[みみよりライブ5up!-広島ホームテレビ] 2018年9月11日放送の広島HOMEテレビ「みみよりライブ5up!」で、尾道で行われた猫のTNRが紹介されました。

尾道の三毛(yamauchiさん撮影、Flickrより)

官民協力のモデル事業

殺処分や不幸な猫をなくすために、有効とされている動物愛護の取り組みである「TNR」。TNRとは、「Trap」(捕獲)、「Neuter」(去勢手術)、「Return」(元の場所に帰す)の略で、地域の野良猫を捕らえ、不妊去勢手術ほどこしてまた元いた場所に帰す取り組みです。

7月に尾道で行われたTNRは、県が主催しました。次々と捕獲された野良猫が運び込まれているのは、尾道市の千光寺公園。

県動物愛護センターによると、愛護団体の活動により、現在、猫の殺処分は行なわれていないものの、愛護センターには年間900頭以上が引き取られています。

TNRは、野良猫の増加を適切にコントロールするだけでなく、元の場所に帰すことで縄張りを守らせ、ほかの地域からのネコの流入を防ぐ効果もあります。

今回TNRに協力した住民からは、「(TNRは)良いことですね。不幸な猫が少なくなるということは。(尾道は)『ネコの町』で売っているんだからね」といった声が聞かれました。

尾道市では、猫が重要な観光資源となっていますが、一方で健康状態の悪化や糞尿問題も起きています。

理解が広がってほしい

今回、県から委託を受けたのは、広島市のNPO法人「犬猫みなしご救援隊」。全国各地でTNR活動を手がける経験豊富な団体です。

犬猫みなしご救援隊の中谷百里代表は、県会議員でつくる「動物を愛する議員の会」でもTNRへの理解を訴えてきました。「私たち(愛護団体)が引き出しているから殺処分されていないだけで、いずれ自分たちで殺さない都市を作っていかなければならない時が来ます。まずはTNRという活動にご協力いただきたい、そしてご理解いただきたい。尾道市の問題を解決したいと思っています」と説得する中谷さん。

TNRは不妊去勢手術のほか、抗生剤の投与やノミなどの駆除、怪我や病気の手当てなども行います。地域の人も、共存のためにTNRはよいことだと言われていました。

県は今後の尾道での状況の変化を検証しながら、ほかの地域でもTNRを検討していきたいとしています。猫と人間とが共存していくために、もっとTNRの理解が広がってほしいですね。(ライター・石田こよみ)