【鹿児島展望】神村学園、鹿児島実、2強を軸にV争い!本物の力が問われる夏!
今年の夏の鹿児島大会は神村学園と鹿児島実の「2強」を軸に優勝争いが繰り広げられることになりそうだ。2強を追う有力校も紹介しながら、この夏の鹿児島を展望する。
神村学園と鹿児島実の2強が軸に田中 怜央那(神村学園)
昨秋は準決勝敗退でセンバツ出場を逃した神村学園だったが、春の鹿児島大会は総合力の違いを見せて優勝。春の九州大会でも初戦で東海大福岡にコールド勝ちして勢いに乗り、5年ぶりに九州の頂点にも輝いた。5月のNHK旗選抜大会も制し、春以降の公式戦負けなしと充実した内容で夏を迎える。6月17日の組み合わせ抽選会で第1シードに挙げられることは間違いないだろう。
打線の破壊力は県内で頭一つ抜ける。田中 怜央那(3年)、島中 大輔(3年)、後藤拓真主将(3年)、羽月隆太郎(2年)ら昨夏を経験し、準々決勝で川内にサヨナラ負けを喫した悔しさを知る好打者たちがずらりと並ぶ。前畑太壱(3年)、南川翔哉(3年)、山田瞬太郎(3年)らが成長したことで、打順も様々なバリエーションが考えられるようになり、選手層が厚くなった。
左腕エース俵森 大輔(2年)が春以降調子を落としていたが、3年生左腕・青柳貴大や2年生右腕・中里琉星が成長し、投手陣も安定してきた。打線の強力さに目が行きがちだが、NHK旗では4試合で失策1と投手陣が安定したことで守備もリズムが良くなった。5年ぶりの夏を目指して王座奪取に燃えている。
これに対抗する一番手は鹿児島実だ。昨夏準優勝のメンバーが総入れ替わりして経験不足が懸念されたが、県大会は昨秋、今春とも準優勝、春の九州大会では福岡大大濠(福岡)、秀岳館(熊本)に勝って決勝進出し、準優勝した。こちらも185センチの長身・渡邊竜基(3年)、川越彪(3年)の右腕投手陣が成長したことで試合運びに安定感が出てきた。勝負強い枦山 幸平(3年)、西竜我(2年)、昨夏を経験した井戸田 智也主将(3年)らを、相手に合せて柔軟にオーダーを組み、攻略する。昨夏から準優勝が続いており、頂点奪還への想いは人一倍あるだろう。
夏に向けて調子を上げる鹿児島城西と樟南石川 槙貴(鹿児島城西)
鹿児島城西や樟南もここへきて調子を上げてきた。個々の選手の実力では県内トップクラスといわれながら、今春まではベスト8に甘んじていた鹿児島城西は、NHK旗で鹿児島実を1対0で完封し(試合記事)、決勝に勝ち進んだ。185センチの石川 槙貴(3年)は140キロ近い直球と切れのあるスライダーが武器。打線も先制されても慌てずにひっくり返す粘り強さが出てきた。昨夏、鹿児島実との歴史的な延長15回引き分け再試合の激闘で甲子園を勝ち取った樟南は、昨秋3回戦敗退で出遅れたが、左腕・谷口佑歩(3年)が安定し、巻き返しを虎視眈々と進めている。
昨秋の覇者れいめいの潜在力も高い。中鼓鉄(3年)、山名浩伸主将(3年)のバッテリーを中心に粘り強い野球をする。公立では大島が春、NHK旗4強とピカイチの実績がある。知将・塗木哲哉監督の下で離島から初の夏の甲子園を目指す。尚志館は右腕・西國原光(3年)が安定し、試合運びも安定してきた。近年成長著しい池田は2年生中心のチームであり、この夏だけでなく秋以降も注目したい存在だ。この1年間の実績から抽選会のシード校はこの8校が有力とみる。
好左腕・池田蓮(3年)を擁する鹿屋農、好右腕・渕上陽人(3年)を擁する出水中央、昨秋4強の武岡台、春8強の徳之島、薩南工、川内商工、鹿屋中央、伊集院、鹿児島工、鹿児島情報などをダークホースに挙げておく。
夏までの実績でシード校や有力校を挙げても、夏は初戦や序盤でシード校が破れたり、ノーマークのチームが勢いに乗って一気に上位に勝ち上がることがある。昨夏4強の川内や志布志はその典型的な例だ。特に今年はどのチームにも絶対的な力を持つエースがいないだけに、番狂わせが起こる可能性は例年以上に高いだろう。実績のないチームでも大会の中で何かきっかけをつかんで勢いに乗り上位に食い込むことは十分にありうる。
同時に混戦を勝ち抜いて最後の栄冠を勝ち取るチームには、地に足の着いた本物の力が必要だということも昨夏の樟南、鹿児島実の決勝戦が教えてくれる。野球の実力に加え、暑い長丁場の夏を勝ち抜く心身の強靭さ、雨の順延なども考慮した上でのコンディション作りなど、あらゆる要素を想定し準備し尽くしたチームが頂点に最も近いといえるだろう。
(文・政 純一郎)
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