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 ジャニーズ史上もっともキスする(であろう)深夜番組がある。Kis-My-Ft2が“真のカッコいい男”をめざしてオトナのテーマに挑戦する『キスマイ超BUSAIKU!?』(フジテレビ系)だ。「超」は「スーパー」と読む。同番組は、キスマイがメジャーデビュー後に、『キスマイBUSAIKU!?』のタイトルでスタート。培った5年間の実績を進化させて、今秋、よりディープな時間帯に枠移動。テッペン(深夜零時)越えのスタートになるや、“超”を冠に加えて、アダルトなテーマ、シーン、発言が激増した。

 バリバリの現役アイドルとブサイク(BUSAIKU)というミスマッチ。これには、彼らが味わった辛酸の歴史がある。11年の歌手デビュー後、彼らを検索エンジンにかけると、「ジャニーズなのにブサイク」という酷評が渦巻いた。苦労の末にようやく手に入れたチャンスだっただけに、20代の彼らは深く傷ついた。

 ところが、それを逆手に取ったのが、当時SMAPやキスマイを担当していた凄腕マネージャーの飯島氏。SMAP解散の引き金となった、あの女性である。彼女は、担当タレントのマイナス要素やスキャンダルを肥やしにして、話題と視聴率をかっさらうことで有名な有能フィクサー。そこで、ブサイクを漢字表記の「舞祭組」にしてユニット化して、メンバー格差に悩んでいた宮田俊哉、千賀健永、横尾渉、二階堂高嗣をバックアップ。SMAPだった中居正広がプロデュースして、シングルCDは3曲も作詞。PVにも出演した。これが見事にヒットし、ブサイクのキーワードで番組、派生ユニット、キスマイまで潤った。

 ちなみに、この飯島氏、現在は、ジャニーズ事務所を退所した稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が身を預ける株式会社CULENの代表取締役である。

 “超BUSAIKU!?”は、アイドルが避けたいテーマばかりだ。マッサージ中の足にキス、終電を逃した女性の誘い方、「キスしてくれないと帰らない!」と言い張る女性への対応、宅飲みで皆が寝ている隙にキス、キュンとくるいじわるなキス、年下の彼女へする大人なカッコいいキス、再会した元カノに酔った勢いでキスほか。とにかく、キスが多い。もちろん、ほんとうにするわけはなく、彼女役のマイコの頭をグイッと引き寄せて唇を重ねるシーンは、背後からなどのカメラアングルで、しているように見せる。しかし、そこに行き着くまでがベッドの上であったり、女性の生足のドアップであったり。ついには、メンバーイチの人気である玉森裕太がソファに座っていると、おもむろに女性が両足を広げて膝の上に乗り、対面座位の体勢に……なんてことも。国民的アイドルの嵐、ガテン系のTOKIO、アーティスト性が高いKinKi Kidsなら間違いなく事務所NGであることも、“ブサイク”スタートのキスマイだからOKなのだ。

 これが、キスマイの強み。飯島氏の置き土産的な深夜番組には、逆境を楽しむSMAP魂が宿っているのだ。