村田諒太(写真:Getty Images)

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5月20日、有明コロシアムで行われた、ボクシングWBA世界ミドル級王座決定戦、アッサン・エンダム対村田諒太の一戦は、12ラウンドを戦い、エンダムが判定2-1で勝利した。

だが、4ラウンドにエンダムからダウンを奪い、7ラウンドにもパンチをクリーンヒットさせた村田を勝者とする声は多く、不可解な判定を下したジャッジ2名が処分されたほか、ヒルベルト・メンドーサJr.WBA会長は再戦を示唆している。

すると、5月30日放送、NHK「クローズアップ現代+」では、「情熱の炎は消えず 村田諒太 激闘の果てに」と題し、運命の世界戦を終えた村田のインタビューを伝えた。

まずは世界戦の判定について、「みんな『村田ちょっと可哀相だな』みたいな雰囲気を持たれるとそうではない」と前置きした村田は、「僕にとって試合前に予想された最悪な結果って変な判定で勝つことなんです。例えば、ジャブでさばかれ続けてパンチ当ててない、ダメージも与えてないのに前に出たから勝ってました。『え、あれで勝ちなの?』みたいな。だから、そんなに最悪の結果を招いたかどうかといわれると、そうは全く考えていない」と説明した。

また、判定が出された時のことを訊かれると、村田は「自分としてはダメージも与えましたし、(試合を)もっていったのかなというのは正直なところ」と語りつつも、「自分は当事者として戦ってて、(ジャッジは)第3者として見ているんで『いや俺が勝ってただろ』とか、そういう感情というのは、リング上でも今現在に至っても一切湧いてきてはいない。変な判定で憔悴し切っているっていう感じを想像されるかと思うんですけど、全くそんな感じはない」とキッパリ。

「やり切ったか?」という質問には、「やり切ったというよりは、むしろ僕自身の中で自分自身に対する評価が半信半疑だった。世界の一流どころとやった時にどこまで通用するんだろうっていう気持ちがあって、やってみたら結構通用するところが多かった。かつ、こういうところを改善していけばもっとよくなるという気持ちがあるので。そっちの気持ちのほうが強くて。ノビシロがある自分という人間に対する可能性というのを発見できた」と、落ち着いた口調で話した。

気になる今後については、「個人的なボクシングに対する情熱は全く冷めることなく、むしろ火に油を注がれたくらいの気持ちではいる」とコメントした村田は、「初めてプロとしての仕事ができた。プロって何かっていったら人に必要とされるかどうか」と手応えも口にした。