夢は「テラスハウス」に勝つことです!「万年B組ヒムケン先生」プロデューサーに聞く
TBSの深夜がスゴいことになっている。月曜日は中居正広による音楽番組「Momm!!」で始まり、「万年B組ヒムケン先生」や「有田ジェネレーション」が、火曜日はミッチーこと及川光博の「Good Time Music」が、水曜日にはドラマ「毒島ゆり子のせきらら日記」、上田晋也による社会派トーク番組「上田晋也のニッポンの過去問」、木曜日には「クレイジージャーニー」、「ゴロウ・デラックス」、そして金曜は「有吉ジャポン」、「NEWSな2人」……と続く。
「万年B組ヒムケン先生」は、イケてる「A組」に対してパッとしない「B組」の若者たちをヒムケン先生(日村勇紀)たちが応援する番組である。
前編に引き続きプロデューサーの江藤俊久氏に話を伺った。
───今、TBSのバラエティは個性的な番組が増えていますが、風通しの良さみたいなものは感じますか。
江藤 感じます、感じますね! まあまあ楽しみな局ですよね、きっと(笑)。
───傍目から見ても編成、狂ってるなって思うんですけど(笑)。
江藤 そうですね。ずっと地べたを這ってきた者の強みっていうのが(笑)。こんな言い方なんですけど、しばらく低迷があったので、こちらも落ち着いてるんですよ。
───あはは、逆に(笑)。
江藤「ヒムケン先生」の初回、女子は一切見てなかったですから!(笑)
───えー、そうなんですか!
江藤 さすがに編成も、深夜とはいえ、もうちょっと女子をどうにかしろって言ってもおかしくないじゃないですか。「個性的な番組でなによりです」って言ってました(笑)。「おたくもB組だね」って。
───やっぱ編成狂ってますねえ(笑)。
江藤 逆に褒められたわって(笑)。
「ヒムケン先生」でメインの演出を務めるのは塩谷泰孝。彼が率いるシオプロは現在もっとも勢いのある番組制作プロダクションのひとつだ。「そんなバカなマン」、「とんぱちオードリー」(ともにフジテレビ)、「ゴッドタン」、「ウレロ」シリーズ(ともにテレビ東京)など今時珍しい“純お笑い番組”を作り続けている。
───江藤さんはシオプロと組むのは初めてですよね?
江藤 そうですね。「ヒムケン先生」の企画を出したのは僕じゃないんですけど、企画立案した人がもともと塩谷とずっと一緒にやってきた人なんですよ。で、この企画ならば、シオプロだろうと。シオプロで正解でした。彼らもみんなノッてますね。
───ホントにシオプロらしい番組ですよね。
江藤 今回は大の大人が集まって立てた企画が、シオプロってヤツらのおかげでいい感じに化学反応が起こり始めたんじゃないかなって実感がありますね。大人が考えたコンセプトをヤンチャな若者が撮っているんで、ちょうどいい感じなんじゃないですかね。
───江藤さんは最初からバラエティ班だったんですか?
江藤 入社して最初に就いたのが「さんまのスーパーからくりTV」のADなんです。そういった意味では、僕、ずっと素人さんを扱う番組をやってるんですよね。最初、「からくりTV」で、そして「学校へ行こう!」をやって、今は「ナイナイのお見合い大作戦!」もやっているんで。僕自身、素人さんを扱う番組は好きなんだと思いますね。だからこの番組、すごい好きなんですよ(笑)。むちゃくちゃ楽しいんですよ。
───以前、構成作家の樋口卓治さんのインタビューで読んだんですが、「からくりTV」の名物コーナー「からくりビデオレター」の発案は江藤さんだったと。
江藤 まだADの頃だったと思うんですけど、その頃、ウチのおふくろから、息子が心配なのか、毎週「からくりTV」の放送が終わると当時まだケータイがなかったので留守電が入ってたんですよ。「見ました」と。「海外ビデオ面白かったです。○○はちょっと中だるみ。ご長寿クイズでホッとしました」みたいな(笑)。まるで「プロデューサーかよ!」っていうのが毎週来る。で、それをスタッフの前でネタにしてたら、樋口さんが「ビデオレター」っていうタイトルを思いついて。「身近にいると面と向かって言えないことも、ビデオレターなら伝わる」っていう企画だったと記憶しているんですけど、その企画は流れちゃって。でもその頃、怒られてばっかりだったから早くディレクターになりたくて、おふくろの留守電だったのが面白いと思ったので、そのときの演出だった園田(憲)さんにデジカメでいいんで「母親と子供」っていうテーマで一回撮りに行っていいですかって撮りに行ったのが始まりだったと思います。
───なんか「からくりビデオレター」ってTBSバラエティを象徴する企画のひとつじゃないかって思うんですけど。
江藤 そうですね。ひとつのイメージになったとは思います。
───充実したTBSの他の深夜番組へのライバル意識は?
