人気若手声優が語る思春期の悩み「ポッピンQ」アフレコ直撃レポ

写真拡大 (全4枚)

東映アニメーションが創立60周年に贈るオリジナル劇場アニメ「ポッピンQ」。2017年1月に公開される。
中心となるのは、卒業を目前にして、それぞれに悩みを抱えた5人の中学生女子。彼女たちが「時の谷」で出会い、ぶつかり合いながら成長していきダンスで「世界を救う」というストーリーだ。
5人を演じるのは、瀬戸麻沙美(小湊伊純役)、井澤詩織(日岡蒼役)、種崎敦美(友立小夏役 崎のつくりの大は正式には立)、小澤亜李(大道あさひ役)、黒沢ともよ(都久井沙紀役)。都内某所でアフレコ直後の5人に直撃してきた。


5人のキャラクターは?


──人が演じ、たったいま声を吹き込んだキャラクターは、どんな性格の女の子なんでしょうか。

瀬戸 伊純は、まっすぐで社交性があって、初めて会った人とも明るく話ができる女の子。その半面、頑固で時として相手とぶつかってしまうアツい面も持っています。

井澤 日岡蒼ちゃんは、けっして間違ったことは言ってないし、大人から見たら「そうだよな」ってことを言ってるんですけど、正義感が強すぎて、人にも自分にも厳しいタイプ。少し孤立してしまっているところがあって、「こういう子、クラスにいるよね」と思うようなクールな子ですね。

種崎 こなっちゃん(小夏の愛称)は、ピアノが得意で、不安なことがあると自分の髪をいじっちゃったりする、女の子らしいしぐさの子。笑顔で場を和ませてくれる、ふわっとした空気を持ったムードメイカーです。

小澤 あさひは大人しい子ですね。本当は自分のやりたいことがあるし、芯もあるんだけど、人のことが気になってしまってなかなか自分の気持ちを表に出せず、自分を主張できない女の子。武道家の両親から「武道をやれ」と言われて、「本当は武道をやらずにもっとかわいらしい女の子でいたいのに……」という悩みを持ちながら、両親の言うことを断れないでいる。自分の気持ちを優先できないっていう悩みを抱えています。

黒沢 沙紀はダンスが得意な女の子です。だけど、ある出来事をきっかけにダンスを踊るたびにつらい思いをするようになって、それからいろんなことに臆病になってしまっているんです。

“事前の読み合わせ”が効果大!


──アフレコはいかがでしたか?

瀬戸 事前に5人全員で読み合わせがあったのがとてもよかったです。オリジナル劇場作品なので、今日のこの日が「よーいどん、スタート!」のアフレコだったら、自分の中で“すりこむ”までにとても時間がかかっていたと思う。一回みんなで会って「こういう声なんだ、こういうお芝居なんだ!」となったので、いざ台本が完成して読んだときに「読み合わせのみんなのお芝居が聞こえてくる!」という感じがしました。より良い形で本番の収録ができたんじゃないでしょうか。

小澤 事前に読み合わせをして監督に「私はこのキャラをこう思っているんですが、イメージと合っていますか?」と確認できたので、間違った方面で作り込まずに当日を迎えられましたね。緊張がなかった。

井澤 不安も少なかった!

種崎 アフレコ前に事前に映像をいただくのですが、全シーンが今まで経験したことないくらい本当にすんなり自分の中に入ってきて。その感覚に驚きましたし、新鮮でしたし、「読み合わせってすごい!」と思いました。


──アニメ現場では、資料が十分にもらえないで本番に挑むことも多いと聞きますが、今回は準備が十分にできたということでしょうか。

黒沢 そうですね。みなさんにお会いできて、資料が豊富にいただけたので、“言葉を拾っていく”といったやり方ではなくて、性格や背景から役を作ることができて、“肌なじみ”がよかったなと思います。その上で、先輩方からも影響を受けて頑張れました。スタッフさんに「テストと本番がまるで違う」と言って頂けたりしました。

──ちなみに、瀬戸さん演じる伊純は“方言女子”ですが、方言を演じるのに苦労はありましたか?

瀬戸 方言は苦労とは感じなかったです。「そういう役だからやる」。ただ、準備はしました! 方言指導の方がついてくださって、私と同い年くらいの女性の土佐弁の声をCDに収録してくれました。そのCDを聞き込んで、実際に声を発してみて、指導してもらって……と練ったものをCDに収録して、スタッフさんみんなに「完成した伊純の方言」をシェアしてもらいました。方言の練習は不安がいっぱいでしたが、指導も確認も丁寧にしていただいたので、今はほっとしています。

井澤 方言女子、萌える〜!

瀬戸 みんなの中では、「いえんかって(言えない)」と「つかえゆ」(使えない)が刺さった(ときめいてもらった)みたいです!

わきあいあいのアフレコ現場


──そういえば、宮原直樹監督はどういった方なんでしょうか? アフレコ現場での様子をお聞かせください。

瀬戸 監督ですか。監督は見た目が大柄で男らしいんですけど、ひとたび笑顔になればすごいやわらかい表情をしていて……。

黒沢 (顔マネ)

井澤 文字じゃ伝わらないよ〜!

