【西東京展望】早稲田実、日大三の両雄対決の構図に割って入るか、好投手を擁する東海大菅生

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 早稲田実業の怪物・清宮 幸太郎の本塁打記録に高校野球の枠を超えて関心が高まる中、6月17日には組み合わせ抽選会も行われることになっており、東京でも夏の大会が近づいてきた。清宮の高校最後の夏だけに、第99回の今年は、特別な夏になりそうだ。組み合わせ抽選会の見どころも交え、東西東京大会を展望する。

全国的に注目される二強対決

野村 大樹(早稲田実業)

 秋、春の都大会はともに決勝戦は、戦前から東京の高校野球をリードしてきた早稲田実業と日大三の対決になり、ともに壮絶な打ち合いの末、早稲田実業が優勝している。

 今大会では早稲田実業が1番、日大三が最後の番号である128番になり、両チームとも、決勝戦での再戦をにらんだ戦いになる。他の強豪校にとっても、打倒早稲田実業、日大三であり、この両校を軸にした展開になることは間違いない。

 清宮幸太郎の本塁打量産に関心が高まり、練習試合にも注目が集まる中、4番の野村 大樹や2番の雪山 幹太の他、1年生の生沼 弥真人らが内野のポジション争いに加わり、戦力は確実に底上げしている。投手力に不安があるものの、少々の失点は打ち返すだけの強力打線だ。

 日大三も櫻井 周斗、金成 麗生、井上 大成、日置 航ら、一発長打のある打者が揃う。秋は清宮から5三振を奪った櫻井は、春の決勝戦では夏を見据えて温存。夏こそ本当の戦いになる。150キロ近い速球を投げる金成の投球にも注目したい。

 昨夏ベテランの永田昌弘監督が復帰した国士舘は、長身のエース・深澤 史遠に山本恵太、夏伐京平ら走塁のうまい好打者を擁して秋、春と4強に進出。しかし、ともに早稲田実業にコールドで敗れているだけに、チーム構成を大幅に変えてくる可能性がある。

 春8強の駒大高は、エース格の吉田 永遠が、球威のあるストレートやスライダーに加え、スタミナもつけてきた。フルスイングの打線は、はまれば怖い存在になる。

大会の行方を左右する東海大菅生の抽選

松本 健吾(東海大菅生)

 先述した4校が四隅のシードとなるが、東海大菅生、八王子、都立日野、日本学園、佼成学園もシード校になっている。

 この中で特に注目なのが東海大菅生だ。二刀流の小玉 佳吾をはじめ、松本 健吾、山内大輔に、戸田 懐生、中尾 剛と140キロ前後の速球を投げる投手を5人擁する。春季都大会4回戦の日大三戦では、5人の投手を全員投入し、先発の中尾以外は得点を許さなかった。東海大菅生は早ければ準々決勝で2強と対戦する。東海大菅生がどのブロックに入るかが、17日の組み合わせ抽選会の最大の注目点だ。

 昨夏甲子園初出場を果たした八王子は、立役者である制球のいい左腕の早乙女 大輝、147キロの速球を投げる米原 大地が健在だ。秋は4強、春は16強の都立日野は、身長158センチの小林 龍太が強気の投球でチームを引っ張る。

 日本学園は、春は初戦の國學院久我山戦で逆転勝ちしたことで波に乗った。目立った選手はいないけれども、状況判断のできる選手が揃っている。佼成学園は、2年生左腕の中村 陸人が投手陣の柱。打線は経験豊富な真田 和輝がリードする。

ノーシードでも力はある創価

菊地 郁也(創価)

 ノーシードで不気味なのが創価だ。2年生でエースの菊地 郁也や中心打者の浪川 広之をはじめ、昨夏の4強メンバーがほとんど残り、秋は日大三相手に延長13回の熱戦を繰り広げた。春は駒大高の吉田 永遠に抑えられたものの、潜在力は非常に高い。

 秋8強の早大学院には浦野 聖弥、赤尾夢翔という強打者がいる。國學院久我山は、寺師 浩太ら、昨夏8強のメンバーが残る。明大中野八王子は、投打の柱の後山 宗一郎をはじめ、左の小林利哉、右の小林 知樹、負傷から復調した廣瀬大介と好投手が揃う。明大明治の柳澤 憲人も昨夏を経験した好投手だ。

 日大鶴ヶ丘は二刀流の赤星 優志が勝敗のカギを握る。都立片倉や世田谷学園は打線に力強さがある。日大二は、春は帝京を土俵際まで追い詰め、自信を付けた。桜美林は主戦投手の楢葉 俊宗を中心にバランスがいい。都立昭和、都立豊多摩などの都立勢も上位を伺う。

 清宮最後の夏となる今年は、これまでにない雰囲気の中で試合が行われるだろう。しかしどの3年生にとっても、夏の大会は特別だ。勝っても負けても、自分の力を出し切ってほしい。

(文・大島 裕史)

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