国体で採用「銃剣道」はボクシングより競技人口が多かった
『写真:全日本銃剣道連盟』
2023年から4年間実施される国体(国民体育大会)の競技が3月に決まった。これまで隔年実施だった銃剣道とトライアスロンが毎年行われることになり、ボクシングとクレー射撃が隔年実施へと降格になった。
銃剣道は、同じようなタイミングで文部科学省が告示した新学習指導要領の中で、中学校で取り入れられる武道のひとつに加えられ、話題を呼んだばかり。
「国体競技と新学習指導要領は、まったく別団体で決め方もまったく違うんですよ。政府の圧力があったのではという方もいるようですが(苦笑)」
こう話してくれたのは、国体の主催者のひとつである日本体育協会の岩田史昭さん。
「国体で実施される競技は40競技と決まっています。ところが、日本体育協会に加盟しているのは65の競技団体です。予算の関係上、どうしても競技を絞り込まなければならず、『ジュニア層の育成に力を入れていること』『審判員の確保ができていること』『全国的に競技が実施されていること』など決められた項目を点数化し、上位40位までを選ぶシステムになっているのです。40位と41位が隔年実施となります」
点数化のシステムが導入されたのは、まだ3回目。2015年から2018年までの競技を決めた第1回目は銃剣道とトライアスロン、第2回目(2019年から2022年)はクレー射撃と銃剣道が40位、41位になったのだという。
しかし、2012年のロンドンオリンピックでは、当時アマチュア選手だった村田諒太がボクシングで金メダルを獲得。またルールが若干異なるとはいえ、プロボクシングであれば日本人の世界チャンピオンもいる。一方で、銃剣道はそれほど認知度が高いとも思えないが……。
「実はアマチュアのボクサーの方は約5100人しか競技団体に登録されていません。これは国体の出場を希望する団体の中では下から2番目の数字なんです。銃剣道は3万人が登録されていて、すそ野の広いスポーツのひとつです。もちろんサッカーなどは1桁違う人数が登録されていて、さらに大規模になりますが」(前出の岩田さん)
ちなみに、銃剣道の競技人口を下支えしているのは自衛隊だ。ある自衛官は「私も防衛大学で冬に頑張って初段を取りました。ほとんど自衛隊のOBが指導してると思います」と語る。意外と競技人口の多い銃剣道に、ボクシングはリベンジできるか。