仙台弁の「いきなり」と、他地域の「いきなり」はニュアンスが違う
[OH!バンデス‐宮城テレビ]2017年4月7日放送の「知ってるつもり!?宮城解体新書」のコーナーで、普段使っている「仙台弁」ついて改めて調査をしていました。
まずは、仙台弁の中で代表的な「いずい」。服のサイズが合わなくて窮屈な時、目にゴミが入ってゴロゴロする時、襟元に入った髪がチクチクする時等に使う方言です。
しかし、他県から来た人は全く分からない言葉でもあります。しかも、宮城県民にとっても「いずい」という言葉は標準語で説明しにくいのです。
「えずい」は京都から来た言葉
東北大学院文学研究科の小林隆教授によると、「いずい」は居心地が悪い時などにも使えるなど精神的な感覚としても使えるとっても便利な言葉とのことです。小林教授は「いずい」は「ず」か「づ」か? という疑問にも答えてくれました。そもそもの語源的には「ず」とのことです。
室町時代の京都に使われていた由緒ある言葉で、文献にも出てくる「えずい」という言葉が語源なのです。現在の京都では使われていませんが、室町時代の京都では体の表面がゾクゾクする様な恐ろしさとして使われていました。
それが東北の宮城に伝わるまでに、何故か体の表面に違和感があるという意味に変化し、仙台には「い」と「え」の区別がない地域だったので、中間的な発音をしていたのが「い」に流れて、「いずい」になったとのことです。ちなみに、九州では「えずい」をそのままの意味で使っているそうです。
「いきなり」にも地域差が(Masahiko OHKUBOさん撮影、Flickrより)
そして、もう一つの仙台弁の代表的な言葉「いきなり」。「いきなり」というよりは「いぎなり」と言いますけどね。
語源は、標準語の「いきなり」そのものとのことでした。一般的な「いきなり」は突然という意味ですが、突然の場面には「激しい動き」が絡んで来ます。その激しさや程度の大きさの方に惹かれて、その激しさと程度の大きさだけを表す、仙台の「いきなり」になりました。
小林教授は「方言は相手と親しくするための道具。方言で話した方がグッと距離が近づきます。そういった点でも、ぜひ若い人に仙台弁を使い続けて欲しい」と語っていました。
私は、関西から来た職場の子と話していて「だからー」と言ったらポカンとした顔で「で?」と言われました。宮城県民なら「だから」の使い方、分かりますよね?(ライター:佐藤憲子)