相手を小突いて倒すなど、かなりのストレスを溜め込んでいる様子のF・トーレスは、審判に対してジャッジの説明を求める場面もあった。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ3節]FC東京2-0サガン鳥栖/3月10日/味の素ス

 開幕から続く不振にフラストレーションを溜め込む“エル・ニーニョ(神の子の意)”の姿がそこにあった。

 キックオフ直後から相手のボールホルダーに対し、タイトなマークで対応する策が講じて順調に試合を進めていた鳥栖だったが、61分にボランチの高橋秀人が2枚目の警告を受けて退場となると一気に守勢に……。88分に三丸拡のオウンゴール、そして後半アディショナルタイム3分にジャエルにダメ押し点を奪われて力尽きた。

 この日の鳥栖の総シュート数はFC東京の13本に対してわずかに3本のみ。攻撃陣が悪戦苦闘するなかで、今シーズン初ゴールが期待されたフェルナンド・トーレスは、自陣に下がってボールを受けてはタメを作るなどの工夫を凝らしたが、結果的に自身が放ったシュートは1本という寂しい結果に終わった。

 試合後、34歳の元スペイン代表FWは、「チームはよくやったと思う。ただ、一人退場となったことでゲームが困難になった」と感想を述べると、さらにJリーグのレフェリングについて言及した。
 
 この試合中のF・トーレスはかなりのフラストレーションを溜め込んでいた。それが明確に見て取れたのは、67分のあるシーンだ。相手MF郄萩洋次郎に背後から足を引っ掛けられたことに怒り、立ち上がった直後に小突き、あわや退場かという振る舞いを見せたのである。このあたりからF・トーレスは集中力を途切れさせたようにも見えた。

 さらに試合終了間際の2失点目の直後にも、GKを含めた全員がゴールセレブレーションに参加したことを「遅延行為だ」と言わんばかりの猛アピールを主審と副審にしていたF・トーレスはJリーグのジャッジ基準に対してジョークを交えつつ語っている。

「サッカーが日本は違うものなのかなと思っているよ。まぁ、日本のルールについての本を買って勉強するつもりさ。もちろん審判も人間ですからミスを犯す。ただ、もっとルールというものを僕自身が理解すべきなのかなと思っている」

 皮肉とも取れる発言だが、F・トーレスは続けざまに、「一人少ない状態でも自分たちの態度や姿勢は見せきれたと思っている」ともコメント。試合内容への手応えを語った表情は少し疲弊しているようだったが、次戦を見据えてしっかりと切り替えられているようだ。

 鳥栖に今シーズン初勝利の瞬間はいつ訪れるのか。いまだノーゴールが続いている現状を考えれば、百戦錬磨のストライカーであるF・トーレスの号砲こそが、何よりも求められると思うが、果たして――。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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