江藤 あぁ、でも僕ら25時台ですからねえ。それよりも、夢は「テラスハウス」(フジテレビ)に勝つことです!
───ああ! 真裏ですもんね!
江藤 女子の絶大なる人気を持ってますから。“女子クラス”でしょ、あちらは。 “男子クラス”が一回くらい勝ってもいいんじゃないかと(笑)。
───しかも「A組」ですよね。
江藤 そうそう、A組ですもん! 万年B組が勝ったら面白くないですか? ザッピングしてみたらすっごいオシャレな会話してましたよ。うちが紙で作った野球ボールでキャッチボールしてたときに(笑)。第1回の視聴率が出たとき、僕は思ったより獲ったな、このまま行こうって思ったんですけど、女子視聴率の低さを気にした塩谷が「やっぱ野球は女子食いつきませんかねぇ」って。ちげーよ! そこじゃねーよって(笑)。
───(爆笑)。
江藤 いろんなことだよ! 裏に「テラスハウス」があるとか、この番組から漂うこととか……。
───えーと……(しばらく笑いが止まらない)。それでは、その女性視聴者向けにアピールポイントはありますか?
江藤 ……特にはないですね(笑)。
───ない!(爆笑)
江藤 見ないでいいってことじゃないですよ! 女性視聴率が伸びたので。そんな方だけでも見続けてください(笑)。
取材・構成/てれびのスキマ(戸部田誠)
『1989年のテレビっ子』(双葉社)刊行中
「万年B組ヒムケン先生」は、イケてる「A組」に対してパッとしない「B組」の若者たちをヒムケン先生(日村勇紀)たちが応援する番組である。
前編に引き続きプロデューサーの江藤俊久氏に話を伺った。
女子は一切見てなかった
───今、TBSのバラエティは個性的な番組が増えていますが、風通しの良さみたいなものは感じますか。
江藤 感じます、感じますね! まあまあ楽しみな局ですよね、きっと(笑)。
───傍目から見ても編成、狂ってるなって思うんですけど(笑)。
江藤 そうですね。ずっと地べたを這ってきた者の強みっていうのが(笑)。こんな言い方なんですけど、しばらく低迷があったので、こちらも落ち着いてるんですよ。
───あはは、逆に(笑)。
江藤「ヒムケン先生」の初回、女子は一切見てなかったですから!(笑)
───えー、そうなんですか!
江藤 さすがに編成も、深夜とはいえ、もうちょっと女子をどうにかしろって言ってもおかしくないじゃないですか。「個性的な番組でなによりです」って言ってました(笑)。「おたくもB組だね」って。
───やっぱ編成狂ってますねえ(笑)。
江藤 逆に褒められたわって(笑)。
「ヒムケン先生」でメインの演出を務めるのは塩谷泰孝。彼が率いるシオプロは現在もっとも勢いのある番組制作プロダクションのひとつだ。「そんなバカなマン」、「とんぱちオードリー」(ともにフジテレビ)、「ゴッドタン」、「ウレロ」シリーズ(ともにテレビ東京)など今時珍しい“純お笑い番組”を作り続けている。
───江藤さんはシオプロと組むのは初めてですよね?
