AFX通信によると、富士重工業<7270>は5日、米自動車最大手GM（ゼネラル・モーターズ）との4年間にわたった戦略的業務提携を同日付で解消することで合意したと発表した。GMは、保有する富士重工業株20.09％分を全て売却する。そのうち、8.7％分はトヨタ自動車<7203>が取得し、残る11.4％は市場に放出するが、富士重工業が最高576億円分を買い入れる予定。GMによると、トヨタの富士重工業株8.7％の取得金額は3億1500万ドル（約360億円）。5日の株式市場の終値によると、GMは富士重工業株の売却で7億4240万ドル（約850億円）を取得することになる。今月12日に取得が完了すると、トヨタは富士重工業の筆頭株主となる。

　　GMがグローバル戦略の見直しを図る一方、トヨタは米国での経済摩擦を回避したい狙いがあるとみられているが、トヨタの木下光男副社長は、「これはGMへの救済措置ではないことを強調したい」とした上で、「今回の取引はGMから申し入れられたものではない。トヨタと富士重の双方にとってプラスになる取引と考えている」と述べた。また、同副社長は、今後、富士重の株式を買い増すつもりはなく、GMが保有するいすゞ自動車とスズキの株式を取得する可能性もないとした。トヨタと富士重は検討委員会を組織し、開発、生産の分野で相互の経営資源の活用や技術面の補完を図り、相互にシナジー効果を発揮する枠組みや協業案件を具体的に検討していく方針。　【了】