金曜の夜は西島秀俊が“7匹の猫”に翻弄される!? 重松清の短篇集をドラマ化
亡き妻の愛猫7匹の新しい飼い主探しをする主人公が、人生を取り戻していくハートウォーミングドラマ『ブランケット・キャッツ』(NHK総合 金曜夜10時〜=全7回)。主演の西島秀俊が、家具の修理職人の役作りに加え、猫との付き合い方を事前に勉強して臨んだ意欲作。その見どころとは―。
西島&吉瀬が初共演、脚本書き直しの可能性も
直木賞作家・重松清の同名短編集をドラマ化。主演は西島秀俊。松本明子プロデューサーは、企画が決まった段階で監督や脚本家と、主人公の椎名秀亮を西島が受けてくれたら、と話していたという。
「映画やドラマで、強くてカッコいいイメージの西島さんが猫に翻弄される姿を、視聴者の方も見たいはず! と、思いました。出演オファーの前に脚本家の江頭(美智留)さんがあげてきた台本は、すでに西島さんをイメージして書いたもの。快諾してくださったからよかったけれど、NGだったら全部、書き直しになるところでした(笑)。
吉瀬美智子さんも(秀亮の幼なじみの獣医師)藤村美咲のイメージにぴったり。西島さんと吉瀬さんの共演は見たことがないけれど、すごく合うのではないかと思い、オファーしました」
家具の修理店を営む秀亮は、世話をしている7匹の猫の新しい飼い主を探していた。交通事故で亡くなった妻(酒井美紀)が可愛がっていた猫たちだけに、新しい飼い主選びには慎重な秀亮。そのため、猫が使い慣れたブランケットとともに2泊3日のトライアルで飼ってもらい、問題がないようなら、譲ろうというのだ。
初回では、ヒロミ(蓮佛美沙子)という女性が訪ねてくる。秀亮が飼っている1匹が、祖母が大好きだった猫にそっくりなので譲ってほしいという。認知症の祖母は、猫との再会に喜び、ヒロミはホッとする。ところが、今度はヒロミの婚約者に会いたいと言いだして……。
「いちばんの見どころは、重松さんの原作ならではの、温かくて、心にグッとくる人間模様です。ちょっとしたことで歯車が狂ってしまった夫婦や親子、家族たちが、猫を預かることをきっかけに、ほんの少し変化していきます。
そして、妻の死から立ち直ろうとしない秀亮が猫の新しい飼い主探しを通して、希望を見つけることができるのかにもご注目いただければ」(松本P、以下同)
1話完結で、秀亮の心の変化はドラマオリジナル。原作を読んだ人も新鮮に楽しめるはず。
猫の“名演技”を引き出した秘策とは
西島は、家具の修理店を営む秀亮を演じるため、工房に見学に行ったり、実際にスツールを作ったりしたという。さらに、事前に猫との上手な付き合い方なども学んだうえで、撮影に臨んでいる。
「西島さんは7匹の猫の名前をすぐ覚えて、それぞれの性格もよく理解していました。(実際に)猫を飼っているわけではないので、大変だったと思います。それでも本当に猫たちを可愛がっていて、まるで本物の飼い主さんのようでした」
初共演ながら、西島と吉瀬は、最初の台本読みのときから息がぴったり。
「幼なじみの秀亮と美咲は、毎回、まるで子どものような言い合いをしますが、おふたりのアドリブも入ったりして、クスッと笑ってしまうシーンがたくさんあります。
西島さんは、常に現場にいらして、キャスト、スタッフみんなとコミュニケーションをとっていました。猫がリラックスするまで時間がかかったときも、西島さん、吉瀬さんが、現場を気遣ってムードメーカーに。おかげで、とてもいいチームワークで撮影ができました」
猫の“名演技”は、見どころのひとつ。猫に負担をかけないよう、リハーサルは、ぬいぐるみを代用。本番では“ニャー”と鳴かせるために、仲のいい猫をそばに置いたり、焼いたツナの匂いを漂わせたりとスタッフも苦労したよう。
「そのかいあって、猫たちは想像以上の素晴らしい動きをしてくれました。冒頭の秀亮と猫たちのシーンは、ほぼ一発OK。奇跡の演技に、カットがかかるとキャスト、スタッフからどよめきが起きました!」
猫好きにはたまらない今作。実は、美咲の動物病院には可愛い犬もたくさんやってくるので、犬好きが楽しめる演出も。
「猫と出会うことで、悩みを抱えた人たちが希望を見つけ、人生に新しい光が差す、温かくてちょっと不思議な物語です。
彼らが抱える悩みは、ごく身近で誰にでも起こりうる問題です。明日、私やあなたに起こる問題かもしれません。そんなとき、少しでもこのドラマのことを思い出してもらえたらうれしいです。“ちょっと疲れたな”という金曜の夜に、今作で心がほっこりと温まってもらえたら」