中村vs広島新庄
2012年にスタートした第1回大会では後に春夏甲子園連覇を果たす大阪桐蔭のエース・藤浪 晋太郎(現:阪神タイガース)に対し、明徳義塾の1年生・岸 潤一郎(現:拓殖大3年)が投打に鮮烈な印象を残し4対1で快勝したことで一気に知名度が上がった「高知県高等学校野球連盟特別招待試合」。6年目の今年は先の春季中国大会で準優勝した広島新庄(広島)を招待し、昨秋県大会V・21世紀枠で40年ぶり2度目のセンバツ出場を果たした中村と、5月の県総体で準優勝した土佐が対戦した。
9時58分開始の第1試合では中村が登場。彼らは「明徳義塾をイメージして臨んだ」(横山 真哉監督)意気込みを打棒で示す。この日も最速139キロを計測し、春季中国大会でリリーフで活躍した片鱗をのぞかせた広島新庄先発・竹邉 聖悟(2年・右投右打・162センチ57キロ・安芸高田ボーイズ出身)に対しても全く臆することはなかった。
初回には2番・下村 悠斗(3年・二塁手・右投右打・168センチ57キロ・高知県立中村中出身)の右前打を契機に3連続四死球と6番・中野 聖大(3年・捕手・右投右打・176センチ65キロ・四万十市立中村中出身)の右犠飛で2点を先制。2対4と一時は逆転を許したが、5回表には下村、「振り切ることを心掛けた」3番・岡上 颯(3年・中堅手・右投左打・181センチ63キロ・四万十市立中村中出身)の連打から4番・北原 野空(3年・投手・右投右打・168センチ71キロ・高知県立中村中出身)の右中間突破三塁打で同点とすると、6番・中野の二塁内野安打で勝ち越し。7回には先頭・下村からの4連打で計14安打。
「こんなに悪いのははじめてかもしれない」と歴戦の将・迫田 守昭監督をもして想定外だった竹邉の状態。ただ、それは「ここ数試合は接戦で敗れていたので、今週は練習から盛り上げていこうとみんなで心がけた」(岡上)彼らの高い意識が生み出したものでもある。
一方、北原は176球を擁し12四死球・12被安打の乱調ながら5失点完投勝ち。「球数を減らしていく予定だった」(中野)当初目標から乖離した中でも、右打者への内角ツーシームを使いながら要所を締めた内容は、同型の待球策を組む明徳義塾との高知大会決勝・最終決戦を見据える上でもいいケーススタディになったことだろう。
5月の県総体準々決勝・土佐戦で敗れた要因となったバックの脆弱さにはいまだ不安が垣間見えるものの、昨秋県大会決勝・明徳義塾戦に続く、新たなる自信がほしかった中村にとっては実に大きな1勝。「勝ててよかった」と安堵した横山監督をはじめ、選手25人には夏の大きな自信「夏の甲子園初出場」がしっかり視野に入っている。
(取材・写真=寺下 友徳)
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