「ひとつ屋根の下」のあんちゃんが年取ったらウザイおっさんに「はじめまして、愛しています」今夜2話
いやあ、これは……問題作になる予感プンプンなドラマがはじまりましたな。
『家政婦のミタ』や『純と愛』で知られる脚本家・遊川和彦の新作ドラマ『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系・木曜21:00〜)が第1話目から飛ばしていた。
遊川さんってもともと、その時々の社会問題などをドラマの中にも反映させてくることの多い脚本家ではあるのだが、基本的にはエンターテインメント性を重視する作風なので、社会問題をモチーフにはしつつも「社会を斬ってやるぜ!」というタイプではなかった。
しかし前作『偽装の結婚』でLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の問題を取り上げたあたりから、若干「斬ってやるぜ!」感が漂いだし、今回の『はじめまして、愛しています』も同じニオイが……。
「夫婦は捨てられた子の本当の家族になろうと思った」という第1話のサブタイトルの通り、尾野真千子と江口洋介演じる夫婦が、親に捨てられた子どもと出会い、特別養子縁組をして本当の親子になろうと決心する、というストーリー。
いわゆる「婿養子」などに代表される「普通養子縁組」は、家系の継続や節税などが主な目的で、実親との親子関係は維持しつつ、養親とも親子関係を結ぶというもの。
一方、今回のドラマで取り上げられている「特別養子縁組」は、子どもの福祉を目的として、0〜6歳までの子どもに対して行われる制度。
実親よりも養親に育てられた方が、子どもの利益になると判断された時にのみ認められ、成立すると実親との親子関係は消滅し、養親と戸籍上も実の親子になれるというもの。
虐待から子どもを守ったり、中絶手術を減らすために有効な制度と期待されているのだが、まだ認知度が高くなく、普通養子縁組が年間数万件行われているのに対して、特別養子縁組の成立数は年間数百件程度だという。
今回の『はじめまして、愛しています』からは、遊川さんの「オレが特別養子縁組の認知度を上げてやるぜ!」という意気込みがビンビンに感じられるのだ。
もちろん社会的にはすごくいいことなんだとは思うけど、LGBT問題を取り上げながらも何だかよく分からないままヘンテコな結末を迎えてしまった前作『偽装の夫婦』と同じように、ドラマ的には色々と心配になってしまう。
というのも、梅田美奈(尾野真千子)&信次(江口洋介)夫婦の特別養子縁組に対する考えが軽すぎる!
そもそも、子どもが欲しいけど不妊などの問題を抱えている夫婦なのかと思いきや、美奈が「プロのピアニストとして認められるまでは……」ということで、あえて子どもを作ってこなかった夫婦なのだ。
そこに、親から虐待を受けていた謎の子どもが迷い込んで来るのだが、夫・信次はいきなり運命を感じてしまい「この前の子もそう(特別養子縁組)した方がいいんじゃないかなぁ〜?」なんて言い出す。
信次が子ども好きだという伏線は張られていたものの、どうしてそこでいきなり特別養子縁組!?
あまりに気軽に特別養子縁組したいなんて言い出す信次に対し、児童相談所の職員・堂本真知(余貴美子)は「おふたりともまだお若いんですし、ご自分の子どもをお作りになればいいじゃないですか?」と言っていたが、ザ・正論だ。
もちろん妻・美奈の方も、子作りをぶっ飛ばしていきなり特別養子縁組なんていう提案に賛成するはずもなく「本当は子どもが欲しいの? だったら今から作ろうか?」と誘う。
……いやいや。今まで子どもを作らなかったのは、アンタが「プロのピアニストとして認められるまで」云々言ってたからじゃなかったっけ!?
結局、(美奈からの子作りの誘いには乗らないくせに)謎の子どもとの特別養子縁組にやたらと情熱を燃やす信次の姿に心を打たれ、美奈も特別養子縁組を了承することになる。
「本当にいいんですね!?」という堂本のセリフに、視聴者の感情もシンクロしていたんじゃないだろうか。
特別養子縁組が成立するためには「6か月以上の試験養育期間が必要」ということで、ドラマでは今後、その期間中に起こる様々なトラブルを通して絆を深めていき、最終回あたりでめでたく実の親子に……という展開になっていくんじゃないかと予想される。
要は「試験養育期間に起こるなんやかんや」がドラマのメインなので、その前の段階の「特別養子縁組するかどうか!?」みたいなくだりは「めんどくさいからすっ飛ばしちゃおう!」ということなのだろうか?
とにかくまだ第1話なので、この夫婦がどうして子作りもしないで特別養子縁組に熱を上げるのか? ……という理由が、これから出てくるのかも知れない(ボクは出てこないと予想するけど)。
他にも、『偽装の夫婦』から引き続き出演している坂井真紀のウザイ小姑役や、恋愛トラブルを起こしまくりの兄弟という『純と愛』での役柄を思わせる速水もこみち。などなど、またまた濃そうなキャラクター多数で、今後の展開が気になるところ。
それでもやはり、一番気になってしまうキャラクターは江口洋介演じる夫・信次だろうか。
余計なことにまで首を突っ込んでしまう、お人好しでお節介。ウザイほどに明るくてダジャレ好き……。どことなく『ひとつ屋根の下』の、あんちゃんを思わせるキャラなのだ。
あの、あんちゃんが年を取ったらこんなに面倒くさそうなおっさんになってしまうのか……とか思いながら第2話を楽しもう!
