サービス開始当初に掲示された「7pay」の告知(2019年7月、時事通信フォト)

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 スマホ決済サービス「7pay(セブンペイ)」が不正アクセスを受け、第三者によって不正利用される被害が相次いた問題で、セブン-イレブン本部が全国の店主に1万円分のクオカードを配布する方針が8月16日、明らかになりました。ネット上では「不正利用された客への補償が先では」「お客さんへの対応に苦労した店に、1万円で済ませるなんて」「クオカードだと結局セブンの売り上げになるのでは」といった疑問の声が上がっています。

 7月1日に始まったばかりのセブンペイは、9月末で終了することが既に決まっていますが、事後処理の在り方も課題になりそうです。セブン&アイ・ホールディングス(HD、東京都千代田区)の広報担当者に聞きました。

「調整しているのは事実」

Q.8月中に、全国のオーナーに1万円分のクオカードを配布する方針を決めたのは事実でしょうか。

担当者「その方向で調整しているのは事実です。ただし、(1万円分のクオカード配布という)この限りではなく、加盟店さまには、他の対応も検討している最中です。加盟店さまには、まだ今回の方針についてお伝えしておらず、配布などについて、まず加盟店さまにお伝えしたいという意向があります。現時点では、これ以上の詳しい説明は控えさせてください」

Q.配布の理由は、セブンペイ問題のおわびということでよいのですか。

担当者「その通りです」

Q.なぜ1万円なのでしょうか。ネット上では「お客さんへの対応で店は大変だったのだから、1万円は少ないのでは」という声があります。

担当者「先ほどもお話しましたが、店に対するその他の対応について、まだ検討している最中です。当然、これだけで終わることはありません。『1万円』が独り歩きすることが一番困ります」

Q.なぜ、クオカードなのでしょうか。オーナーが他店で使うことは考えづらく、自分の店で使えば結局、セブン本部にある程度還元されることになるのでは。

担当者「その点も、さまざまな検討があってのことです。現時点ではこれ以上はお話できません」

Q.ネット上では「不正チャージや不正利用されたお客さんへの補償が先では」との声があるようです。

担当者「お客さまが先なのは当然です。記者会見でもお話していますが、8月19日から補償の対応を開始する予定です」

Q.約2万1000店に配れば億単位のお金がかかると思われます。その原資はどこから出すのでしょうか。

担当者「まず、加盟店さまにお伝えしたいので、これ以上の詳しい説明は控えさせてください」

 セブン&アイHDによると、7月31日午後5時時点の被害者は808人、被害総額は3861万5473円。不正アクセスを防げなかった要因として、ショートメッセージでパスワードを送って本人確認をする「2段階認証」を導入していなかったことなど、セキュリティーの不備が挙げられています。