黒沢 そうですね〜!(声マネ)

瀬戸 えーと(笑)、アフレコ現場でも伝え方が柔らかくて。役者側が気持ちよく収録ができるような語り口調でディレクションをしてくださいます! 監督の雰囲気が作品に出ているし、現場の空気にも出ていますね。

井澤 長時間のアフレコだとみんな疲れてきてしまうんですけど、監督が「いい感じでしたー!」と言いながらブースに入ってきてくれて、みんな笑っちゃいましたよね。

黒沢 しかもちょいちょい小ネタやノリツッコミを挟んでくる! シリアスなシーンが続いていて「笑わないぞ!」となっても、監督がいらっしゃると和やかになっちゃうんですよね。演技の指導は、ひとりひとりをすごく褒めてくださるなという印象です。

瀬戸 こっちの意見を受け止めたうえで、言葉を選んでくださったよね。

種崎 お芝居の提案も一回受け入れて、そのあとにアドバイスをくれました。

──アフレコの空気はすごくよかったんですね!

黒沢 そうですね。あと、ルピイを演じる新井里美さんとは2日間ですごく仲良くなって、休憩時間は「ガハハ!」「ガハハ!」と笑いあってました(笑)。

自分以外のキャラで、惹かれるキャラは?


──最初にも紹介した5人のキャラクター。自分以外で惹かれるキャラは誰でしょう?

瀬戸 これ、誰にも選ばれなかったらどうする…?(小声)

種崎 あさひちゃんが好きです〜! マニキュアを隠すしぐさ、髪飾りを取るしぐさがかわいい!

小澤 えーっ、嬉しい!

井澤 井澤は、こなっちゃん(小夏)が好きなんです! しぐさがかわいい。きゅっとなるお口も、みんなになんとか仲良くしてもらおうっていうムードメイカーっぷりも、たまらなくかわいいんですよ! 仲間内にいてほしい立ち位置。

黒沢 私も、こなつちゃんが好きです。ピアノが弾けるのがポイント高い。女子に人気があると思います。しぐさもだし、種崎さんがかわいい……。

井澤 かわいい!

瀬戸 キャラをかわいいって思うのって、私たち、男の人目線なのかな?(笑)

小澤 私は大人しい子が好きなので、自分が演じるあさひが一番好きなんですけど、自分以外だと誰だろう……?

瀬戸 どうする? 伊純にしとく?

小澤 お、おとなしくないぞ〜!? 伊純も好きです!


──瀬戸さんはいかがですか?

瀬戸 私、友達が少ない子が好きなんですよね。この中だと……

井澤 孤立してるよ!(瀬戸に向かってアピール)

黒沢 いま、孤立してるよ! 孤立なう!(瀬戸に向かって激しくアピール)

瀬戸 うう〜ん、みんな好きって前提で、たぶん私は蒼にちょっかいだしちゃうかな。ツンツンしてる子を構っちゃうので!

黒沢 蒼のツンツンっぷりは生粋ですもんね。沙紀は本当の性格はけっこうフレンドリーで、ちゃんと意見を言える子。蒼は突っぱねちゃう人で、沙紀は黙っちゃう人って感じ。

瀬戸 おお〜(拍手)。沙紀は愛される系のぼっち……いや、愛される系の独り身だよね! というわけで、やっぱり蒼です。

コンプレックス、誰に共感する?


──魅力的な5人ですが、それぞれがコンプレックスや悩みを抱えている……というのが物語のポイントにもなっています。皆さんは5人の中で、誰のコンプレックスに共感しますか?

井澤 私はすごく、蒼と性格が似てるんです。無駄な正義感を持ち合わせているせいで、羽目を外しにくい。学生時代は学級委員長をやっていたんですが、「校則は守らなきゃ!」みたいなタイプで、あんまりイタズラができなくて。軽々と校則をやぶれるような子たちに、すごく嫉妬心と憧れを抱えていた思い出がある。蒼の気持ちはすごくわかります。

小澤 私も、共通点が多いのは自分が演じているあさひちゃん。小学生の頃は、ズボンを履いてたし、女の子らしいことをしていなかったんですが、中学生になって女の子らしいことに憧れて、スカートを初めて買ってみたりとか、髪を結んでみたりとか……。それから、自分の気持ちは持ってるんだけど、周りにどう思われるんだろうという気持ちで、なかなか自分の気持ちに正直になれなかったり、自信がもてなかったり……。「周りが気になって自分の気持ちを表に出せない」というあさひには、すごく共感します。

瀬戸 私も小学校から中学校に上がって私服から制服になるときに、制服のスカートがものすごく嫌で。たぶんそれは「恥ずかしさ」だったんですよね。「女の子っぽくしてる」とか思われるのが恥ずかしくて、すごくスカートに抵抗がありました。

一同 わかる……!

瀬戸 それも大人になるにつれてだんだんなくなってきましたけど、小中学生のときって、そういう些細な周りが気にしてないようなことで悩んでいた。それはキャラにも私たちにも共通するのかなと思いました。

種崎 私も、自分が演じるこなっちゃんに一番共感してしまいます。昔からそうだったりもするんですが、大人になった今も、仕事をしていてこなっちゃんと同じことで悩むことがたまにあるんです。「楽しくやれたらいちばんいい」のに、「がんばらなきゃ!ちゃんとやらなきゃ!」って思っちゃって……(うなだれる)。

小澤 お、落ち込まないで〜!


キャスト陣の“かつての自分”“今の自分”も詰め込んだ、リアルな女子中学生の気持ちを描いた作品「ポッピンQ」。5人はダンスで、世界も、行き場のない自分も救えるのか!?
そして8月1日の本日、ヒロイン5人キャストのコメント動画も公式YouTubeチャンネルにアップされた。公開を楽しみに待とう!
(青柳美帆子)