ひんやりと冷たいアイスクリームといえば、やはり暑い夏に食べたくなるもの。しかし、真冬の寒い日に部屋を温かくして食べる"冬アイス"も、夏に食べるときとはまた違ったおいしさがある。そこで今回は、2019年12月〜2020年1月の間に発売されたアイスクリーム4種を食べ比べ。各メーカーがあえて冬に発売するアイスクリームにはどんな特徴があるのか、さっそくチェックしてみよう。

人気メーカー4社の冬アイス4種類を食べ比べ


○苺の風味がたっぷり! 江崎グリコ「アイスの実<大人の苺>」

まずは、2019年12月30日発売の江崎グリコ「アイスの実<大人の苺>」。今年で34年目を迎えるロングセラーの同ブランドから、初めてつぶつぶ果肉入りタイプが登場した。本物のイチゴのような味わいを実現するため、とちおとめをブレンドしたイチゴ果汁と、つぶつぶ食感のイチゴ果肉を全体の51%使用。素材本来のおいしさを追求したという。また、体調管理への意識が高まる冬に合わせ、1袋に1日不足分(※)に相当する35mgのビタミンCが入っている。※日本人女性20-49歳の1日の推奨摂取量−平均摂取量より算出

江崎グリコ「アイスの実<大人の苺>」(84ml/180円)


袋を開けた瞬間から、甘いイチゴの香りがふわり。1個をつまんで口に含むと、舌の上でじんわりと溶け始めた。なめらかなジェラートの中に果肉のつぶつぶ感が感じられ、後味はイチゴそのもののような甘酸っぱさだ。イチゴの果肉・果汁がたっぷり使われているため、想像以上にイチゴの風味が強い。そのまま食べるのはもちろん、グラスに数粒入れてソーダ水やスパークリングワインなどを注ぎ、オリジナルドリンクを作っても楽しめそうだ。

江崎グリコアイスクリームマーケティング部の松田紗季さんによれば「冬に旬を迎えるイチゴに着眼し、風味・食感ともに本物のイチゴのような『まるごと果実感』を楽しんでいただけるようにしました」とのこと。SNSなどでも「本物のイチゴを食べているみたい! 」と好評。保存期間が限られる生のフルーツの代替品としても、手軽に食べられるアイスの実が好まれているそうだ。

●江崎グリコ「アイスの実<大人の苺>」のポイント

・ロングセラー「アイスの実」初の果肉入りタイプ

・1袋に1日不足分のビタミンC入り

・本物のイチゴを凍らせたような"イチゴ感"が強い一品

○濃厚チョコの贅沢アイス ハーゲンダッツ「クリスピーサンド『フォンダンショコラ』」

続いて"ご褒美アイス"のイメージが強いハーゲンダッツの冬アイスをチェック。サクッとした食感のウエハース生地にアイスクリームをサンドした「クリスピーサンド」シリーズから、2019年12月10日「フォンダンショコラ」が登場。ベルギー産の70%ハイカカオチョコレートをアイスクリーム、コーティング、中心に入っているソースに使用。「芳醇なカカオの香りとビターで大人の味わいを心ゆくまでお楽しみいただけます」(ハーゲンダッツジャパン ブランド戦略本部 野々山 忠来さん)という、同社の自信作だ。

ハーゲンダッツ「クリスピーサンド『フォンダンショコラ』」(60ml/295円)


高級感のあるパッケージを開け、内袋から取り出してひと口かじる。ココアウエハースのサクッとした食感に始まり、パキッと軽やかなチョココーティング、しっとりなめらかなチョコアイス、とろりと濃厚なチョコソースと、さまざまな食感が次々と現れるのが楽しい。どこをかじってもほろ苦く香り高いチョコレートの風味が感じられ、チョコ好きにはたまらない! アイスクリームというより、贅沢なデザートを食べているような満足感のある一品だ。

「冬はチョコレートスイーツの人気が高まる傾向があり、その中でも濃厚な味わいを楽しめる"フォンダンショコラ"に着目しました」(野々山さん)というのが、同商品を冬アイスとして発売した背景にある。リッチな味わいなので、ぜひ温かいドリンクと一緒に楽しみたい。ホットコーヒーと一緒ならビターな味わいにより深みが出て、ホットミルクを合わせればチョコとミルクが舌の上でまろやかにマッチしそうだ。

●ハーゲンダッツ「クリスピーサンド『フォンダンショコラ』」のポイント

・サクッ、パリッ、とろ〜り さまざまな食感が楽しめる

・ほろ苦いチョコの風味を全面に出したリッチな味わい

・温かいドリンクと楽しみたい、まさに冬向きのアイス

○火照った体をおいしくクールダウン ロッテ「クーリッシュ つぶつぶみかん」

「飲むアイス」というキャッチコピーを掲げ、アイスを吸い上げて味わうロッテの「クーリッシュ」。氷菓に分類され、夏こそ人気が高い同ブランドだが、2020年1月13日発売の「クーリッシュ つぶつぶみかん」は、風呂上がりや暖房がきいた部屋で食べることをおすすめしている冬アイスだ。みかん果汁入りのアイスをベースに、みかんのつぶつぶ果肉を入れて食感にアクセントを加え、さらに果実感をアップさせた。

