エーエヌディーが入居しているビル(帝国データバンク撮影)

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関東の医療機関に対して発生した多額の不良債権も重荷に

 (株)エーエヌディー(TDB企業コード:097009511、資本金3000万円、福岡県福岡市中央区舞鶴2-7-3、代表久保田洋充氏)は、7月10日に福岡地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分・監督命令を受けた。

 申請代理人は矢部聖子弁護士(福岡県福岡市中央区天神1-6-8、森・濱田松本法律事務所福岡オフィス、電話092-739-8140)ほか2名。監督委員には高松康祐弁護士(福岡県福岡市中央区警固1-12-11、弁護士法人みらい法律事務所、電話092-781-4148)が選任されている。

 当社は2013年(平成25年)4月、医療物流管理に関するシステム開発およびコンサルティングを目的に設立した。翌年からは九州エリアの医療機関を対象に、医療材料や医薬品などを一括調達する調達代行事業に進出し、事業の主軸をシフト。グループの特定目的会社(SPC)を活用することで医療機関の支払サイト調整(長期化)を図るほか、高額医療機器のリースにも対応するなどで医療機関のコストダウン、資金繰り緩和、事務負担軽減を実現するサービスを提供してきた。また、医療材料や医薬品等の物品物流管理に関する業務受託やシステム開発、医療行為を除く周辺業務など院内業務の包括運営なども行うなかで、販路が近畿以東にも拡大。株式公開を目指して第三者割当増資を重ねるなどで資金を調達して事業規模を拡大し、2017年3月期は年売上高約90億円を計上するなど急成長を遂げていた。

 しかし、大幅な営業赤字が続いていたなか、関東エリアの医療機関に対して多額の不良債権が発生。2017年11月にはグループの特定目的会社を解散したことで調達代行、設備投資支援などの事業拡大路線を見直さざるを得なくなり、2018年3月期の年売上高は約38億3200万円にまで落ち込んだ。以後も苦しい資金状況が続くなかで事業縮小を余儀なくされ、自主再建を断念、今回の措置となった。

 負債は現在集計中だが約45億円が見込まれる。

 なお、事業は現在も継続しており、7月17日午後1時30分より「TKPガーデンシティ博多アネックス(会議室:ジュピター)」(福岡県福岡市博多区博多駅前4-11-48 ホテルサンライン福岡博多駅前2階)において、債権者説明会を開催する。