文豪・永井荷風が愛した「浅草ロック座」
男性のロマン……それはやはり女性。なかには女性の体そのものにロマンを感じる人もたくさんいます。そんな人たちが多く集まるのが、東京の浅草ロック座。今回は日本のストリップ劇場としては最も古い伝統を誇るこの場所と、縁の深いひとりの文豪のお話です。
日本で現存する最古のストリップ劇場、東京の「浅草ロック座」。
今まで数えきれないほどの観客が、ドキドキと胸を躍らせ、踊り子たちの妖艶なダンスに夢中になってきました。
座席数145、最大収容人数およそ300人の小さな劇場で繰り広げられる独特の世界。
夢中になった人物には、あの有名な文豪もいたのです。
その人物とは、永井荷風。
ロック座の歴史を語るとき、永井荷風の存在は決して無視できないと言われています。
当時、すでに名のある作家であった荷風は、毎日のように「オペラ館」という今は無きストリップ劇場に通っていました。
オペラ館がなくなると新しい劇場であったロック座へ。
なんと荷風は、お客としてだけではなく「出演」もしていたのだそうです。
通行人の役。産婦人科の先生役。
あらゆるちょい役で出演する荷風。
客も十分承知していて、彼が出演すると拍手喝采でした。
踊り子たちの間でも有名で、ロック座の楽屋に行けばいつも荷風がいるほど。
舞台が終わった後は、毎日のように踊り子たちと食事をしたり、喫茶店に行っていたとか。
茶目っ気がたっぷりな荷風は、いやらしさもなく踊り子たちにも好かれていたようです。
そんな荷風、とうとうロック座で重要な役割に抜擢されます。
それは「ヌード嬢オーディション」の審査委員長。
その審査基準はハッキリとしていて、こんな言葉が残されています。
「一部じゃ足をキレイに跳ね上げるダンスの上手い子がいいなんて言われるが、 私の基準はそうじゃない、身体の動かし方と身体の線がきれいかどうかだ。ダンスが上手くて顔が良くてというのはストリップの素養じゃない」
ダンスのうまさより身体のライン。
なんだかすごいこだわりです。
文学を何も知らない若い踊り子に「ニカゼさん、早く偉くなって『主婦の友』なんかに出てよ」と言われ、「まだペイペイだからね、なかなか難しいよ」とニコニコ笑っていたという荷風。
文化勲章を受章するのは、その直後のこと……。
気難しい作家のイメージとはかけ離れた、なんだか楽しそうな文豪です。
文／岡本清香
TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「荷風と、ロック座」として、6月20日に放送しました。
【あわせて読みたい】
★水樹奈々が私生活で使いたい「ドラクエの呪文」とは？（2016／6／20） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/wZ0QzdZ9hK.html
★新婚生活「私は妻のコレにドン引きました」食生活編（2016／6／19） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/a7DvTMq4uV.html
★楊枝専門店なのに、なぜ屋号は「さるや」なの？ （2016／6／17） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/XkIkkkg0RU.html
＜番組概要＞
番組名：「シンクロのシティ」
放送日時 ：毎週月〜木曜15：00〜16：50
パーソナリティ：堀内貴之、MIO
番組Webサイト：http://www.tfm.co.jp/city/
文豪・永井荷風が愛した「浅草ロック座」
日本で現存する最古のストリップ劇場、東京の「浅草ロック座」。
今まで数えきれないほどの観客が、ドキドキと胸を躍らせ、踊り子たちの妖艶なダンスに夢中になってきました。
座席数145、最大収容人数およそ300人の小さな劇場で繰り広げられる独特の世界。
夢中になった人物には、あの有名な文豪もいたのです。
その人物とは、永井荷風。
当時、すでに名のある作家であった荷風は、毎日のように「オペラ館」という今は無きストリップ劇場に通っていました。
オペラ館がなくなると新しい劇場であったロック座へ。
なんと荷風は、お客としてだけではなく「出演」もしていたのだそうです。
通行人の役。産婦人科の先生役。
あらゆるちょい役で出演する荷風。
客も十分承知していて、彼が出演すると拍手喝采でした。
踊り子たちの間でも有名で、ロック座の楽屋に行けばいつも荷風がいるほど。
舞台が終わった後は、毎日のように踊り子たちと食事をしたり、喫茶店に行っていたとか。
茶目っ気がたっぷりな荷風は、いやらしさもなく踊り子たちにも好かれていたようです。
そんな荷風、とうとうロック座で重要な役割に抜擢されます。
それは「ヌード嬢オーディション」の審査委員長。
その審査基準はハッキリとしていて、こんな言葉が残されています。
「一部じゃ足をキレイに跳ね上げるダンスの上手い子がいいなんて言われるが、 私の基準はそうじゃない、身体の動かし方と身体の線がきれいかどうかだ。ダンスが上手くて顔が良くてというのはストリップの素養じゃない」
ダンスのうまさより身体のライン。
なんだかすごいこだわりです。
文学を何も知らない若い踊り子に「ニカゼさん、早く偉くなって『主婦の友』なんかに出てよ」と言われ、「まだペイペイだからね、なかなか難しいよ」とニコニコ笑っていたという荷風。
文化勲章を受章するのは、その直後のこと……。
気難しい作家のイメージとはかけ離れた、なんだか楽しそうな文豪です。
文／岡本清香
TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「荷風と、ロック座」として、6月20日に放送しました。
【あわせて読みたい】
★水樹奈々が私生活で使いたい「ドラクエの呪文」とは？（2016／6／20） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/wZ0QzdZ9hK.html
★新婚生活「私は妻のコレにドン引きました」食生活編（2016／6／19） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/a7DvTMq4uV.html
★楊枝専門店なのに、なぜ屋号は「さるや」なの？ （2016／6／17） http://tfm-plus.gsj.mobi/news/XkIkkkg0RU.html
＜番組概要＞
番組名：「シンクロのシティ」
放送日時 ：毎週月〜木曜15：00〜16：50
パーソナリティ：堀内貴之、MIO
番組Webサイト：http://www.tfm.co.jp/city/
