新年に、神社や寺院にお参りして、お守りをいただいた人も多いだろう。

お守りといえば、厄除け、招福、商売繁盛、学業成就、合格、交通安全、あるいは安産というのが、普通だろう。

ところが岡山県倉敷市にある神社のお守りが、ちょっとすごすぎると話題になっている。2020年1月1日に投稿された、次のようなツイートがきっかけだ。

地元の神社の「体のお守り」が、総合病院を上回る診療科の取り揃えだという。今年は「シナプス御守」まで登場したという。

「シナプス御守」って、読者は聞いたことあるだろうか? いったいどんなお守りなのか?

Jタウンネット編集部は投稿者のやん(@ihoriyan)さんに聞いてみた。

「脳神経回路の活性化が感じられるといいな?」


これが話題の「シナプス御守」。やんさん(@ihoriyan)のツイートより

話題の神社は、投稿者やんさんの地元、倉敷市の「日本第一熊野神社」だ。

「熊野神社は私の生まれ育った土地の神社で、帰省のたびに訪れています。子供の頃は遊び場でもあった場所でした」

ここに、「からだ守り」というのがあって、51種類のお守りがある。その最新バージョンが「シナプス御守」だ。

「この度、シナプスの御守を購入致しました(笑)。 脳神経回路の活性化が感じられるといいなと願っています(笑)」

詳しくは、宮司さんの話を聞いてみてはどうか、という薦めもあり、日本第一熊野神社に取材した。答えてくれたのは、佐藤みつゆき宮司だ。


日本第一熊野神社(Reggaemanさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「当神社は、熊野12社権現として、西暦701年創立の伝承があります。修験道が主導であつたため、病気の祈祷は昔から伝統でした。特に明治時代に入り修験道が淘汰されたため、当熊野神社が熊野12社権現さんとして、病気の祈願が集中しました。故に体が元気になること願うシンボルとしてお守りがあります」

「からだ守り」のルーツは、修験道ということだ。病気の祈祷は古来からの伝統だという。

「中国の五行の思想に『人間の精神と肉体は五臓五腑が支配していて、臓腑が健全であれば健康で長寿である』の考えが元。その思想に基づき、最初は5種類から始まりました」と佐藤宮司は語る。

現役看護士さんのアイデアで飛躍的に増えた「からだ守り」


やんさん(@ihoriyan)のツイートより

「からだ守り」が各部位ごとに細かく分かれているのはなぜか、佐藤宮司に聞いてみた。

「『困っている人に手を差し伸べる神社』になる理念の下、あるときボランテイアや巫女を含め会議をしました。
その中に、倉敷中央病院の看護士がいて、彼女の着想が大きなきっかけとなりました。それは『体の一部が病気に侵され不健康になる、その体の部位が良くなれば健康になる』ということです。そこで、病院の診療科をモデルに、お守りの種類を増やしていったのです」

修験道を起源とし、陰陽五行の思想からスタートした「からだ守り」が、現役看護士さんのアイデアで飛躍したわけだ。それにしても、「シナプス御守」とは......?


やんさん(@ihoriyan)のツイートより

「シナプス御守」を新たにつくったのはなぜだろう?

「私が高齢で物忘れが多くなり、どのように考えれば物忘れの少ない人生になるかと、医師に相談し、脳の中の部位としてシナプスの活動が活発になることを知ったことで新たにつくることにしました。
私自身も『シナプス御守』は常に保持しています、忘もののない普段の生活に気をつける基になっています。ポケットの中のお守りに触れると、自分の頭の中に指令が走ります、『生活用品の整理整頓、書類の整理管理、人の名前の記憶のことを考えろ、テレビなんか見ないで、自分の事をやれ!』と意識しています」

医師の苦労話の中からヒントを得ることも......


やんさん(@ihoriyan)のツイートより

新しいお守りをつくる場合、どんなプロセスがあるのか、佐藤宮司に聞いた。

「会議はボランティア全員で集まります。もちろん、医師にも相談します。医師の苦労話の中からヒントを得ることもあります。近く『安妊守り』を用意します。生命がこの世に出ることに感動、どうか無事に赤ちゃんがお腹で育ってください、との祈りを込めてつくります。安産守りとは少し違う考えです」

「からだ守り」のご利益(ご神徳)を受けるには、何か気を付けることは?と聞くと、「悪いところの部位に医者の投与の薬が効きますように、自分の悪い部位が免疫力がアップしますようと祈られるといいと思います」と佐藤宮司。


やんさん(@ihoriyan)のツイートより

「からだ守り」の使い方としてこんな方法もあるという。「旅のお土産にされるのはいかがでしょう。自分の周りの人が、例えば胃が悪い人に、胃のお守りを渡したら、受けた人は自分のことを心配してくれていると知り、感激するのではないかと思います」と佐藤宮司。

実際にご利益(ご神徳)を受けた人からの反応を聞いてみた。「感謝、お陰様の反響は、数限りなし。とくに白血病の人が驚きの感謝あり」と答えてくれた。

Jタウンネット記者も、「シナプス御守」のご利益をお願いしたい、今日この頃だ。宮司の話を聞いているうちに、倉敷を訪ね、日本第一熊野神社に参拝したくなっていた。