何とも頼もしい戦いぶりである。ポーランドで開催されているU―20W杯に出場している日本代表だ。

 出場資格を持つGK大迫敬介、MF安部裕葵、久保建英の3人が選考外となったことで、U−20日本代表への期待は一時的に下落した印象があった。大迫と久保はキリンチャレンジカップとコパ・アメリカの日本代表メンバーに、安部はコパ・アメリカのメンバーに選出されたが、U−20W杯が不甲斐ない戦いに終われば「やはり彼らを招集しておくべきだった」との空気が再燃しかねなかった。

 それがどうだろう。エクアドル、メキシコ、イタリアとのグループリーグを1勝2分の2位で突破し、2大会連続のベスト16入りを果たしたのだ。

 影山雅永監督と選手たちにすれば、意地があったのだと思う。「3人がいないから負けた」とは、絶対に言わせたくなかったはずである。ポーランドで結果を残すことで自分たちの力を証明するとの決意が、チーム全体に広がっていったと想像できる。久保らが出場せず、チームは早期敗退するという最悪の事態は、選手たちの頑張りによって避けられた。

 フル代表の力関係が、U−20世代は必ずしも当てはまらない。前回優勝のイングランドが予選で敗退し、5度の優勝を誇るブラジルは2大会連続で本大会出場を逃した。

 すでにベスト16入りを決めた国々には、ニュージーランドやウクライナといった国が含まれている。開催国のポーランドも、成績上位の3位チームでノックアウトステージへ進みそうだ。

 日本は田川亨介と斉藤光毅が第3戦で負傷し、チームを離脱することになった。ケガからの回復過程にある選手もいる。選手のやりくりが難しくなりそうだが、それもまたモチベーションになるだろう。「田川と斉藤の分まで」という気持ちに「次は自分がチームを勝利へ導く」との思いが折り重なり、決勝トーナメント1回戦を戦うチームの支えとなるはずである。

 2年前の決勝トーナメント1回戦では、ベネズエラに延長戦で敗れた。0対1というスコアが示すように、力の差はほとんどなかった。

 日本を下したベネズエラは、準々決勝でも延長戦の末にアメリカを退けた。ウルグアイとの準決勝はPK戦の末に勝利をつかみ、同国史上初のファイナルへ辿り着いた。決勝ではイングランドに敗れたが、大会に驚きをもたらした。

 15年大会で優勝したセルビアも、決勝トーナメントは接戦を拾っていった。ハンガリーを延長で下し、準々決勝はアメリカにPK勝ちし、準決勝ではマリを延長で退けた。ブラジルとの決勝も、延長戦にもつれる死闘だった。

 影山監督率いる日本は、決勝トーナメント1回戦でポルトガルか韓国と激突する。03年以来の準々決勝進出となれば、セネガル、ナイジェリア、ノルウェーのいずれかだ。

 いずれも、簡単に勝てる相手ではない。だが、勝機を見出せない相手でもない。東京五輪へ弾みをつけるためでなく、自らの成長のために、選手たちには新しい歴史を作ってほしいのである。