【今日の天体紹介:反射星雲 NGC 1333】


暗い雲の中に数えられる程度に光る星。この天体は、ペルセウス座の方向約1000光年先に位置する「NGC 1333」の一部をピックアップした画像です。ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」の可視光と近赤外線のフィルターのデータ用いて作成された合成画像で、2019年11月4日に公開されました。


NGC 1333は「反射星雲」に分類され、含まれる恒星の光を分子雲が反射することでその姿を映し出しています。この画像では、非常にシンプルな天体の様にも見えますが、実際は性質の異なる2つのグループで複雑な構成が、分厚いガスと塵によって隠されています。この複雑な構造は、2005年に公開されたスピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線撮影画像にて把握することができます。


スピッツァー宇宙望遠鏡で赤外線撮影されたNGC 1333。1枚目の画像より広域に捉えられている。(Credit: NASA)


2つのグループは、左上側にある赤く着色された星雲付近にある星団と、画像中央付近に位置する黄緑色の模様が絡み合った青とオレンジに包まれた星団です。混沌として荒れ狂うような黄緑の模様は、原始星から噴出したジェットと周囲の冷たいガスや塵がぶつかって現れたものと考えられています。


この様に、様々な波長によって捉えられた天体はその姿や表情を大きく変えてしまいます。おなじみの天体や、お気に入りの天体も、他波長で捉えた画像では今まで持っていたイメージを一転させるかもしれません。


なお、NGC 1333は、以前にも青く染まった5つの小領域でハービッグ・ハロー天体(HH天体)を中心に紹介していますので、合わせて御覧ください。


 


関連:若い星から立ちのぼる硝煙の様な天体(NGC 1333)


Image: ESA/Hubble & NASA, K. Stapelfeldt
Source: HUBBLE − NASA