ももクロからあーりん、AKB48からteam8、生ハムと焼うどんに衝撃。TIF2016詳細レポ
日本の夏、アイドルの夏、ドドドドドン(花火の音)。
というわけで、この夏も世界最大のアイドルイベント、TOKYO IDLE FESTIVAL(TIF)がお台場・青海周辺エリアで開催された。7回目を数える今年は、会期が去年までの2日間から1日延びて、8月5日〜7日の3日間の開催となった。以下、その様子をレポートしたい。
祭りの幕開けを告げるオープニングアクトの目玉として、船の科学館の敷地内に設けられたSHIP STAGEに、ももいろクローバーZの“あーりん”こと佐々木彩夏が登場した。
1曲目は「だって あーりんなんだもーん」。その衣裳も彼女のキャラクターにふさわしく、お姫様風のドレスに頭には小さな冠。曲のあいまには、白からピンクを基調とした衣裳へ早変わりする。このあと、「あーりんは反抗期」「Link Link」を披露。曲数こそ少なかったものの、あくまでマイペースなキャラを貫くあーりんは存在感たっぷりだった。
後述するように、今年のTIF初日には、AKB48からTeam8が出演している。ももクロとAKB48と、いわゆるアイドル戦国時代と呼ばれるシーンを生み出したグループからの出演は、TIFにおけるひとつのエポックを感じさせた。
虹のコンキスタドールを観るためTIFのメインステージであるHOT STAGE(Zepp DiverCity)に移動。ちょうどステージに出演していた大阪・春夏秋冬(「・」は正しくは星印)というグループの歌唱力に圧倒される。思わず、その場でサーチしたところ、検索候補に「大阪 春夏秋冬 ボーカル」の文字列が並ぶ。評判のボーカルの子は小川舞奈。とにかく声量がすごい。ほかのメンバーもプロフィールを見ると、ダンス歴が長いうえに種類も多くて驚かされる。
こういう未知のグループに思いがけず出会えるのが、全国からアイドルが集結するTIFの醍醐味のひとつだ。ほかにも、前出のSHIP STAGEでの「TOKYO IDOL PROJECT×Tokyo Girls' Update〜グローバルライブ〜」に出演したジュリリ・ジュリラン・未来・ゴロゴロコロニー13世(略して「未来」)という長い名前のソロアイドルも面白かった。忍者を思わせる衣裳に歌。和のテイストだなと思ったら、本人は台湾出身と知って驚いた。客席に目を向けると、歌詞に登場するシーラカンスのぬいぐるみを曲に合わせて振っている人がいたりと、かなりのファンを獲得しているようだ。
初日にぜひ見たいと思っていたグループのひとつが、先にあげたAKB48 Team8だった。全国47都道府県からメンバーが集まったチームは、大所帯ということもあり、AKB48のなかでも独特のポジションにある。初期のAKB48と重ね合わせて応援するファンも増えていると、先月公開された映画「存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48」でもフィーチャーされていた。
実際にステージを観たところ、たしかに、これまで何度かテレビで観たときよりも、歌もダンスも確実に成長していることがうかがえた。初期からAKBを観てきたファンがハマるのも納得。
セットリストの1曲目は、メンバーのひとり(福井代表の長久玲奈らしい)のアコースティックギターの伴奏による「ポニーテールとシュシュ」。続いてメンバーの「みなさん、『言いたいこと』を言う準備はできてますか〜?」の呼びかけに応じて、ファンが「言いたいことがあるんだよ」で始まるAKBでもこのチームだけのMIXを打ち、チームのオリジナル曲「47の素敵な街へ」を披露。
このあとも、オリジナル曲を交えながらAKBの名曲メドレーが続いた。最後の「ひこうき雲」はAKBのコンサートでもクライマックスに歌われる曲で、このときもメンバーとファンがタオルを振り回しながら盛り上がった。
なお、AKB48グループから今年のTIFには、このあと3日目(8月7日)にSKE48とNGT48が出演している。NGT48は昨年、新潟で結成されたばかりでオリジナル曲がまだ少ないこともあり、セットリストにはAKB48の曲も多く、Team8とちょっとかぶっていたのが惜しかったかも(でも、パフォーマンスはTeam8とくらべても遜色なかった)。
その点、同じく3日目に登場したSKE48は、「パレオはエメラルド」「パレオはエメラルド」といった夏の定番曲から、最近の「チキンLINE」まできちんと押さえていた。
じつは、今回のTIFで、あるグループのステージを観たとき、世間的に一番知られているはずの曲が結局歌われなくて、ちょっとがっかりしたことがあった。だからSKE48、あるいは夢見るアドレセンスといったグループがきちんと定番曲を披露してくれるのはうれしい。何よりファンとしては盛り上がるし。
初日の夜、フジテレビの湾岸スタジオの屋内に設けられたDOLL FACTORYにて、「Zipperステージ SPINNSファッションショー&トークショー」が開催された。ファッション誌「Zipper」とのコラボによるファッションショーには、トップバッターとして同誌モデルの北野日奈子(乃木坂46)が登場。乃木坂からは初めてのTIFの出演だろう。このときスケ感のあるシースルーのスカートを指しながら、「安心して下さい、履いてますよ」というギャグで笑いをとっていた。
