【静岡展望】静岡を倒した常葉橘に勢い、日大三島も充実

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 静岡といえば、伝統校・静岡を軸に常葉橘、常葉菊川など実力校がひしめく地域。近年は各校の選手のレベルが高まっており、驚くようなパフォーマンスを見せる選手も出てきている。今年も、楽しみなチーム、選手が多い。そんな今年の静岡県の有力校を紹介していきたい。

常葉橘が一歩リード しかし日大三島、静岡など有力校がひしめく

谷脇 亮介(常葉橘)

 圧倒的に戦力があると言われていた静岡を準決勝で下した常葉橘が、決勝で日大三島に勝って8年ぶりに優勝を果たした。この4月から復帰した小林 正具監督は、「そんなに強くはないのですけれども、網の目をかいくぐるようにして、なんとか勝っていってしまいました」と語っていたが、やはり強打の静岡に打ち勝った形になったのが大きかった。

 東海大会では県大会で投げた谷脇 亮介を短いイニングの抑えとして起用して、望月 健人と鈴木 楓の両投手を軸に戦っていき、決勝では県立岐阜商に3回までで5点を奪われながらも9回までに追いついて、延長の末に下して優勝した。最後は、谷脇に託す形になったが、小林監督も、「県大会から、戦いながら何となく自信をつけていったのではないでしょうか」と言うようにミラクルな力を示した。

 県内を代表する右の本格派がいて、さらに打線も力もあるといえば、庄司 隼人(広島)を擁していた2009年のチームを思い出す。それを考えると、今年の常葉橘は何か期待できるチームといえる。

 昨秋に続いて準優勝となった日大三島は、やはり力はある。中川 真杉と土屋 大樹のバッテリーは安定感があり、川口 剛監督の信頼も高い。主将の今野 勇斗は県大会では4割6分9厘と高打率を残した。

 昨夏の代表校静岡は昨年から投げて甲子園にも出場しているエースの村木 文哉に注目が集まっているが、昨夏も1番を打っていた鈴木 将平、三瓶 慎也らの打線も力強い。やはり、投打のバランスという点では最も力があるともいえよう。3位決定戦では、その打力も見せつけて10対3で東海大静岡翔洋を下した。

 この4月から新校名となった東海大静岡翔洋は、東海大工と東海大一とが統合した時以来の二度目の校名変更となったが、新校名度甲子園出場してアピールしたいところであろう。県大会では、近年勢いを示している浜松修学舎に快勝したものの、準決勝では日大三島に大敗。ムラのあるところも露呈してしまっている。今春は西部地区予選で袋井に敗れたものの、好投手と評判の大橋 建斗がいる浜松商も93年春以来、夏は90年以来、久しぶりとなる甲子園が期待される。昨秋はベスト8に進出しており、十分に力はある。

 昨秋初の東海大会進出を果たした藤枝明誠も期待が高まる。今春は県大会2回戦で掛川西に敗れたが、長身投手の江野 瑞紀も面白い存在だ。昨秋、中京と互角に打ち合った打線も強力で、初出場へ期待が高まる。掛川西は、準々決勝で日大三島に敗れたものの、昨秋の県大会優勝校であり力はある。

 春季大会8強には他に静清と三島南も残っている。静清は中部地区予選では藤枝明誠に打ち勝っている。三島南は、東部地区予選の初戦で飛龍に勝って自信を得た。伝統の静岡商や島田商、静岡と点を取り合った知徳なども侮れない。

(文・手束 仁)

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