「日本最南端の公衆電話」、もっと使って...波照間島から呼びかけ発信
我が家の前にある日本最南端の公衆電話が、あまり使用されないと撤去されるかもしれない――日本最南端の有人島・波照間島(沖縄県八重山郡竹富町)の住民が2017年3月28日、ツイッターを介し、日本全国にそう呼びかけた。
携帯電話や固定電話のない島民にとって大切な連絡手段だとも示唆しており、3月31日夕の時点で、リツイート数約1万3000件、「いいね」約8000件の反響を呼んでいる。
大切な人に電話をかけてみるのはいかが?
波照間島(【SHIMA TRIP】 www.shimatrip.jpさん撮影、Flickrより)
波照間島には2月末時点で、507人の島民が暮らしている(竹富町役場の調べ)。ツイートの投稿者は、島で商店を営む女性(Aさん)だった。
「修理工の人が昨年、近くで公衆電話を撤去した時でした」
AさんはJタウンネットの取材にそう話し、呼びかけを思い立ったきっかけを明かす。修理工に撤去理由を尋ねると、「使用頻度が少ないからです。維持したくてもお金がかかるので」。商店前の公衆電話については、「こちらは使われているので維持します」と言われたという。
商店前にあるのは、知る人ぞ知る日本最南端の公衆電話だ。それを一目見ようと、遠路はるばるやって来る訪問者がいるらしい。Aさんは「『公衆電話マニア』とか、『マンホールマニア』とか、そんな人たちが来てくれます」と話していた。
日本最南端平和の碑(Nao Iizukaさん撮影、Flickrより)
これはあくまでAさんの実感だが、島民の「9割くらい」は、自宅に固定電話があるか、携帯電話を持っているため、公衆電話に頼らなくても、連絡手段に困ることはない。島の公衆電話はこの1台のみ、というわけでもない。
だがAさんによると、「3日に1度は、使っている姿を見かけます」。20代半ばの若者が本島の親戚に電話したり、携帯電話を持っていないAさんの「おばあ」が使ったりして、受話器を手に取る島民は後を絶たない。商店前の公衆電話が撤去されないのは、こうした背景があるからだった。
だがそれも、いつまで続くか分からない。「公衆電話マニア」のような訪問者が少しでも増えれば...。Aさんはそう願い、波照間島に来たら公衆電話で大切な人に電話してみてはどうか、と勧めていた。
総務省の公式サイトは、公衆電話の設置基準について
「社会生活上の安全及び戸外における最低限の通信手段を確保する観点から、市街地においては概ね500m四方に1台、それ以外の地域においては概ね1km四方に1台という基準に基づき設置される公衆電話(第一種公衆電話)をいいます」
と定めている。