ファッションショーではベッド・インの二人もランウェイを歩いた。バブル時代のセクシーアイドルのコンセプトを継承する異色の二人組だ。じつは昨年のTIFにも、会場をゲリラ的に訪れていたのだが、今回が満を持しての初出演ということになった。その後、ニッポン放送の吉田尚記アナをMCに、でんぱ組.incの5人、新井ひとみ(東京女子流/志田サマー新井サマー)、一ノ瀬みか(神宿)と並んでトークを行なったのだが、バブル期っぽい死語や下ネタを連発する二人に、若いアイドルは終始たじたじだった。
DOLL FACTORYではこのあと、でんぱ組から古川未鈴・夢眠ねむ・藤崎彩音のMCにより、「TIFメインステージ争奪LIVEファイナル」が行なわれた。これは3日目にTIFのメインステージであるHOT STAGEに出演するグループを、予選を勝ち残った4組のなかから、会場とニコニコ生放送の投票で決めるというもの。エントリーしたのはMAPLEZ、神宿、生ハムと焼うどん、まねきケチャ。さすが熾烈な予選を勝ち上がってきたグループだけあって、いずれも劣らないパフォーマンスだった。このうち7分近くある持ち歌「きみわずらい」に“一曲入魂”と全力を注いだまねきケチャが、みごとメインステージへの出演権を獲得している。
ただし、私が衝撃を受けたのはむしろ生ハムと焼うどんだった。この二人組の噂は以前から耳にしていたのだが(その数日前に放送された「水曜日のダウンタウン」にも出ていた)、生で観たのは初めて。その特徴ともいうべき寸劇では、絶妙の間合いでアイドルの本音と建前を演じてみせ、これがとにかく面白い。肝心の歌も踊りもきっちりしているし、何よりセンスが独特だ。
生ハムと焼うどんはこのあと、TIFの2日目と3日目にも出演。2日目の湾岸スタジオ横の広場・SMILE GARDENのステージでは、「オタク同士が仲良くなる方法」を伝授したりと、客いじりも手慣れたものだった。前日のメインステージ争奪LIVEでは、寸劇のなかで相手のグループの名前まで出して笑いをとっていたし、いったい彼女たちの度胸のよさはどこから来るのか。いまさらながら、今回のTIFで観てすっかりハマってしまった。どうしてくれる。
このほか、TIFにはまだまだ注目すべきアイドルがたくさん登場している。以下、レポートは後編へと続きます。
(近藤正高)
というわけで、この夏も世界最大のアイドルイベント、TOKYO IDLE FESTIVAL(TIF)がお台場・青海周辺エリアで開催された。7回目を数える今年は、会期が去年までの2日間から1日延びて、8月5日〜7日の3日間の開催となった。以下、その様子をレポートしたい。
ももクロから佐々木彩夏がソロ出演
祭りの幕開けを告げるオープニングアクトの目玉として、船の科学館の敷地内に設けられたSHIP STAGEに、ももいろクローバーZの“あーりん”こと佐々木彩夏が登場した。
1曲目は「だって あーりんなんだもーん」。その衣裳も彼女のキャラクターにふさわしく、お姫様風のドレスに頭には小さな冠。曲のあいまには、白からピンクを基調とした衣裳へ早変わりする。このあと、「あーりんは反抗期」「Link Link」を披露。曲数こそ少なかったものの、あくまでマイペースなキャラを貫くあーりんは存在感たっぷりだった。
後述するように、今年のTIF初日には、AKB48からTeam8が出演している。ももクロとAKB48と、いわゆるアイドル戦国時代と呼ばれるシーンを生み出したグループからの出演は、TIFにおけるひとつのエポックを感じさせた。
ずば抜けた歌唱力のグループを発見
虹のコンキスタドールを観るためTIFのメインステージであるHOT STAGE(Zepp DiverCity)に移動。ちょうどステージに出演していた大阪・春夏秋冬(「・」は正しくは星印)というグループの歌唱力に圧倒される。思わず、その場でサーチしたところ、検索候補に「大阪 春夏秋冬 ボーカル」の文字列が並ぶ。評判のボーカルの子は小川舞奈。とにかく声量がすごい。ほかのメンバーもプロフィールを見ると、ダンス歴が長いうえに種類も多くて驚かされる。
こういう未知のグループに思いがけず出会えるのが、全国からアイドルが集結するTIFの醍醐味のひとつだ。ほかにも、前出のSHIP STAGEでの「TOKYO IDOL PROJECT×Tokyo Girls' Update〜グローバルライブ〜」に出演したジュリリ・ジュリラン・未来・ゴロゴロコロニー13世(略して「未来」)という長い名前のソロアイドルも面白かった。忍者を思わせる衣裳に歌。和のテイストだなと思ったら、本人は台湾出身と知って驚いた。客席に目を向けると、歌詞に登場するシーラカンスのぬいぐるみを曲に合わせて振っている人がいたりと、かなりのファンを獲得しているようだ。
AKB48からteam8が初出演
