2018年の日本シリーズは福岡ソフトバンクホークスと広島東洋カープの対戦となり、ホークスが2年連続の日本一を決めた。どちらも熱狂的なファンを地元に持ち、かつ距離も近い都市同士での日本シリーズとなったが、決戦後の山陽・九州エリアでは「応援セール」をめぐってこんな現象が起きていた。

中国地方を中心に、ショッピングセンター「ゆめタウン」を展開する株式会社イズミは、日本シリーズ終了後の11月4日から7日まで、ホークスの「日本一おめでとうセール」とカープの「感動ありがとうセール」を開催。広島と福岡の店舗がそれぞれ地元のチームを応援するのは当然として、中間の山口はホークスとカープ、どちらのセールを実施したのか――


どのように区分けを?(画像はイメージ、ポトリさん撮影、Wikimedia Commonsより)

境界線は西に移動

イズミのセールの実施状況を調べてみると、ホークスおめでとうセールは九州全域と、山口県の下関市内4店で開催し、「ゆめタウン長府」が東端。一方、カープありがとうセールは、広島県はもちろん岡山・島根・香川県の全店舗と、山口県では下関市内以外の全店で開催。西端は山陽小野田市の「ゆめタウン小野田」で、下関市とは隣同士で、ホークス側のゆめタウン長府とは直線距離で15キロという近さだ。


ゆめタウン長府とゆめタウン小野田の位置(C)Google、ZENRIN

中国地方の中で、下関市だけがホークスの地元とみなされているようだ。この区分けについて、11月6日に株式会社イズミに取材したところ、

「下関は福岡経済圏と考えて、ホークスのおめでとうセールを開催しました」

との説明が。ホークスとカープは17年にもリーグ制覇しているが、その時は下関市内に加えて山陽小野田市と宇部市の店舗もホークスの優勝セールを開催していたという。今年はカープとホークスの境界線が西に移った形だが、これについては「当社としての戦略を見直した結果です」とのことである。


2017年と2018年のイズミ店舗のセールの境界線(C)Google、ZENRIN

また広島県外でも大々的にカープへのありがとうセールを実施していることについては、

「広島が地元の企業として、応援する姿勢を見せようと」

という回答をいただいた。イズミはカープとホークス両方のスポンサーになっているが、カープについてはひときわ熱が入っているようだ。

確かに下関市は関門海峡の向こう側の北九州市との結びつきも深く、広島より福岡の方が近い。地元の皆さんからも、実体験を踏まえてか次のような反応が。

山口県内での下関の微妙な立ち位置とともに、中国地方のほぼ全域でセールを実施してしまうイズミの熱の入れように、カープへの支持の根強さも実感させられた。