いま話題の「令和即位礼記念人形」(写真はすべて天鳳堂公式ページより)

2019年10月22日、天皇陛下が即位を内外に宣言される国の儀式「即位礼正殿(そくいれいせいでん)の儀」が、皇居・宮殿で行われた。

陛下は、平安時代から重要な儀式での天皇の装束「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に身を包み、「高御座(たかみくら)」に昇られた。続いて、皇后さまは鮮やかな十二単姿で「御帳台(みちょうだい)」に昇られた。

この厳かな儀式の一部始終を生中継するテレビ画面に、思わず釘付けになってしまった人は多かったことだろう。

そんな中、この即位礼を再現したかのような記念人形がツイッターなどで話題になっている(写真上)。

精巧に造られた台座の中に立つのは、黄櫨染御袍を身にまとった人形と、十二単姿の人形。まさにテレビ中継で見た「即位礼正殿の儀」が再現されているではないか。いったいこの人形、何...?

「文化の継承」が願い


飾り台にも統工芸の技術がふんだんに...

冒頭の写真は、愛知県碧南市にある人形店・天鳳堂の「令和即位礼記念人形」だ。

Jタウンネット編集部は電話で詳しい話を聞いた。取材に答えてくれたのは,足達孝篤社長、「平安天鳳」という号を有する人形師である。

足達さんが皇室の衣裳を再現する人形に取り組むようになったきっかけは、1990年、現上皇さまの即位礼だったという。

また1993年、当時の皇太子殿下、雅子妃殿下(現天皇皇后両陛下)「御結婚の儀」の御着用衣裳の再現も行った。以来、皇室行事での装束を再現した人形を作り続け、「皇室シリーズ」として発表している。

「宮中のいろいろな決まり事である有職故実を研究する場合、当然、その頂点である天皇皇后陛下をはじめとする皇室のお召し物は避けて通れません。近代以降の大きな行事でお召しになった御衣裳を中心に、各種文献、写真、映像を参考にして忠実に再現しています」


天皇専用の黄櫨染御袍を再現した

衣裳の再現には、皇室とゆかりのある、京都の老舗織物業者の協力を得ているという。「織物を注文して、制作するのに、1年以上かかります」と足達さんは語る。「文化を継承して、もっと世の中に知らせたい」というのが、足達さんの願いだ。

今回の「令和即位礼記念人形」は、30年近く続けてきた皇室シリーズの成果の一つだ。

「束帯は天皇専用の『桐竹鳳凰』の筥形文を織り込んだ『黄櫨染御袍』です」
「十二単は即位礼当日のお召しものと同じ色柄の絹織物を新たに京都にて製作します」


飾り台の細部も注目してほしい

また人形が立つ飾り台は、聖天子の出現を告げる「鳳凰」「麒麟」の意匠など、細工や塗りに日本の伝統工芸の技術がふんだんに使われているという。

2020年6月30日までの期間限定品で、初回生産分は300セット。値段はケース入りで30万円、ケースなしで27万円(ともに税別)。完売した後は、受注生産となる予定だ。