初日にぜひ見たいと思っていたグループのひとつが、先にあげたAKB48 Team8だった。全国47都道府県からメンバーが集まったチームは、大所帯ということもあり、AKB48のなかでも独特のポジションにある。初期のAKB48と重ね合わせて応援するファンも増えていると、先月公開された映画「存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48」でもフィーチャーされていた。
実際にステージを観たところ、たしかに、これまで何度かテレビで観たときよりも、歌もダンスも確実に成長していることがうかがえた。初期からAKBを観てきたファンがハマるのも納得。
セットリストの1曲目は、メンバーのひとり(福井代表の長久玲奈らしい)のアコースティックギターの伴奏による「ポニーテールとシュシュ」。続いてメンバーの「みなさん、『言いたいこと』を言う準備はできてますか〜?」の呼びかけに応じて、ファンが「言いたいことがあるんだよ」で始まるAKBでもこのチームだけのMIXを打ち、チームのオリジナル曲「47の素敵な街へ」を披露。
このあとも、オリジナル曲を交えながらAKBの名曲メドレーが続いた。最後の「ひこうき雲」はAKBのコンサートでもクライマックスに歌われる曲で、このときもメンバーとファンがタオルを振り回しながら盛り上がった。
なお、AKB48グループから今年のTIFには、このあと3日目(8月7日)にSKE48とNGT48が出演している。NGT48は昨年、新潟で結成されたばかりでオリジナル曲がまだ少ないこともあり、セットリストにはAKB48の曲も多く、Team8とちょっとかぶっていたのが惜しかったかも(でも、パフォーマンスはTeam8とくらべても遜色なかった)。
その点、同じく3日目に登場したSKE48は、「パレオはエメラルド」「パレオはエメラルド」といった夏の定番曲から、最近の「チキンLINE」まできちんと押さえていた。
じつは、今回のTIFで、あるグループのステージを観たとき、世間的に一番知られているはずの曲が結局歌われなくて、ちょっとがっかりしたことがあった。だからSKE48、あるいは夢見るアドレセンスといったグループがきちんと定番曲を披露してくれるのはうれしい。何よりファンとしては盛り上がるし。
ベッド・イン、生ハムと焼うどん……異色のアイドルたち
初日の夜、フジテレビの湾岸スタジオの屋内に設けられたDOLL FACTORYにて、「Zipperステージ SPINNSファッションショー&トークショー」が開催された。ファッション誌「Zipper」とのコラボによるファッションショーには、トップバッターとして同誌モデルの北野日奈子(乃木坂46)が登場。乃木坂からは初めてのTIFの出演だろう。このときスケ感のあるシースルーのスカートを指しながら、「安心して下さい、履いてますよ」というギャグで笑いをとっていた。
ファッションショーではベッド・インの二人もランウェイを歩いた。バブル時代のセクシーアイドルのコンセプトを継承する異色の二人組だ。じつは昨年のTIFにも、会場をゲリラ的に訪れていたのだが、今回が満を持しての初出演ということになった。その後、ニッポン放送の吉田尚記アナをMCに、でんぱ組.incの5人、新井ひとみ(東京女子流/志田サマー新井サマー)、一ノ瀬みか(神宿)と並んでトークを行なったのだが、バブル期っぽい死語や下ネタを連発する二人に、若いアイドルは終始たじたじだった。
DOLL FACTORYではこのあと、でんぱ組から古川未鈴・夢眠ねむ・藤崎彩音のMCにより、「TIFメインステージ争奪LIVEファイナル」が行なわれた。これは3日目にTIFのメインステージであるHOT STAGEに出演するグループを、予選を勝ち残った4組のなかから、会場とニコニコ生放送の投票で決めるというもの。エントリーしたのはMAPLEZ、神宿、生ハムと焼うどん、まねきケチャ。さすが熾烈な予選を勝ち上がってきたグループだけあって、いずれも劣らないパフォーマンスだった。このうち7分近くある持ち歌「きみわずらい」に“一曲入魂”と全力を注いだまねきケチャが、みごとメインステージへの出演権を獲得している。
ただし、私が衝撃を受けたのはむしろ生ハムと焼うどんだった。この二人組の噂は以前から耳にしていたのだが(その数日前に放送された「水曜日のダウンタウン」にも出ていた)、生で観たのは初めて。その特徴ともいうべき寸劇では、絶妙の間合いでアイドルの本音と建前を演じてみせ、これがとにかく面白い。肝心の歌も踊りもきっちりしているし、何よりセンスが独特だ。
生ハムと焼うどんはこのあと、TIFの2日目と3日目にも出演。2日目の湾岸スタジオ横の広場・SMILE GARDENのステージでは、「オタク同士が仲良くなる方法」を伝授したりと、客いじりも手慣れたものだった。前日のメインステージ争奪LIVEでは、寸劇のなかで相手のグループの名前まで出して笑いをとっていたし、いったい彼女たちの度胸のよさはどこから来るのか。いまさらながら、今回のTIFで観てすっかりハマってしまった。どうしてくれる。
このほか、TIFにはまだまだ注目すべきアイドルがたくさん登場している。以下、レポートは後編へと続きます。
(近藤正高)