について知ることは大事だ。
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セミナーにはMJS税制システム研究所税務システム研究会の客員研究員であり、立命館大学客員教授である税理士の植田卓氏が登壇し、税制に関するレクチャーを行った。
■2020年は電子データ申告納税環境元年
今回行われたセミナーのテーマである「令和2年度税制改正大綱」についてご紹介しておこう。昨今、「SDGs」という「17のグローバル目標と169のターゲットから成る国連の持続可能な開発目標」について耳にすることが多い。これからの社会はこの目標に基づき、持続的な経済成長を計る必要がある。そこで政府もオープンイノベーションの促進とそれに対する投資、また賃上げをしていくための税制上の措置を講じるために、連結納税制度の抜本的な見直しを行った。
これに加えて経済社会の構造変化を図るため、1人親家庭の子供に対する公平な税税を実現するほか、NISA(少額投資非課税制度)についても制度の見直しを行った。ほかにも国際化税制度の見直し、所有者不明の土地に関する固定資産税の対応、納税環境の整備が行われる、というのが概要だ。
植田氏はまず、大規模法人では電子申告が必須となっている環境について、これが軌道に乗れば中小企業に降りてくるのは時間の問題だと指摘。また個人についても、電子申告しない場合は、給与所得控除が65万円から55万円に下がるため、電子申告せざるを得ない環境になっていくと語る。「来年は法人も個人も確定申告は電子申告となる」(植田氏)。
電子申告の環境は整いつつあり、財務省の資料によると、平成29年度は法人の8割、個人でも5割以上が利用している状態だ。この流れが加速されていくことは間違いない。
また生命保険控除についてもペーパーレス化が予定されており、控除証明書が電子化される予定。住民税についても、住民税賦課決定通知はデジタルデータで会社に送られるようになるという。このため2020年は電子データによる申告納税環境元年とも言える。
■運用による資産価値向上へ
大規模な資産がなくても小口での運用が図れるNISA。欧米に比べて日本では貯蓄による資産形成をする場合が多く、証券などによる運用が図られてこなかった。これもあってNISAによる資産運用が開始されたわけだが、今回の税制改正大綱でも、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度である「つみたてNISA」について、2023年まで、20年の積立期間を確保するため、5年間延長された。これにより平成30年から令和19年までの20年間において新規積立が可能に。20年の非課税期間となった。
一般NISAについても、いま行っている積立投資とは別枠の非課税投資を可能となり、平成26年から令和5年までの10年間で新規積立が可能となった。今後は貯蓄から投資にシフトする方向での法改正が行われるため、「今後は積み立て分散投資による安定的な資産運用が求められるようになる」と植田氏は指摘する。
■未利用地の活用を促進。1人親の税制も見直し
現在、取引額が低い土地は税金などを考えると総体的にコストが高くなっており、取引がなかなか進んでいない状況がある。これについても利用を促進するため、保有期間が5年を超え、なおかつ建物などを含めて譲渡価格が500万円を下回る未利用地を譲渡する際、100万円の特別控除が創設される。ただしこれを悪用し、800万円での取引となる土地を半分に分けての取引については規制されるとのこと。
また未婚の1人親(寡婦・寡夫)について「寡婦(夫)控除」が適用されるようになる。これは寡婦に寡夫と同等の所得制限(年収678万円)を設けることになる。子ありの寡夫の控除額も、子ありの寡婦と同じく、所得税が27万円から35万円に、住民税も26万円から30万円と拡大される。
■医療費控除とふるさと納税についても改訂
確定申告における手続きの簡略化の一環として、e-Taxでの確定申告で医療費控除を受ける場合、社会保険診療報酬支払機関や国民健康保険団体連合会から医療費のデータをダウンロードして送信できるようになる。また「ふるさと納税」についても、特定寄付仲介事業者が発行する証明書を利用して申告が可能になる。電子化による業務簡略化が進む方向での改正となるわけだ。
税制については、このほかにも多岐にわたる点での改正が行われる。これについては財務省のサイトにも掲載されているので参考にしてほしい。少子高齢化による構造変化を乗り越え、持続可能な成長を進めていくための税制について知ることは大事だ。
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