Jタウン研究所では、「小麦粉団子を入れた汁物」の呼び名について、都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数962票、2017年4月14日〜5月22日)。

「すいとん」や「ひっつみ」などと呼ばれる、この汁物だが、はたして、地域差は出たのだろうか。その結果は......?

関西から東日本各地で、「すいとん派」圧勝! だが......?

すいとん63.4%、だんご汁15.4%、だご汁11.4%、ひっつみ3.2%、はっと1.8%、その他が4.8%だった。結果が、下の円グラフだ。


「小麦粉団子を入れた汁物」、なんと呼ぶ?(Jタウンネット調べ)

また各県ごとの最多得票を色分けして日本地図上に落としてみた。得票がなかった場合は白地のままにしてある。上の日本地図をご覧いただきたい。

関西から東日本にかけて、「すいとん派」が広がっている様子が分かるだろう。青森県と岩手県に「ひっつみ派」が見えてはいるが......。一方、山陽・四国から九州にかけて存在感を発揮しているのが、「だんご汁派」「だご汁派」である。


すいとん(typesterさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「すいとん」とは、小麦粉を練った生地を手でちぎり、丸めたり、さじですくって、汁の中に落とし、じゃがいも、にんじん、豚肉などと共に煮る料理だ。北関東では古くから伝わる郷土料理の一種と言われている。今回の調査でも、北関東では、栃木県100%、群馬県71.4%、茨城県67.6%と圧倒的だった。

すいとん派の勢いは、東京都66.5%、神奈川県91.3%、埼玉県76.9%、千葉県81.3%と、南関東でも強かった。また岐阜県100%、愛知県80%、静岡県80%と、中部エリアでも圧勝だった。

「すいとん派」が、これほど全国に広がっているとは......。米が不足した終戦直後、代用食として一般化したこともその一因かもしれない。

北東北の郷土料理として、「ひっつみ」と呼ばれる料理があると聞いていた。たしかに青森県・岩手県では「ひっつみ派」が多数を占めたが、全国から見るとわずかなものだった。


大分のだんご汁(OitaKiseichuさん撮影、Wikimedia Commonsより)

一方、西日本地域には「だんご汁」「だご汁」と呼ぶ地域が明らかに存在する。「だんご汁派」と「だご汁派」を合わせると、全国の26.8%に及び、3分の1弱となる。まさかこれほどとは、想像していなかった。

「だんご汁」は、小麦粉で作った平たい麺や団子を、ごぼう、にんじん、しめじ、豚肉を、味噌仕立ての汁で煮る料理だ。もっぱら九州で好まれていると聞く。たしかに今回の調査でも、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県などで、100%近い人が「だんご汁」「だご汁」と答えている。

しかし、それだけではなかった。山陽や四国の一部でも「だんご汁」が最多得票となった。さらに関西地区でも、最多得票こそ「すいとん」に譲ったものの、かなりの割合を「だんご汁派」が占めていたことも否めない。

「すいとん派」一強の状況に、「だんご汁派」ががっちり食い込む。そんな構図が見えてきた。