日本でもいつの間にか一般化したイベント「ハロウィン」。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いを持つ祝祭であった。しかし、アメリカで民間行事として定着。その後、日本に入ってきたときには「仮装・コスプレ」イベントとしての風合いが強まった。


2015年10月30日の渋谷の様子(記者撮影)

特に東京・渋谷では、さまざまな仮装をした人々が集まることが恒例行事に。しかし、ごみのポイ捨てや酔っ払いの暴挙など現地の混雑や混乱は年々エスカレート。ハロウィン明けの渋谷の惨状がSNSで批判される流れが定着してしまった。

こうした現状を見ると落ち着いて楽しみたい人、変わった楽しみ方をしたい人もいるのではないか。そこで、人が群がる東京から視点を変え、地方で行われている独自のハロウィンイベントについて調べた。

ハロウィンにマラソン? ユニークイベント

最初に紹介するのは、2018年10月28日、広島県東広島市で行われる「ハッピーハロウィンランひがしひろしま」だ。全国的に盛り上がりを魅せるランイベントとハロウィンを混ぜたハイブリッドな催し。ランイベントといっても本格的なものではなく、親子や仮装したランナーに配慮して、距離は1キロの設定になっている。仮装ランナーを対象としたコンテストも行われ、早さだけでなく衣装のユニークさも勝負どころ。

コース上には広島県のご当地スイーツや飲食が置かれる。


イベントの告知チラシ

Jタウンネット編集部は25日、イベントを主管する東広島青年会議所の担当者に対して取材を行った。

元々は地方創生を目的にイベントとして企画され、ランイベントに捕らわれずに考えていた。「東広島に人が集まるアイデアを」と、東広島青年会議所の中でコンペを開催。集まった候補の中から選ばれたのが「ハロウィンとランイベント」のミックスであった。

つい「ハロウィンにわざわざは知らなくても」と出不精の筆者は考えてしまうが、参加者からは、

「仮装してお菓子食べてワイワイ楽しめる」

と好評のコメントが寄せられているという。

取材をした担当者からもイベントの魅力について、

「東広島の良さが来た方に伝わる」

と話した。ただ走るだけではなく、東広島の人気菓子店のメニューが食べられる。また、酒の町であるため、給水所ではお酒造りで使われる「仕込み水」が御猪口で渡されるなど走る以外の魅力要素が大きいのが特徴だ。

2016年に始まって今年で3回目。今回のエントリーは残念ながら終わってしまったが、来年に関しては「未定」とのことで、開催の可能性がある。

さらにアクティブ! ハロウィンキャンプ

「ハロウィンキャンプ」と呼ばれる催しを行うキャンプ場も。仮装はもちろんのこと、かぼちゃランタン作りやほかのサイト(テントを張る場所)を訪れてお菓子をもらうといったイベントが用意されている。

数ある「ハロウィンキャンプ」の開催場所の中で、埼玉県飯能市にある「ケニーズ・ファミリービレッジ」を取り上げる。このキャンプ場では、人間の仮装イベントだけでなく、キャンプ中の居住スペースとなる「サイト」のデコレーションコンテストも行われる。

チェックイン時にエントリーを申し込み、順次スタッフが見回って写真撮影。10月31日の締め切りまでに集まったものの中からグランプリを決める。


ハロウィンキャンプの様子

人間どころかログハウスやテントまで仮装するユニークなイベントだ。Jタウンネット編集部は25日、ケニーズ・ファミリービレッジを運営する鳥居観光の川口泰斗さんに取材を行った。

そもそもハロウィンとキャンプの組み合わせを何故、思いついたのか。

「元々、舶来のものというイメージが強いハロウィンと欧州から普及していった文化であるキャンプ。同じ西洋的なもののコラボをしたら面白い」

として採用されたという。

さらに、アメリカでは「トリック・オア・トリート」と子どもが仮装して街を歩く文化にも着目。ファミリーキャンプ場であるケニーズにとって「子どもが楽しめるイベント」であることも重要な要素になる。

ハロウィンのエッセンスを存分にキャンプ場に注いだ企画だが、キャンプ好きから得たヒントをハロウィンと結び付けたのが「サイトデコレーション コンテスト」だ。

「キャンプスタイルが多様化していく中で、サイトもこだわりをもって作る人がいる」
「ならば、サイトのデコレーションを家族でワイワイやれば楽しいはず。みんなでデコレーションとオリジナリティを楽しんでほしい」

とサイトデコレーションの魅力を語った。


実際にデコレーションされた「サイト」

今回取り上げた2か所以外にも、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズでは、季節外れの「水着でハロウィン」を開催。特別料理や仮装入場での割引などを行う。

京都府舞鶴市では1.5メートルのミラーボールを用意した「ハロウィンディスコナイト」が開かれる。商店街のアーケード内がディスコに変身するというジョン・トラボルタも真っ青のド派手なディスコパーティーだ。

そのほかにも全国の動物園や水族館で楽しむハロウィンイベントもある。

「社会問題」にまでなってしまった渋谷のような場所もあれば、今回取り上げた東広島市のように、ご当地イベントとして昇華させるところもある。繁華街での乱痴気騒ぎもいいが、埼玉のキャンプ場でまったり過ごすのもアリだろう。

今年は間に合わずとも、来年は上記したように「渋谷以外」のハロウィンを楽しむのも良いかもしれません。