30万円のスマホ「Huawei Mate RS」は高くない? なぜファーウェイは発売するのか、したたかな狙いと戦略とは

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ファーウェイが、3月27日にパリで新製品発表会を行い、3機種を発表した。
ファーウェイと言えば、ライカカメラ搭載やデザイン、性能の良さか満足度の高い人気スマホを続々と発売し、いまや押しも押されない人気スマホメーカーだ。

今回発表された3つの新製品も、他社の追随を許さないほどの高いカメラ性能を誇る。
その中でも、あっと驚かされたのが、30万円弱という価格の「Huawei Mate RS」だ。


最上位モデルは約30万円のファーウェイMate RS


現在のスマホは、iPhone Xなどのハイエンドモデルでは、10万円を超える製品も珍しくない。しかしMate RSの値段はさらにその倍以上で、20万円以上もするのである。

「スマホに20万円なんて出せない」
という人がほとんどだろう。

ところがMate RSを実際に手にすると、20万円でも十分納得できる製品と思えてしまう。それほどに仕上がっているのである。

Mate RSは、スポーツカーのポルシェをイメージしたファッションブランド「ポルシェデザイン」のコラボレーションモデルとなる。
本体は8面カットという美しいデザインで、ポルシェデザインのロゴがあしらわれている。
ディスプレイは側面がカーブしたエッジデザインと呼ばれる流線形だ。
画面は6インチで、WQHD解像度となる。
このディスプレイはGalaxy S9などのハイスペックスマホと同じ「大画面・高精細」なものだ。

さらにMate RSのデータを保存できるメモリ容量も他社のスマホよりも大きくなっている。
メモリが256GBと512GBの2つのモデルがあるのだ。
このうち512GBのメモリの搭載はスマートフォンで初めてのものだ。
512GBといえば、モバイルノートPCのハードディスクと同等のサイズだ。

いまやスマホは、ノートPCと同じメモリを搭載する時代になっているのである。

Mate RSの512GB搭載モデルの価格は2095ユーロ、4月12日からヨーロッパを皮切りに発売になる。
日本円にすれば約27万円という価格だ。
また256GBモデルは1695ユーロ、約20万円となる。

ここまで高価なスマートフォン、果たしてどれくらい売れるのだろうか?


発表会ではその値段に多くの来場者が驚かされた


実はファーウェイでは、すでに10万円を超えるスマートフォンを過去にも出しており、その販売が一定の成果を収めた。
からこそ、今回はあえて20万円超えの高級スマホを投入したと見ていいだろう。

昨年、2017年10月に発表した「Mate 10」にも、ポルシェデザインとのコラボモデル「Mate 10 Porsche Design」が存在した。
価格は1395ユーロ、約18万4000円である。

このモデルがある程度売れたことから、ファーウェイは高デザイン、ハイスペックな製品を購入する層が一定数いると判断したと考えられる。

20万円を超えるスマホは確かに高い。

しかし、数十万円、数百万円する洋服やバッグ、アクセサリと比べれば、格段に安い。
・ポルシェデザインの本体、
・最新のCPU、Kirin970を搭載
・トリプルカメラで美しい写真が自在に撮れる
これだけの製品であれば、十分に価格に見合う製品と言えるのだろう。


画面の指紋認証センサーなど新機能も搭載している



一方で、ここまで高価格なスマホの販売数は、通常の安価なスマホほど多くはならない。
つまり、販売数だけをみれば、やはり売れない製品だ。

それでもファーウェイが販売を敢行するのは、ブランド戦略があるからだ。

Mate RSを家電量販店などで、うやうやしくショーケースに入れで陳列すれば、
「ファーウェイは、高級スマホを作るメーカー」
というブランドイメージを高める効果が十分あるからだ。

また、Mate RSには、対抗できるライバル製品が無い。
つまり、オリジナルこれだけでもMate RSが存在する意味は、十分あるというわけだ。

ファーウェイは、日本で数多くの製品を販売してきた。
しかし、超高価格となるポルシェデザインの製品は投入していない。

Mate RSは高スペックを好む日本の消費者にとっても魅力がある製品だ。
個性が減りつつある各社のスマホの中にあって、
「Mate RSは、特別な存在」
となるスマホだ。

ぜひ日本でも販売してほしいものだ。


山根康宏