また車で避難、大渋滞 あの「地震の教訓」どこへ?
「やべぇってレベルじゃねぇぞ」―――福島県沖で地震が発生した2016年11月22日早朝、ライトを付けた車がまるで地平線の彼方まで繋がっているような渋滞写真が、ツイッター上に次々とアップされた。
最大で3メートルの津波が来るとの発表をうけ、住民が自家用車で避難をした結果、こうなってしまったようだ。東日本大震災の際には車で避難したため、津波に飲み込まれ多くの犠牲者が出た。ネット上では「教訓が生かされていない」などと悲鳴が上がった。
「これ津波きとったらみんな死んどるやん」
福島県沖で早朝5時59分頃に、深さ約25キロを震源とするマグニチュード(M)7.4の地震があり、最大震度5弱を観測、福島県には高さ3メートルの津波警報が出て、テレビ放送はしきりに避難を呼び掛けた。さらに、福島第2原子力発電所の3号機の使用済み核燃料プールの冷却装置が停止したとの報道もあり、慌てたためか、車で避難する人が相次いでしまった。小名浜港から内陸方面に避難する車で渋滞が起こり、福島市やいわき市の様子がツイッターで報告された。「福島県民だけど道路混みすぎてすすまない」などといった発言もあり、その写真を見た人たちからは、「車で逃げたらダメだ」などと大騒ぎになり、
「これ津波きとったらみんな死んどるやん」
「あれほど前の津波のときに車のせいで逆に逃げ遅れたと言われたろうが」
「ほんと成長しないよなwいつ津波が来るかわからないのに車で待つとかw高台昇れよあほども」
などといった書き込みが掲示板に出た。
避難は徒歩が原則です
J-CASTニュースが16年11月22日午後、福島県防災課に取材したところ、東日本大震災の惨劇を思い出して住民はパニックに陥ったのではないか、とし、
「避難は徒歩で、が原則です。津波の際の避難場所は住宅地近くに用意してありますし、そこはお年寄りや子供さんの手を引いて、ゆっくり歩いても行っても大丈夫な距離です」
と説明した。入江付近は別だが、避難所に行かなくても13メートルから14メートルほどの2階建て住宅のほどの高台でも安全だという。
ちなみに県内での津波の高さは今回、最大で90センチ。仮に3メートルの津波であっても防潮堤で止まる高さのため慌てる必要は無かった、という。東日本大震災の時も国道6号線が堤防になって津波を防いだが、万が一に備え浜通りに防災緑地を作るなど災害対策を進めている。車での避難は渋滞を引き起こすだけでなく、水かさが1メートルを超えると車内に閉じ込められる状態になるなどリスクが高すぎるため、絶対に避けたほうがいいと担当者は話していた。