(イラストと文 北村ヂン)
『家政婦のミタ』や『純と愛』で知られる脚本家・遊川和彦の新作ドラマ『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系・木曜21:00〜)が第1話目から飛ばしていた。
遊川さんってもともと、その時々の社会問題などをドラマの中にも反映させてくることの多い脚本家ではあるのだが、基本的にはエンターテインメント性を重視する作風なので、社会問題をモチーフにはしつつも「社会を斬ってやるぜ!」というタイプではなかった。
「特別養子縁組の認知度を上げる」ためのドラマなのか?
「夫婦は捨てられた子の本当の家族になろうと思った」という第1話のサブタイトルの通り、尾野真千子と江口洋介演じる夫婦が、親に捨てられた子どもと出会い、特別養子縁組をして本当の親子になろうと決心する、というストーリー。
いわゆる「婿養子」などに代表される「普通養子縁組」は、家系の継続や節税などが主な目的で、実親との親子関係は維持しつつ、養親とも親子関係を結ぶというもの。
一方、今回のドラマで取り上げられている「特別養子縁組」は、子どもの福祉を目的として、0〜6歳までの子どもに対して行われる制度。
実親よりも養親に育てられた方が、子どもの利益になると判断された時にのみ認められ、成立すると実親との親子関係は消滅し、養親と戸籍上も実の親子になれるというもの。
虐待から子どもを守ったり、中絶手術を減らすために有効な制度と期待されているのだが、まだ認知度が高くなく、普通養子縁組が年間数万件行われているのに対して、特別養子縁組の成立数は年間数百件程度だという。
今回の『はじめまして、愛しています』からは、遊川さんの「オレが特別養子縁組の認知度を上げてやるぜ!」という意気込みがビンビンに感じられるのだ。
もちろん社会的にはすごくいいことなんだとは思うけど、LGBT問題を取り上げながらも何だかよく分からないままヘンテコな結末を迎えてしまった前作『偽装の夫婦』と同じように、ドラマ的には色々と心配になってしまう。
ご自分の子どもをお作りになればいいじゃないですか?
というのも、梅田美奈(尾野真千子)&信次(江口洋介)夫婦の特別養子縁組に対する考えが軽すぎる!
そもそも、子どもが欲しいけど不妊などの問題を抱えている夫婦なのかと思いきや、美奈が「プロのピアニストとして認められるまでは……」ということで、あえて子どもを作ってこなかった夫婦なのだ。
そこに、親から虐待を受けていた謎の子どもが迷い込んで来るのだが、夫・信次はいきなり運命を感じてしまい「この前の子もそう(特別養子縁組)した方がいいんじゃないかなぁ〜?」なんて言い出す。
信次が子ども好きだという伏線は張られていたものの、どうしてそこでいきなり特別養子縁組!?
あまりに気軽に特別養子縁組したいなんて言い出す信次に対し、児童相談所の職員・堂本真知(余貴美子)は「おふたりともまだお若いんですし、ご自分の子どもをお作りになればいいじゃないですか?」と言っていたが、ザ・正論だ。
もちろん妻・美奈の方も、子作りをぶっ飛ばしていきなり特別養子縁組なんていう提案に賛成するはずもなく「本当は子どもが欲しいの? だったら今から作ろうか?」と誘う。
……いやいや。今まで子どもを作らなかったのは、アンタが「プロのピアニストとして認められるまで」云々言ってたからじゃなかったっけ!?
結局、(美奈からの子作りの誘いには乗らないくせに)謎の子どもとの特別養子縁組にやたらと情熱を燃やす信次の姿に心を打たれ、美奈も特別養子縁組を了承することになる。
「本当にいいんですね!?」という堂本のセリフに、視聴者の感情もシンクロしていたんじゃないだろうか。
特別養子縁組が成立するためには「6か月以上の試験養育期間が必要」ということで、ドラマでは今後、その期間中に起こる様々なトラブルを通して絆を深めていき、最終回あたりでめでたく実の親子に……という展開になっていくんじゃないかと予想される。
要は「試験養育期間に起こるなんやかんや」がドラマのメインなので、その前の段階の「特別養子縁組するかどうか!?」みたいなくだりは「めんどくさいからすっ飛ばしちゃおう!」ということなのだろうか?
『ひとつ屋根の下』のあんちゃんだと思って観ると2倍楽しめます
とにかくまだ第1話なので、この夫婦がどうして子作りもしないで特別養子縁組に熱を上げるのか? ……という理由が、これから出てくるのかも知れない(ボクは出てこないと予想するけど)。
他にも、『偽装の夫婦』から引き続き出演している坂井真紀のウザイ小姑役や、恋愛トラブルを起こしまくりの兄弟という『純と愛』での役柄を思わせる速水もこみち。などなど、またまた濃そうなキャラクター多数で、今後の展開が気になるところ。
それでもやはり、一番気になってしまうキャラクターは江口洋介演じる夫・信次だろうか。
余計なことにまで首を突っ込んでしまう、お人好しでお節介。ウザイほどに明るくてダジャレ好き……。どことなく『ひとつ屋根の下』の、あんちゃんを思わせるキャラなのだ。
あの、あんちゃんが年を取ったらこんなに面倒くさそうなおっさんになってしまうのか……とか思いながら第2話を楽しもう!
(イラストと文 北村ヂン)