「べっぴんさん」73話。男会は「タノシカ」になりました

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第13週「いつものように」第73回 12月26日(月)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田真三


73話はこんな話


キアリスが法人化、株式会社キアリスとなり、麻田(市村正親)が社長に就任、すみれ(芳根京子)たちは取締役になった。紀夫(永山絢斗)が経理や総務を見ることになったが、朝礼やお互いの呼び方を強いるようになって・・・。

社長誕生


予告から引っ張っていた、社長に武(中島広稀)って、いくらしっかりしているといっても15歳の子供に・・・と焦ったら、麻田(市村正親)になった。麻田もまさかの・・・だが。サンタさんになったり、社長になったり、大忙しの麻田さん。

法人化するのがいいのは「なんで?」、人を雇うのに「なんで法人化?」などといちいち聞くキアリスの面々。やっぱりのんびりしている。結局、みんなが安定した生活ができると聞いてすみれたちは法人化を認めるのだった。

友達呼びをとがめる


勝二(田中要次)と昭一(平岡祐太)もキアリスの監査役となった。
法人化にあたり、「すみれちゃん」「君ちゃん」などと友達呼びをすることを咎める男会。社会人なのに、と。
馴れ合い辞めさせよう、社会人のなんたるかを教えよう、と盛り上がる男会。
「楽しいしちょることがそげ悪いこっちゃろか」と武だけが反論すると、
「君は男会か? 女会か?」「男か女かどっちなんや?」と男女の役割をはっきり分けたがる武以外の男会。

タノシカ(楽しかー) 


キアリスに対抗して男会は各々の頭文字をとって「タノシカ」に。「楽しかー」という意味だと盛り上がる男たち。紀夫は、その前に武が「(あだ名で呼び合って)楽しいしちょることが・・・」と言っていたことに掛けたのだろう。
マークは鹿だろうか。
これ、武がイサオやイチローだったら「イノシカ」もしくは「ノシイカ」になるところだ。

朝礼うざい


経理として、新しくはじまったキアリスをより良くしようと頑張る紀夫。いつまでも「ちゃん」づけはおかしいから、これからは、名字に「さん」を付けて呼び合おうと提案する。
こうして少しずつキアリスの空気が変わりはじめていく・・・

呼び方のエピソードでは、「とと姉ちゃん」放送時、妹が会社でも「とと姉ちゃん」と呼んでいることに、視聴者が疑問を投げかけていたことを思い出した。

馴れ合っていたら馴れ合っていたで文句をつけたくなるし、「さん」づけを強要されると別にいいじゃないかと反論したくなりませんか。人間って面倒くさいですね。

キアリスガイド完成


表紙にリスのマークのついた小冊子を、無料でお客さんに配布するというすみれ。
67話のレビューで、“「べっぴんさん」世界では、現実世界の世界的ベストセラー「スポック博士の育児書」が発売される1946年よりも20年以上早く市井の女たちによる、明美による欧米の方法論も取り入れた育児書が誕生したことになる。「スポック博士の育児書」は「とと姉ちゃん」ですっかりおなじみになった“暮らしの手帖社”から翻訳出版されるのは1966年だ。“と書いたが、キアリスのモデルであるファミリアは、1952年(昭和27年)に「ファミリア・ガイド」を無料配布していた(中野明著「ファミリア創業者 坂野惇子」〈中央公論新社〉より)。こんなに先進性のあるモデルがいるのだから、キアリスもこれからますますパワーアップしていくに違いない。
(木俣冬)