共栄学園高等学校(東京)

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強みは「鈍感さ」

■強豪相手でも通用する「気持ち」 1938年に本田裁縫女子学校として創立し、2008年に創立70周年を迎えた共栄学園。埼玉の春日部共栄と同じ学校法人で、野球部のユニフォームも同じデザインだ。昨秋は1次予選で負けてしまい、この春はノーシードからの戦いとなったが、予選を勝ち抜き都大会でもベスト16入りを果たした。4回戦では強豪校の早稲田実業と対戦。試合は負けてしまったが、6点を奪うなど奮闘した。監督の原田 健輔監督は「通用すると思ったのは気持ちだけですね。打線の計算ができないので」と笑うが、ベスト16入りの実力は本物だろう。

■強みは「鈍感さ」 大西 亨和主将はこのチームの強みを「最後まであきらめないこと、監督とコーチと選手が同じ方向を向いて野球に取り組めているところ、そしてプレッシャーとかピンチを楽しんでプレーできることです」と話す。そして面白い表現をしてくれたのが原田監督だった。「鈍感なことですね。いろんなものを感じない、相手が強くても強いと感じないところですかね」。この「相手が強くても強いと感じない」ことは鈍感さゆえの大きな強みだ。 今年のチームの目標は「強いチームを倒して、共栄学園強いなと思われること」。新チームが始まってからは力のあるチームをどうやって追い越していこうかというのを考えて始まった。しかし秋は一次予選で一回戦負け。この敗戦から大西主将は「秋一回戦で負けてこのままでは終われないというのを強く持っていました。勝つためにはいろんなことをやらなくてはいけない。どんなにつらいことも勝つためっていうのを考えて、逃げないでみんなで向かっていきました」。この敗戦を胸に苦しい練習も乗り越えてきた。

集合写真(共栄学園)

■力がなくてもまとまれば対抗できる 秋の一次予選で一回戦負けして「自分達は何をしているのだろう?これだけ練習していたのに」という気持ちになり、目指すべき方向を失ったという共栄学園野球部。そこで冬に入る前に全員で話し合い、どこを目指すのかを明確にして練習に挑んだ。野球だけに集中した冬。一からチームを作る気持ちで臨んだ。 その結果が結びつき春の大会でベスト16入り。原田監督は「あきらめなくなったというか、中盤から終盤にかけて落ち着いて慌てずにできるようになったと思います」。その中で強豪校の早稲田実業と対戦して収穫と課題が見えてきた。「こいつらでも戦えるんだなというのが収穫ですかね。課題はピッチャーのここ一番での制球力ですね」と語る原田監督。大西主将も「力がなくてもまとまれば強豪校に対抗できるんだなと感じました」。強豪校は自分のペースに持ち込むのがうまい。夏は共栄学園のペースで試合できるようにしたいとも意気込む。

■夏を見据えた追い込み 現在、夏に向けて「プレッシャーを楽しむ」ことをテーマに練習する。注目度の高い夏の大会。その中でプレッシャーに押しつぶされたら終わりだと監督は選手に話している。春の大会後の練習試合では試合前にポール間10往復や10キロのランニングをこなしてから試合に入るようになった。この意図を原田監督は「夏を見据えて、コンディションが万全な時ばかりではないと思いますので、その中でも戦える気力を身に着けてほしいという目的です」と語る。 共栄学園の3年生部員のユニフォームの背中には「麒麟児」の文字。将来大成する希望のある人という意味だ。春夏に大成するように願いを込めて作ったという。大西主将は夏に向け「今年の共栄学園は強かったなという印象で終わりたいので、春勝ったのがたまたまじゃないというところを見せたいと思います」と意気込む。全ては夏のため―― 共栄学園の挑戦が始まる。

左から鈴木 崇太、大西 亨和、伊藤 大晟(共栄学園)ベスト32を超える

ここからは鈴木 崇太マネージャー(3年)と伊藤 大晟選手(3年)にお話を伺いました。

Q.夏に向けて見つかった課題を教えてください

鈴木:守備では点を取ってから油断をしまうところと、攻撃では焦りが出てしまうところです。伊藤:まだレギュラーじゃないので、レギュラーを目指して練習に取り組むことです。

Q.ここまで振り返って高校野球で一番思い出に残っていることは何ですか?

鈴木:練習試合で9回まで出させてもらったことです。9回まで使ってくれる要素が少しでも分かったことが思い出です。伊藤:春の大会の3回戦、都立片倉戦で代打で決勝点を挙げられたことです。

Q. 夏にここを見てほしいというところは何ですか?

鈴木:このチームはみんな元気が良くて、チームが一丸となってお互いを助け合えることを見てほしいです。伊藤:チャンスの場面でランナーを返すような働きを見てほしいです。

Q.このチームの好きなところと、他のチームに負けていないところは?

鈴木:どんなところでも明るく接し合えるところは負けないと思います。伊藤:仲が良く、切り替えもしっかりできているのでそういうところが好きなところです。どこのチームよりも元気があると思います。

Q. この夏はこんな夏にする!という意気込みをお願いします!

鈴木:マネージャーなんですけど、マネージャーでも夏の試合の間はチームを勝たせるようなマネージャーとしての貢献をしていきたいと思います。伊藤:東東京で優勝して、甲子園に出場したいと思います。

鈴木マネージャー・伊藤選手、ありがとうございました!

笑顔を見せる共栄学園の選手たち(共栄学園)目の前の一瞬にベストを尽くして、後悔のないように!

  ここからは原田 健輔監督にお話を伺いました。

Q. 新チームが始まってからどんなチームを作り上げてきましたか?またこのチームの強みも教えてください。

 今の3年生で、上の代のメンバーに入れたのが3人だけで、新チームは厳しいだろうなと思ってました。とにかく秋だけではなく、1年かけてチームを作ろうということを言ってきました。長い目でチームを作っていこうと。このチームの強みは「鈍感なこと」です。いろんなものを感じない、相手が強いと感じないところです。

Q. 夏に向けて取り組んでいることを教えてください。

 とにかく負けたら終わりの、注目度の高い夏の大会。そのプレッシャーに押しつぶされたら終わりだよと言っています。逆にプレッシャーを楽しめる積み重ねを心がけて練習していますね。プレッシャーを楽しめる準備です。

Q. 3年生と部員たちに夏に向けてのメッセージをお願いします!

 先は見ないで目の前の一試合、目の前のワンプレー、目の前の一球、目の前の一瞬にベストを尽くして、いい結果が出る準備を残り一か月やっていきましょう。本番に入ったら堂々と、自信のあるプレーをできるように悔いを残さない高校野球生活を送ってほしいなと思います。

原田監督、そして共栄学園野球部の皆様、ありがとうございました!

今年も大好評!【僕らの熱い夏 特設ページ】各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!