江藤 そうですね。「ヒムケン先生」の企画を出したのは僕じゃないんですけど、企画立案した人がもともと塩谷とずっと一緒にやってきた人なんですよ。で、この企画ならば、シオプロだろうと。シオプロで正解でした。彼らもみんなノッてますね。
───ホントにシオプロらしい番組ですよね。
江藤 今回は大の大人が集まって立てた企画が、シオプロってヤツらのおかげでいい感じに化学反応が起こり始めたんじゃないかなって実感がありますね。大人が考えたコンセプトをヤンチャな若者が撮っているんで、ちょうどいい感じなんじゃないですかね。
素人さんを扱う番組は好き
───江藤さんは最初からバラエティ班だったんですか?
江藤 入社して最初に就いたのが「さんまのスーパーからくりTV」のADなんです。そういった意味では、僕、ずっと素人さんを扱う番組をやってるんですよね。最初、「からくりTV」で、そして「学校へ行こう!」をやって、今は「ナイナイのお見合い大作戦!」もやっているんで。僕自身、素人さんを扱う番組は好きなんだと思いますね。だからこの番組、すごい好きなんですよ(笑)。むちゃくちゃ楽しいんですよ。
───以前、構成作家の樋口卓治さんのインタビューで読んだんですが、「からくりTV」の名物コーナー「からくりビデオレター」の発案は江藤さんだったと。
江藤 まだADの頃だったと思うんですけど、その頃、ウチのおふくろから、息子が心配なのか、毎週「からくりTV」の放送が終わると当時まだケータイがなかったので留守電が入ってたんですよ。「見ました」と。「海外ビデオ面白かったです。○○はちょっと中だるみ。ご長寿クイズでホッとしました」みたいな(笑)。まるで「プロデューサーかよ!」っていうのが毎週来る。で、それをスタッフの前でネタにしてたら、樋口さんが「ビデオレター」っていうタイトルを思いついて。「身近にいると面と向かって言えないことも、ビデオレターなら伝わる」っていう企画だったと記憶しているんですけど、その企画は流れちゃって。でもその頃、怒られてばっかりだったから早くディレクターになりたくて、おふくろの留守電だったのが面白いと思ったので、そのときの演出だった園田(憲)さんにデジカメでいいんで「母親と子供」っていうテーマで一回撮りに行っていいですかって撮りに行ったのが始まりだったと思います。
───なんか「からくりビデオレター」ってTBSバラエティを象徴する企画のひとつじゃないかって思うんですけど。
江藤 そうですね。ひとつのイメージになったとは思います。
ちげーよ! そこじゃねーよって
───充実したTBSの他の深夜番組へのライバル意識は?
江藤 あぁ、でも僕ら25時台ですからねえ。それよりも、夢は「テラスハウス」(フジテレビ)に勝つことです!
───ああ! 真裏ですもんね!
江藤 女子の絶大なる人気を持ってますから。“女子クラス”でしょ、あちらは。 “男子クラス”が一回くらい勝ってもいいんじゃないかと(笑)。
───しかも「A組」ですよね。
江藤 そうそう、A組ですもん! 万年B組が勝ったら面白くないですか? ザッピングしてみたらすっごいオシャレな会話してましたよ。うちが紙で作った野球ボールでキャッチボールしてたときに(笑)。第1回の視聴率が出たとき、僕は思ったより獲ったな、このまま行こうって思ったんですけど、女子視聴率の低さを気にした塩谷が「やっぱ野球は女子食いつきませんかねぇ」って。ちげーよ! そこじゃねーよって(笑)。
───(爆笑)。
江藤 いろんなことだよ! 裏に「テラスハウス」があるとか、この番組から漂うこととか……。
───えーと……(しばらく笑いが止まらない)。それでは、その女性視聴者向けにアピールポイントはありますか?
江藤 ……特にはないですね(笑)。
───ない!(爆笑)
江藤 見ないでいいってことじゃないですよ! 女性視聴率が伸びたので。そんな方だけでも見続けてください(笑)。
取材・構成/てれびのスキマ(戸部田誠)
『1989年のテレビっ子』(双葉社)刊行中