ロッテ「クーリッシュ つぶつぶみかん」(140ml/140円)


容器全体を軽くもみ、適度に柔らかくなったところでチューッと吸い込むと、なめらかなアイスが口の中にスルスルと入ってきた。みかんの酸味とともにしっかり甘みも感じられる味だが、微細氷が入っているためテクスチャーがシャーベットのようにさっぱりとしているので、重さやしつこさはまったく感じない。時折つぶつぶの果肉がプチっと弾ける感触があるのも楽しい。驚いたのが、メーカーおすすめの食べ方通り暖房で温まった部屋で味わうと、幼少期にコタツに入ってみかんを食べていたときの記憶がふと思い起こされたこと。大人にも子どもにもなじみのあるみかんの味を、さっぱりとしたアイスで楽しむことができた。

発売日から約2週間、都内の銭湯でサンプリングを実施していた同商品。銭湯の利用客を対象に、風呂上がりに食べるおいしさを体験してもらうために行われたが、「毎日用意していた数量がなくなるぐらい好評でした」(ロッテ マーケティング部 クーリッシュブランド課 課長 北村考志さん)と、手ごたえは十分だったそう。「おいしい」「お風呂上がりにもちょうどいい」といった感想が届いており、火照った体をクールダウンしてほしいという同社のねらいがピタリとはまった、新しいシーンを開拓する冬アイスだ。

●ロッテ「クーリッシュ つぶつぶみかん」のポイント

・夏に人気の“飲むアイス”が、冬に合うみかんフレーバーで登場

・なめらかな食感に、みかんの果肉のつぶつぶ感がプラス

・風呂上がりや暖かい部屋で食べるのにぴったり!

○2つの味が一本に! 赤城乳業「不二家ルックアイスバー バナナ&ストロベリー」

「ガリガリ君」「ガツン、とみかん」などで知られるアイスクリームメーカーの赤城乳業。同社が不二家のロングセラーチョコレートブランド「ルック」とコラボし、2019年12月16日に発売した冬アイスが「不二家ルックアイスバー バナナ&ストロベリー」だ。見た目はチョコレートコーティングされた普通のアイスバーだが、アイスの上部分がバナナアイス&ソース、下部分がストロベリーアイス&ソースと、2つの味が一本で楽しめるユニークな商品になっている。アイス部分には「ルック」のチョコレート原料を配合し、より味わいを近づけた。

赤城乳業「不二家ルックアイスバー バナナ&ストロベリー」(85ml/160円)。写真右はアイスの断面。2つのフレーバーが上下に分かれている


まずはバナナ部分の上からかじってみる。チョココーティングがパキッと割れ、アイスとソースのダブルで味わえるバナナの甘みが口の中いっぱいに広がった。全体的にやさしい甘みだが、濃厚なソースのおかげで味がぼやけることがないのも特徴的だ。そのまま食べ進めていくと、ストロベリー部分に到達。ストロベリー部分のアイスは甘みが強いが、特にソースが甘酸っぱくてアクセントになっており、バナナ部分との味の違いが想像以上にはっきりと感じられた。2つの味の変化が楽しくお得感もあり、思わず笑みがこぼれてしまう。

「甘くて濃厚なものが美味しくなる時期に合わせ、ルックのチョコレート感を前面に感じられる品質に仕上げて発売しました」(赤城乳業 マーケティング部 係長 中村真理子さん)と商品の発売に至った背景を教えてくれたが、そこで2種類の味を一本に詰め込もうという発想が生まれることに、同社の遊び心を感じられる。購入者からは「どこを食べてもおいしい」という声が届いているとのこと。上から食べる、下から食べる、バナナとイチゴの境目から食べる……など、童心に返って食べ方をあれこれ試したくなるアイスだ。

●赤城乳業「不二家ルックアイスバー バナナ&ストロベリー」のポイント

・不二家の人気チョコレートブランド「ルック」とコラボ

・バナナとストロベリー、2つの味を一本で楽しめる!

・やさしい甘みのアイスに、濃厚ソースがアクセント

暑い時期は毎日のように食べていたアイス。いくら暖冬とはいえ、さすがに今の季節は食べる機会が減ってしまうもの。しかし、「冬こそ食べたい!」と思わせるような魅力的な商品もたくさん発売されている。気になる冬アイスがあったら、ぜひ暖かい部屋で味わってみては。

※価格はすべて税抜き